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愛犬との楽しい水遊びが水中毒を引き起こす危険性

この記事の目次

愛犬と一緒のアウトドアは本当に楽しいですよね。
お水が大好きなワンコが海や川にダイブしてはしゃぐ姿は、見ていて飽きることがありません。
もちろんお水が大の苦手というワンコもいますが、レトリーバーなどは「お水に入っちゃダメ!」と叱ったところで、隙を見て水に飛び込んでしまうほど水遊びが大好きです。

さて、そんな愛犬の水遊びですが、楽しいからといって調子に乗って遊ばせていると、大変な事態を引き起こすかもしれません。

犬が溺れた原因は何だったのか?

愛犬を湖や川で遊ばせていたら、溺れてしまった――。
もしもそんな事態が起きたとしたら、その原因はなんだと思いますか?

足がつって泳げなくなった?
鼻から水が入って息ができなくなった?

犬が溺れた原因は、おそらく上記のような理由ではありません。
考えられる原因は、「水中毒」です。

水中毒といっても、水に含まれているなにがしかの成分によって中毒が引き起こされるわけではありません。
私たち人間も毎日普通に飲んでいる「水」そのものが、水中毒を引き起こしてしまうことがあるのです。

水中毒のメカニズムとは?

人間にしろ犬にしろ、「水」なしでは生きていくことができません。
しかし、それはあくまでも適量の水分が体に保持されているからであって、多ければ多いほどいいというものではないのです。

水分を短時間で大量に摂取した場合、血液中のナトリウム濃度は急激に低下し、それによって「低ナトリウム血症」を引き起こすことになります。
つまり、摂取した水分量が排泄量を上回ってしまうんですね。

もちろん、体はなんとかして過剰な水分を排出しようと尿を放出するわけですが、排泄しきれなければ血液中のナトリウム濃度は低下したままであり、血液が水によって薄まった状態が続いてしまうのです。
その結果、体調に異変が生じてしまうんですね。

  • ふらふらして歩き方がおかしくなる。
  • 疲労で動けなくなる。
  • 気力がなくなり、ぼんやりとしている。(虚脱)
  • 腹部が膨れ上がっている。
  • いきなり大量の尿をまきちらす。
  • 大量のよだれを垂らしている。
  • 体が痙攣している。
  • 呼吸がおかしくなり、昏睡状態に陥る。

愛犬を水遊びさせている最中、もしくは水遊びをさせた後に上記のような症状がみられたとしたら、大量に摂取しすぎた水分によって水中毒を起こしている可能性がきわめて高いといえるでしょう。

水中毒――すなわち低ナトリウム血症を引き起こした場合、重篤になれば昏睡や脳浮腫(脳に大量の水分が貯留した状態)によって死に至ります。
でも、そんなことは滅多に起きないはず、などと考えた飼い主さんは甘すぎる!
アメリカでは、年間になんと20万匹の犬が水中毒で命を落としています。

そして一昔前とは違い、いまは日本の犬たちも飼い主と一緒に海や山のレジャーに行く時代。
つまり、日本の犬たちも水遊びによる水中毒を引き起こす可能性は昔の比ではないのです。

こんな遊び方が愛犬を水中毒にする!

愛犬を海や川に連れていったからといって、それだけで水中毒を引き起こすわけではありません。
一番危ないのは、泳いだり水遊びをしている最中に、いつの間にか犬の口の中に水が流れ込んでしまうような状態です。

たとえば、木の棒やボールなどを水に向かって投げ入れ、愛犬に取ってこさせるような遊びをしているときですね。
犬は大喜びで海や川、湖に飛び込んでいき、水面に浮かんだボールや木の棒をくわえようとします。
このときに、開いた犬の口から水が流れ込んでしまうんですね。
もちろん、水中に潜る犬に関しても同じことがいえます。

では、泳がせなければ水中毒の危険性はなくなるのかといえば、そんなことはありません。
ホースから勢いよく出る水を捕まえようとして、夢中になって口をパクパクする犬っていますよね。
これも、飼い主が想像している以上に犬の口から胃の中へ水が流れ込んでいる可能性があります。

犬達にしてみれば、おそらく水を飲んでいるという感覚はないのでしょう。
しかし、無意識だからこそ、過剰な水分摂取につながってしまうのです。

愛犬を水中毒にさせない水遊びの仕方とは?

水中毒が怖いから、愛犬はとても水遊びが好きだけど、絶対に水遊びはさせない!
これでは、あまりにもドッグライフに潤いがありません。

そもそも、水遊びをさせたら、即、犬が水中毒になるわけではないんです。
危険性も考えずに水辺で遊ばせた結果が水中毒につながってしまうんですよね。

だからこそ、愛犬を水遊びによって水中毒にさせないために絶対に守るべきこと。
それは、「適度に遊ばせ、きちんと休憩をとらせること」これに尽きるのではないでしょうか。

水面に向かってボールを3回投げるごとに、きちんと休憩を挟んで休ませる。
これだけでも水中毒になる確率はぐんと下げられるはずなんです。
なぜなら、もしも体調になんらかの異変が生じ始めていた場合、休憩中の様子から水中毒を早期に発見しやすくなるからですね。

もちろん、特に体調に問題がなさそうだとしても、ボール投げが10回を超えたらどれだけ犬が次を待っていたとしても、そこでボール投げ遊びは終了させるべきです。
普段の運動不足を解消させようと、いつもより長い時間遊ばせたくなる気持ちはわかりますが、疲労させすぎて体にいいことなんて一つもありません。
何事も「適度」が一番なのです。

愛犬の命を守ってあげられるのは飼い主だけ

万が一、水のレジャーにおいて愛犬が水中毒を引き起こしても、早期に発見できれば重症化させずに治療を受けることは可能です。
とはいえ、愛犬を連れてレジャーに繰り出す時期は、往々にして動物病院もお休みであることが多いんですよね。

だからこそ、体調の異変が起きないように遊ばせてあげるのは飼い主の務めです。
大切な愛犬の健康と命を守ってあげられるのは、飼い主だけなのですから!