犬のオシッコは量、色、回数の3点をチェック
オシッコやウンチといった愛犬の排泄物は、体の中を映す鏡です。
しかしながら、ウンチの場合は善し悪しが比較的判断しやすいのに比べて、オシッコはどうにもわかりにくい!真っ赤や真っ黒といった血尿でもしないかぎり、瞬時にオシッコの質の良し悪しを判断するのは難しいですよね。
ましてや、散歩のときにしかオシッコをしないワンコの場合、飼い主がオシッコの異常に気づけないことも珍しくありません。
愛犬の正常なオシッコを知っておきたい
犬の1日における排尿回数は、成犬になるとおよそ3~5回といわれています。これに対して便の回数は1~2回程度。
つまり、多くのワンコはウンチよりオシッコをする回数のほうが多いのです。ということは、体調を管理するうえでオシッコはとても有効なツール。
これを利用しない手はありません。そんなオシッコですが、一言で形容するなら「黄色っぽい液体」。
しかし、実際の尿は色もにおいもワンコそれぞれに個体差があり、当然のことながら一律ではありません。ということは、たったいま排尿された愛犬のオシッコが正常であるのか否かを判断できるのは、普段のオシッコの状態をきちんと把握していることが前提となるのです。
――とりあえず変な色じゃなくて、臭くもないし量も普通だったら正常なオシッコと考えていいんじゃないの?
そんな声が聞こえてきそうですが、ではもしも色も量もいつもと変わらないのに、なんとなくにおいが違うとしたら?悪臭というほどではないけれど、何かがいつもと違うような…。
こういった変化はよくあることです。このちょっとした変化が異常なのか、それとも問題はないものの、なにか理由があってのことなのか。
このあたりを推測するためにも、普段のオシッコを把握しておく必要があるのです。というわけで、愛犬がオシッコをしたら毎回必ずトイレシーツを確認するクセをつけておきましょう。
たったこれだけのことでも、続けているとオシッコの変化に気づく確率はぐっと高まるはずです。
犬のオシッコを変化させる要因はいろいろ
一口に健康なオシッコと言っても、犬ごとに個体差があります。しかし、そこをあえて形容するとしたら…。
濁りのない透明な黄色の液体であり、しっかりと尿のにおいはするものの、臭すぎるわけではない。
ざっとこんなところでしょうか。とはいえ、同じ犬がするオシッコであっても、時間帯や食事内容などで量、色、ニオイに変化が起こるのは普通です。
たとえば、朝起きたときの尿は昼間の尿よりおおむね色が濃く、そしてしっかりとオシッコのニオイがすることが多いでしょうか。
また、食事内容やオヤツの種類が尿の色やにおいを変化させることも珍しくありません。
ドライフードとウェットフードの違いはウンチだけではなくオシッコも変化させるものですし、同じドライフード(もしくはウェットフード)でもメーカーや原材料が違えば、これまたオシッコに変化が表れても不思議ではないのです。
投薬中もまたオシッコの色やにおいが変化します。
こういった変化は毎日の観察によって気づくものであり、それによって今起きているオシッコの変化が異常なのか、それとも正常なのかを判断しやすくなっていくのではないでしょうか。とにかく、まずは愛犬のオシッコをまじまじと観察してみましょう。
犬のオシッコを判断するポイントは量、色、回数の3点
私たち人間と同じく、犬のオシッコも体調によって日々変化しています。
発情中のメスではないのに尿に血が混ざっていたら、尿路になんらかの異常があるのではないかと推測しやすいですが、すべてがこんなふうにわかりやすいわけではありません。問題は、どう判断すればよいのかわかりにくい尿です。
尿の量が多く、回数も多く、色は薄いとしたら…
量と回数は多いものの尿が出ているということは、尿路ではなく他の臓器に何か原因があるのかもしれません。やたらとお水を飲んで色の薄いオシッコばかりをする場合、クッシング症候群、糖尿病、腎臓病などなどが疑われます。正直なところ良い傾向ではないので、早めに動物病院で検査をしてもらったほうがよさそうです。
尿の量は少ないのに回数は多く、色の濃い尿ばかりするとしたら…
この場合は上記とは反対に、尿路になんらかの原因があるのではないかと疑われます。
要するに、膀胱炎や尿路結石などで排尿時に痛みがあるからいっぺんに排尿することができず、その結果回数が多くなっている可能性があるんですね。早急に痛みや不快感を取り除いてあげるためにも、すみやかに受診してください。
尿の量と回数はいつも通りだが尿に濁りがあるとしたら…
避妊手術を受けていないメス犬の場合は、子宮蓄膿症や膣炎などが疑われます。
子宮蓄膿症は悪化させてしまうと命にかかわることも。オスの尿が濁ったとしてもなにがしか異常のサインです。いずれにしろ、早めに病院を受診したほうがよさそうです。
尿の量も回数も少なく、色の濃い尿をするとしたら…
脱水が疑われるため、すみやかに水分を摂取させる必要があります。
単純に飲水量が足りていなかった可能性もありますが、嘔吐や下痢といった体の脱水を引き起こす原因が別のところにある可能性も。
水分を摂取させたのにすぐに戻してしまう場合、脱水状態が続いてとても危険です。すぐに動物病院を受診して対処しないと、あっという間に命を落としてしまうかもしれません。
尿の色が赤もしくは茶色、もしくは明らかに異常が認められるとしたら…
この場合は尿の回数や量に関係なく、即動物病院を受診してください。
なんらかの原因によって破壊された赤血球が尿に溶け出しているのかもしれないし、腫瘍から出血している可能性も考えられます。
また、肝臓や胆管などに異常があってオシッコに成分が漏れ出している可能性も。いずれにしろ、様子見をしていると手遅れになるかもしれません。
尿がでない、もしくはでても微量、回数も極端に少ないとしたら…
もうあえて書くまでもありませんよね。当然のことながら、こんな状態は即動物病院に連れていかなければ、手遅れになる可能性が高いと考えるべきです。
なぜなら尿をしようとしても出ないのは、尿道が閉塞している可能性があるから。
膀胱結石や前立腺肥大(オスの場合)の他に膀胱がんの可能性もありますし、急性腎不全の場合は速やかに処置しなければ命にかかわる状態です。迷わず病院に直行してください。
多頭飼育の共有トイレでもオシッコの観察はできる!
犬を多頭飼育している場合、トイレは共有にしていることもありますよね。となると、どれがどの犬のオシッコなのかわからなくなりそうですが、毎日しつこいぐらいに観察していると、これがけっこうわかるようになります。
トイレシーツのどの位置に排尿してあるのかを含め、色や量の違いなどを判断し、どの犬のオシッコなのかがだんだんと特定できるようになるんですよね。
しかも、だんだんとニオイの個体差まで把握できるようになったりします。犬たちのオシッコをクンクン嗅ぎ、「これは〇〇のオシッコ、こっちは△△のオシッコだ!」とやっていたら、家人から犬のオシッコソムリエだ、と笑われたことも。
はたから見ると「なにやってるんだ?」と言いたくなるような犬のオシッコソムリエですが、愛犬の健康管理には役立っているはず。そう信じて、今日も明日も犬のオシッコをクンクン嗅ぎながら観察し続けています。
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