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小型犬から見たら人間の大人は7メートル級の巨人

この記事の目次

現在、日本で飼育されている犬の8割以上が小型犬です。
家の中で小型犬が自由に歩き回る光景は、もはや珍しいものではなくなりました。
当たり前のように小型犬がすぐ近くにいる生活は、とても幸せなものです。

しかし、どんなに楽しくても絶対に忘れてはいけないこと。
それは、小型犬から見たら私たち人間は『巨人』も同然であるという事実です。

イタグレをドア枠に激突させてしまった!

我が家で暮らしている4匹の犬たちは、基本的に家の中はフリー。
とは言え、寝室にしている和室には、許可されたときにしか入室できないことになっています。
なぜこんな持って回った言い方をするのかといえば、しばしばそのルールが破られるから。

もちろん、悪いのは犬達ではありません。
布団の中で犬達と一緒に寝たがる家人が元凶です。

さて、そんな家人が休日に遅寝をしていたときのこと。
寝室に置いたままになっていた荷物を持ち出そうと私が引き戸を開けたとたん、イタリアングレイハウンドが「待ってました!」とばかりに寝室に飛び込もうとしました。
イタグレは寒がりなので、隙あらば布団に潜りこみたい犬。
ガラリと戸を開けた瞬間に私の横をすり抜けようとしたイタグレを、とうせんぼしようと膝でブロックしました。

ところがタイミングが悪く、私の膝がイタグレの頭を直撃してしまうことに。
その結果、イタグレは顔面から引き戸の枠に激突してしまったのです。
あわててイタグレの様子を確認すると、突然のことにびっくりしたのでしょう。
ポカンとした表情でこちらを見上げています。

とりあえず悲鳴などもあがらなかったので、大丈夫そうかな?と安堵したのも束の間。
口からポトリと血が滴り落ちたではないですか!

イタグレの口から血が止まらない!

もしかして、歯が折れてしまった!?
大慌てで口の中を確認しましたが、あとからあとから血で染まってしまうため、どこから出血しているのかがよくわかりません。
とりあえず歯が折れたりグラグラしている様子はなさそうですが、どんどん鮮血が滴ってくるのです。

こうしてはいられないと、かかりつけの動物病院に駆け込みました。
そして診察が始まったわけですが、獣医さんもどこから出血しているのかを突き止めるのに苦戦しているもよう。
舌が切れているのか、上あごにでも傷がついたのか。
はたまた歯茎からなのか、それとも頬の内側なのか。

延々と血をふきとっては口の中をのぞきこみ、血をふきとっては口の中をのぞきこむうちに、獣医さんが発見した出血している箇所は――。
なんと、唇のきわの部分でした。
イタグレの鼻から2cmほどの場所で、唇をめくった裏側5mmぐらいの場所です。
大きさはといえば、せいぜい2mmか3mmぐらいの、ほんとうに小さな傷。
それなのになぜそこまで出血したのかといえば、それは唇の部分にある口輪筋という唇を閉じるための筋肉が断裂し、その奥の太い血管に傷がついていたからです。
そして、傷の周囲は腫れていて、点々と溢血(いっけつ)が確認できました。
つまり、ドア枠に激突した際、直撃したのは角の部分だったのです。

一晩たっても血が止まらない!

出血の場所が特定できたので、止血剤を注射し、さらには止血用の粉を傷口にまぶしました。
この止血剤は焼烙止血剤というもので、組織を焼く事で止血をする薬剤。
つまりはかなり痛いんですね。

イタグレは顔を引きつらせていましたが、どうにかこうにかで、なんとか血が止まりました。
とりあえず家に連れて帰りましたが、ちょっとお水を飲んだだけで、またしても出血!
今度は傷口を直接圧迫止血してみると、20分ほどで血は止まりました。

これならもう一度動物病院に連れていかなくて大丈夫かなと思いきや、夜になってまた出血!
もう動物病院は閉まっている時間です。
そこで、今度は家人と交代しながら念入りに直接圧迫止血すること30分。
今度こそ血は止まったはずと就寝しましたが、気になっていつもより早い時間に起きだして見に行くと、イタグレの寝床が血だらけです。
確認するまでもなく、唇から血がにじみだしていました。

またしてもイタグレを連れて動物病院に直行です。
朝一番で飛び込むと、今度は半導体レーザーで傷口を焼いて止血することになりました。
さらには断裂してしまった筋肉の隙間に外科手術で使われる止血剤を入れてもらい、こうしてようやくイタグレの唇からの出血が完全に止まったのです。

私たち人間は小型犬から見たら7メートル級の巨人

今回の件でつくづく思い知らされたこと。
それは、我が家で暮らしている犬達にとって、私は巨人だということです。
人気漫画『進〇の巨人』に出てくる巨人でたとえると、体高35cm前後のイタグレにとって人間の大人は7メートル級ぐらいに相当するのではないでしょうか。
そう考えると私たち大人の人間は、やろうと思えば簡単に小型犬は殺せてしまうことになります。

しかし一緒に生活していると、いつの間にか相手が体の小さな生き物であるという、当たり前の事実を忘れてしまいがちなんですよね。
これがハムスターぐらいの小ささだったら、もっと普段から気を付けるのかもしれません。ところが小型犬はといえば、なんとも微妙なサイズ感というか・・・。
故意であろうとなかろうと、私たち大人は小型犬に死ぬほどのダメージを与えることが容易なサイズの生き物です。
今回の件で、つくづく認識させられました。