ミックス犬の角膜潰瘍闘病記
15才になった我が家の最年長であるパグとパピヨンのミックス犬。
現在は腎不全のステージ3(末期の一歩手前)です。
ただでさえ食事制限やら運動制限やらと、なにかと不自由な生活。
そんな不憫な状態だったというのに、さらに追い打ちをかけるように角膜潰瘍になってしまいました。
それも、角膜穿孔という、角膜に穴が開いてしまった最悪の状態です。
角膜穿孔をおこしてしまった経緯
腎不全を発症してからというもの、日中のほとんどの時間をうつらうつらとして過ごしていたミックス犬。
15才という高齢に加えてパグの血を半分引いていることも影響したのか、右目がドライアイによる乾性角結膜炎(KCS)を起こしてしまいました。
病院でフローレステストをした結果、潰瘍は認められなかったのでホッと一安心。
そこで右目の治療が始まったわけですが・・・。
左目も渇き気味だったので、左右の両目とも保湿目薬を日に何度もさしていたところ、目薬がしみたのか、それとも痒みのような症状がでていたのか。
目を離したすきに、目をかなりこすってしまったのです。
その結果、左目までがショボショボ状態に。
しかも、当初の右目より状態が悪いように見えたので、あわてて動物病院へ。
フローレステストの結果、角膜にクレーターのような穴が開いていることが判明しました。
角膜と一言で表現していても、その構造は単純なものではありません。
表面から「角膜上皮細胞」→「角膜実質(コラーゲン線維)」→「デスメ膜」→「角膜内皮細胞」と四層構造になっています。
角膜に開いてしまった穴は、せめて角膜実質あたりでとまっていてくれたら良かったのですが、我が家のミックス犬の角膜穿孔はデスメ膜の深いところに到達していました。
いつ失明してもおかしくない状態です。
本来なら穴をふさぐ手術をしたいところだったのですが・・・。
腎不全の悪化を考えると積極的な治療をしにくい状況
角膜潰瘍はかなりの痛みをともなう眼病。
そのため、手術をするにしろ点眼による治療をするにしろ、通常なら感染症を防ぐための抗生剤と、目の痛みを緩和させるための鎮痛剤を使用します。
しかし、ミックス犬は現在末期手前の腎不全。
腎機能が悪化する可能性を考えると、積極的に抗生剤や鎮痛剤を使うことができません。
そこで、極力腎臓に負担をかけにくい抗生物質を注射し、あとは点眼による治療を続けることになりました。
普通のエリザベスカラーでは管理しきれない!
首にエリザベスカラー(傷口を舐めないようにするために首に巻く保護具)を装着し、一日に8~10回の点眼による治療を開始。
なぜこんなに頻回なのかといえば、角膜には血管が通っていないため、薬剤を潰瘍部分に届けるには点眼に頼るしかないからです。
つまり、飲み薬でどうにかできない傷なんですね。
当然のことながら、絶対に目をいじらせるわけにはいきません。
ベル型のエリザベスカラーを装着し、これで安心と思っていた矢先。
なんとミックス犬は前足で目を掻けないことに苛立ったのか、顔面を床やクッションの角、壁などに押し付けてこすりつけていたんですね。
ベル型のエリザベスカラーは首を起点に放射状に開いた形状をしているため、この方法なら目を掻くことができてしまったんです。
正直に言って、予想もしなかった展開でした。
このままでは両眼の角膜に穴が開きかねません。
そこで、急きょチューリップ型のエリザベスカラーを取り寄せて装着することにしました。
今度のエリザベスカラーはミックス犬の鼻先よりさらに10cmほど長い筒状。
これで完全に目をいじることはできなくなりましたが、同時に自力で水を飲むこともできなくなりました。
つまり、ここから先は一日に何度も点眼治療をするだけではなく、飲水のコントロールもしなければいけなくなったのです。
これはなかなかの手間。
しかし、ミックス犬を失明させないためにはやるしかありません。
目薬と飲水の合わせ技が完成
現在は、一日に6~8回の点眼と、3時間おきの飲水、さらには朝晩の強制給餌を行っています。
これはとんでもなく大変なことになったと当初は身構えたものですが、回数をこなしていくうちに順応したのか、どんどん合理的にできるようになっていくんですよね。
今のところ、目薬に関しては全部で4種類を必要に応じて使い分けています。
- まずはホウ酸水を含ませた脱脂綿で目の洗浄
- 目の中を洗浄するタイプの目薬を点眼
- 抗菌目薬を点眼
- 朝晩のごはんタイムは、ここで強制給餌。それ以外はここで強制飲水。
- 保湿目薬を点眼
- 寝る前の一番最後の回のみ、オゾンオイルを点眼
こんなサイクルで点眼と飲水・給餌を取り混ぜてこなしています。
抗菌目薬と保湿目薬の間はおよそ5分ほどのインターバルが必要。
その時間を飲水や給餌にあてることで時間を節約しています。
点眼と飲水の時間は触れ合いの時間
腎不全を発症後、たびたび脱水を起こしては、皮下輸液によって体調を回復させてきた我が家のミックス犬。
角膜穿孔によってチューリップ型のエリザベスカラーを装着してからというもの、一度も脱水を起こしていません。
これは、2~3時間おきの強制飲水が功を奏しているのでしょう。
こういうのを嬉しい誤算と言うのでしょうか。
そして、角膜に穴が開いてしまった左目はといえば――。
残念ながら、失明してしまいました。
ではエリザベスカラー生活が終わりかと言えば、まだその時期ではありません。
なぜなら、現在は左目が自然に委縮していく最中であり、感染症を防ぐための点眼治療が続いているからです。
それに加えて、今のところは見えている右目をなんとしてでも守らなければならず、ドライアイの治療を継続しています。
15才という高齢のミックス犬。
よくよく考えたら、一日のあいだにこれほど何度も何度も抱き上げたことはこれまでありませんでした。
ついつい他の犬たちの世話にかまけてしまい、思えばこれまでかなり寂しい思いをさせてきたかもしれません。
目薬も飲水も強制給餌も、今は貴重なコミュニケーションの時間です。
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