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チャイニーズクレステッドドッグのヘアレスとヘアレスをかけることの怖さ

この記事の目次

ブリーダーとして子犬を販売することで利益を得ようとする場合、
当然のことながらよく売れる犬、より高額に販売できる犬を
繁殖したい
と思うのは当然のことでしょう。

しかし、それが時として命の重みを軽視することになるようです。

チャイニーズクレステッドドッグのヘアレス

例えばチャイニーズクレステッドドッグをブリーディングするとします。
この犬種はヘアレスという無毛に近いタイプと、
普通にロングコートの毛がフサフサと生えているパウダーパフに分かれます。

チャイニーズクレステッドドッグといえば圧倒的にヘアレスがメジャーなため、
パウダーパフの存在を知らない人も珍しくありません。
それだけヘアレスという存在が、犬としては不思議な外観を持つからなのでしょう。

同じヘアレスでも無毛の程度には個体差があり、
見事に頭と足先ぐらいにしか毛が生えていないものもいれば、
フサフサとまではいかなくても全身になんとなく毛の生えた、いわゆる毛深いタイプもいます。

しかしヘアレスが欲しいという人は多くがより無毛に近い個体を選びたがり、
背中ぐらいまで毛が生えていると「ヘアレスなのに毛深い!」とクレームをつけることも。

ヘアレスだけ必要でパウダーパフはいらない?

そんな事情もあり、どうせブリーディングするなら
より無毛に近いヘアレスが生まれる組み合わせを――。


そう目論んでヘアレスにヘアレスをかけて交配させるブリーダーがいますが、
これはとても危険なことです。

なぜなら、ヘアレスになる遺伝子はもれなく歯にも影響を与えるからです。

ヘアレスのチャイニーズクレステッドドッグは
通常の犬より歯の数が足りない欠歯であったり、
歯の質そのものが弱いなど、歯にウィークポイントを持っています。

この無毛であることと歯の異常に関する遺伝子については、
すでに解析がされていて遺伝的な要因は明らかになっています。

そのため、健全なブリーディングをしようとしたら
ヘアレスにはパウダーパフをかけなければいけません。


それなのにヘアレスの方が高く販売できるし、
パウダーパフは売り残しが生じるから嫌だという理由で
ヘアレスとヘアレスをかけるブリーダーがいるのです。
これは実に愚かな行為。

ヘアレスとヘアレスを組み合わせたブリーディングをした場合、
両親から受け継いだヘアレス遺伝子によって胎児のまま死亡し、
生まれてくることができない個体の出る確率が高くなる
からです。

また、ヘアレスとヘアレスを組み合わせたとしても、
生まれてきた子犬のすべてがヘアレスになるとは限りません。

理論上でいえば胎児のまま死亡する比率:へアレス:パウダーパフの生まれる比率
1:2:1なのですから、ヘアレスが生まれる確率は高くなったとしても
パウダーパフが生まれないわけではない
のです。

欲しい人いるあいだはなくならない

それを知ったうえで、それでも
ヘアレスが生まれる確率を高めたいと考えるブリーダーはロクなものではありません。
同時に、そういった知識のないブリーダーも愚かとしか言いようがありません。

しかし、ただ珍しいからという理由でヘアレスをありがたがる人がいるからこそ、
こういうブリーディングがなくならない
のもまた事実。

珍しいから、極小だから、飼ってるだけで自慢できそうだから……。
こんな理由で犬を選んでいるうちは、日本が犬の先進国になることはないのでしょう。