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ペットブームから取り残された日本犬

この記事の目次

ペットブームといわれて久しい日本ですが、人気があるのは小型の室内犬が中心であり、
日本犬は相変わらず衰退の道をたどりつつあります。

まあ、例外的に柴犬だけはいまだに人気が高く、
かろうじて人気ベスト10に入ってはいますが、
その他の日本犬種については残念ながらまるで振るっていません。

お父さんブームも終わり

携帯電話のCMで北海道犬(アイヌ犬)の白の人気が高まりましたが、
それも一過性のことに過ぎず、今はもうすっかり下火になっています。

そもそも、その犬種がいいから人気が出たわけではなく、
「お父さん」であることが重要だったため、白毛だけしか人気が集まりませんでした。

しかも、もともと北海道犬というのは気性の強さから万人向けの犬ではないため、
変に知名度があがってブームになるよりはまだマシなのかもしれません。

かつてシベリアンハスキーの人気が爆発し、安易に飼い始めた結果、
捨てられたハスキーが山ほど存在した時代があります。

ひょっとしたら、北海道犬の白も同じ運命をたどるのかもしれません。
お父さんブームに乗って飼い始められた北海道犬達は、
みんな今も元気に暮らしているのでしょうか。

日本犬は山犬の血を強く残している

そもそも、どうして日本犬の人気が衰退する一方なのかと言えば、
室内で飼育するにはサイズが中途半端なこと、フォルムがおおむね似ていること、
もともと誰にでもシッポを振るような性格ではないこと
があげられるでしょうか。

これらの要素はいずれも日本犬の魅力を知っているなら、
「だからこそいいんだよ!」と反論したくなるポイントばかりです。

しかし日本人の大好きな小さくてフワフワモフモフ系とは
かなりかけ離れた日本犬達
ですから、
現在人気を独占している生きたぬいぐるみ軍団にかなうはずもありません。

そして、人気がなければ販売数も見込めませんので
ブリーダーの数は増えるどころか減り続け、さらには日本犬専門の犬舎では
繁殖者の高齢化が進んだことも手伝って先細りが続いているのです。

日本犬の繁殖者は展覧会目的が多かった

犬と言えば日本犬だった時代、日本犬の展覧会は全国各地で盛んにおこなわれ、
そこに出陳する繁殖者が日本犬達の血をつないできました。

昭和の時代には盛んだった展覧会も平成に入って年数が経つにつれ、
どんどん規模は縮小し続けています。

その結果、柴犬は別としてそれ以外の犬種はどんどん専門犬舎が減り、
次世代を担う若い繁殖者は増えていません。


せっかくのペットブームでありながら
日本犬の数が減るというのは、なんとも寂しい現実です。

しかし、アイドルもご当地キャラも可愛いものが好まれる風潮の中では、
渋さが魅力の日本犬には分が悪すぎて勝負になりません。

可愛いものが受ける――その結果、無理矢理小さい柴犬を作り出して
「豆柴」などと呼んで高値で売ろうとしているのですから、
本当の意味で良い日本犬がこの世から消えてしまうのは、
そう遠くないことなのかもしれません。