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多頭飼育の犬が一斉に吠えて困る!でもそれって飼い主のせいかもしれません

この記事の目次

犬の多頭飼育で困ること――。
それは犬たちが一斉に吠えたてて大騒ぎになることではないでしょうか。

人間社会の、こと日本のような隣家との間隔が狭い環境では、犬の一斉吠えは歓迎できることではありません。
はっきり言うなら近所迷惑そのものですよね。

なんとなかならないものかと多頭飼育の飼い主さんを悩ませる犬の一斉吠えですが、実は飼い主さん自身がその原因の一端を担っているのかもしれません。

犬はとことん群れの生き物

犬の祖先がオオカミであり、本来は群れを作る生き物だということはよく知られたことですね。
ところがそれを知っていながら、私たち人間はつい犬を人間と同じような感覚で見てしまいがちです。

ワンワン吠えるとうるさいし、近所迷惑だから静かにしてほしい……というのはきわめて人間的な発想。
犬からしてみれば、何か警戒しなければいけない事柄があるからこそ、吠えているだけのことなんです。

そして、多頭飼育の犬達はその感覚をみんなで共有しているわけですね。
犬は群れを作る生き物ですから、ある意味とても当たり前のことなんです。

だからこそ、犬の多頭飼育をするうえで吠えのしつけが一番難しいことは間違いありません。
そのことを理解しないまま「うるさい!静かにしなさい!」と怒鳴り散らしたところで、犬達が言うことを聞くはずもないのです。
それどころか、飼い主が率先して犬達を吠えさせているという事実に早く気づくべきではないでしょうか。

犬達と一緒になって吠えていませんか?

ワンワンキャンキャンうるさく吠え立てる犬達を黙らせたくて、「静かに!」と怒鳴り散らすこと。
この行動も飼い主が犬達を無意識に人間的な感覚で見ていることにほかなりません。

「静かにしなさい!」と怒鳴るのは、犬達に吠えるのをやめてほしいからですよね?
でも、犬達にとってその声は自分達と一緒になって吠えている声にしか聞こえていません。

きちんと犬達という群れのリーダーになれているかは別にして、とりあえず群れの仲間である飼い主が「一緒に」吠えているのです。
ますますもって犬達が吠え立ててしまうのは、ある意味当たり前のことなんですよね。

むしろ、飼い主が吠える(と犬達は思っている)からこそ、自分達ももっと頑張って吠えなければと意識を共有した結果が、収集のつかない大騒ぎの真相、というわけです。

さらには飼い主が吠えるのをやめさせたくて怒鳴るとき、たいていその声は普段より興奮して高めになるはず。
甲高い声は犬達の興奮を煽り、騒ぎを増長させるだけなので、そんなことを続けていても犬達を黙らせることはできません。

犬達はたぶんテレパス

では、多頭飼育の犬達が一斉に吠え出したとき、飼い主が黙っていれば犬達の吠え声はすぐにおさまるのかといえば、残念なことにそう簡単にはいきません。

まず第一に、一度興奮した感情を冷ますためにはそれなりの合図が必要。
しかし、怒鳴って犬達を黙らせようとする飼い主にはその合図を出すことができません。

こさらに厄介なのは犬達の共感能力。
彼らは仲間の感情にとても敏感な生き物で、当然のことながら飼い主の感情も見事に察知してしまいます。
たとえ何も言葉を発しなくても、飼い主の感情は犬達にダダ漏れになっているんですね。
だからこそ、心の中で「うわっ!犬達が吠えて近所迷惑になる、まずい!」などと思えば言葉にしなくてもそれは見事に通じています。

ただし、通じているのは言葉通りの内容ではなく、このままではまずいという焦った気持ち――すなわち感情のみ。
あまりにも飼い主の感情を汲み取ってしまうので、犬にはテレパシー能力があるに違いないと本気で思ってしまうほど、見事に飼い主の感情を受け取ってしまいます。

つまり、多頭飼育の犬達を興奮して大騒ぎさせないためには、飼い主の平常心が絶対的に必要なんです。

犬達をしつける前にまずは自分自身の犬に対する態度を見つめなおすことが必要

うちの犬はバカ犬なんです――という飼い主は、自分が犬をしつけられないバカなんですと言っているのと同じです。
それと同様に、多頭飼育をしている犬達の吠え声がうるさいと嘆く飼い主は、犬達が騒いだときに動揺して役に立たないリーダーです、と言っているのと同じです。

犬達をしつけることは大切なことですが、まずは自分自身が犬とどういうスタンスで向き合っているのか、どういう態度で接しているのかを見つめなおすことが必須。

それをしないかぎり、あなたを悩ませている犬の問題行動は絶対に解決しません。