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麻薬探知犬

この記事の目次

日本は世界の中でも治安の良い国として知られていますよね。
そこに一役買っているのが麻薬探知犬です。

麻薬探知犬は空港や港、国際郵便局などで海外から日本に持ち込まれようとしている麻薬を水際で発見することが仕事。
ここを突破されてしまうと麻薬が日本国内に入り込んでしまうわけですから、驚くほど重要な役割を担っています。

麻薬のにおいを嗅ぎとる犬の嗅覚

海外から日本に持ち込まれようとする違法な物品は、麻薬以外にも様々なものがあります。
たとえば銃器などは金属が使われているため、金属探知機を使って発見することも可能。
しかし、麻薬は金属探知機では見つかりませんし、X線検査で見つからないよう偽装工作がされていることもあります。

だからこそ、素晴らしい嗅覚を持つ犬の鼻は、まさしく麻薬発見のためのベストツール。
そんな麻薬探知犬の鼻をかいくぐろうと密輸を試みる不届きものどもは、あの手この手で麻薬を隠そうとしますが、麻薬探知犬の鼻を誤魔化すのは至難の業です。

麻薬探知犬の仕事場

空港や港を中心に活動している麻薬探知犬。
海外では空港利用者が多勢いる中を麻薬探知犬とハンドラーがぬうようにして歩いている姿を目撃することがあります。

日本の場合、その活動場所はどちらかといえば主に裏方的な場所。
空港では入国検査場にも配備されていますが、主に一般の乗客がいない荷さばき場(預けた荷物が仕分けされる場所)で麻薬探知犬は乗客の荷物をチェックしています。
また、海外から輸入された荷物のうち、まだ税関の輸入許可がおりていない荷物を保管している保税地域でも麻薬探知犬は活動しています。
さらには国際郵便局や税関検査場などなど、とにかく海外から日本に持ち込まれようとしている荷物が麻薬探知犬のチェックを受けています。

麻薬探知犬に向いている犬種

2018年現在、日本国内で活躍している麻薬探知犬はジャーマンシェパードラブラドールレトリーバーです。
海外ではビーグルが活躍していますが、日本では今のところこの2犬種のみ。
理由はジャーマンシェパードとラブラドールレトリーバーの気質にあり、生真面目に仕事に取り組む姿が日本では好まれるからなのだとか。

ビーグルもしっかり仕事をこなせる犬ですが、見た目としては楽しげに遊んでいるようにも見えてしまうため、今のところ麻薬探知犬としては活躍していません。
しかし、海外から持ち込まれる違法の食品を発見する検疫探知犬として活躍しているので、日本国内においてもビーグルが軽んじられているわけではないのです。

麻薬探知犬になるまでの道のり

麻薬探知犬は、どんな犬でもなれるわけではありません。
日本全国から集められた、麻薬探知犬としての適性がありそうな犬たちは、まずは訓練所に入ります。
そして、空港や荷物検査場など、人や乗り物が行き交う場所、荷物がたくさん乗せられたベルトコンベアの上のような足場の悪い場所、高いところといった実際に探知をしなければいけない場所を想定した環境に慣れるための訓練をまずは4週間受けます。
その間に、どんなことにも動じずににおいを嗅ぐことができるようにトレーニングしていくのです。
その後ダミーを使った訓練が開始され、遊びを通してダミーを見つけるという意識がしっかりと植え付けられていきます。
それらの訓練の後、今度はダミーに麻薬のにおいをつけて地面に埋め、それを見つけさせる訓練が始まるのです。
これによりダミー=麻薬のにおいという関連付けがされ、麻薬のにおいがするものを探すという意識に変換されていきます。
そして最終ステップではバッグや荷物、靴などの中に隠した麻薬を探させます。

要するに、麻薬探知犬にとって麻薬のにおいを嗅ぎあてることは楽しい遊びの一環。
しかし楽しい遊びだからこそ、夢中になって一生懸命麻薬のにおいを追うのです。

麻薬犬への道は狭き門

4ヶ月間みっちりと訓練を受け、2週間の現場トライアルを経ても、すべての犬が麻薬探知犬として活躍できるわけではありません。
麻薬探知犬として認められるのは訓練を受けた犬のおよそ3分の1程度。

そして麻薬探知犬として活躍できるのは8才までです。
引退後はハンドラーさんに引き取られることもありますが、介護施設などの慰問犬として第二の人生ならぬ犬生を送る犬も。
なんにせよ、日本の治安を守るために一生懸命働いてきた犬たちです。
引退後はのんびりと楽しく過ごしてほしいと願わずにはいられません。