夜にしか散歩に行けない犬は病気になるの?

現在、日本で飼育されている犬の多くが室内で暮らしています。
もしも飼い主が仕事や学校で朝から夜まで不在になるとしたら、犬は陽射しがでている時間のほとんどを家の中で過ごすことになりますよね。
お散歩に連れていくのは、いつも帰宅した後の夜間というケースも少なくありません。

こういう生活を続けていると、もしかして日光不足で愛犬の体がおかしくならないだろうか――
そんな心配をしている飼い主も少なくないのだとか。
実際のところ、日中はずっと室内で暮らしている犬の体に、何か異変は起きてしまうのでしょうか?

日光にあてないとビタミンDが合成されないって本当?

日光が不足してしまうと、体内でビタミンDが合成されないため、骨の病気になるのではないか
おそらく、日光不足を心配する人の多くが抱く不安の一つです。

確かに、紫外線をあびることで体内ではコレステロールからビタミンDが合成されるのですが、それはあくまでも人間や草食動物の話し。
ビタミンDと一口に言っても、実はビタミンD2~D7まであるのですが、その中で効果があるのはD2とD3。
そして、人間の体内、というか皮膚で作られるのはデヒドロコレステロ-ル(7-DHC)という物質で、これはプロビタミンD3という、要するにビタミンD3の前段階の物質です。
この物質が紫外線によってビタミンD3に転換されるわけですが……

犬の皮膚にはこのデヒドロコレステロ-ル(7-DHC)がもともと少ないんですね。
おまけに被毛がブロックしてしまうので、紫外線はほとんど皮膚まで届きません。
つまり、犬の体内においてビタミンDはほとんど合成されないんです。
ということは、日光にあてないとビタミンDが不足する、という図式はそもそもが成り立たないんですよね。
犬にビタミンDをしっかり補給させようと思ったら、紫外線ではなく食物から摂取させなければいけないんです。

つまり、成長期の子犬を日光にあてないと「くる病」になるというのは、正しくありません。
成長期の子犬が「くる病」になるのは、食事に含まれるビタミンDが不足しているからです。

犬に日光浴が必要な理由

とはいえ――。
ビタミンDの合成には関係がないのであれば、犬は日光にあたらなくてもよい、とは思えません。

というのも、犬という生き物が暮らす世界では、日中は太陽の光によって明るく、夜は暗闇になるのが普通だからです。
実際に、朝日にあたることで犬の体内時計はリセットされています
当たり前のことのように思いますが、この体内時計が狂ってしまうと、痴呆を発症した犬などは昼間にずっと眠り、夜間に目を覚まして鳴き続けてしまうこともあります
この夜鳴きは痴呆の犬を介護するうえで、飼い主さんを苦しめてしまう筆頭にあげられる状態。
それを防ぐためも、朝日の力はとても重要なんです。

また、セロトニンというホルモンを分泌させるうえでも日光は欠かせません。
セロトニンが関係している精神的な働きといえば、安定と意欲。
つまり、セロトニンが不足してしまうと精神的に不安定になりやすくなり、問題行動を起こしやすくなってしまうんです。
こういったことから考えても、犬にとっての日光は骨の健康のために必要なのではなく、精神的な面を安定させるために必要なのだということがわかるのではないでしょうか。

休日には適度な陽射しの中へ

普段は仕事などで忙しくても、休日なら愛犬を陽射しの中へ連れ出してあげることができるのではないでしょうか。
たとえ週に1日、2週間に1日、せめて1ヶ月に1日でも、飼い主が時間をやりくりして愛犬を陽射しの下に連れ出してあげることには確実に意味があります。

もちろん、熱中症などの危険性を避けつつというのは基本中の基本。
無理のない範囲でぜひ愛犬を明るい日差しの下に連れ出してあげてください
飼い主さんと一緒ですから、喜びだって倍増です。