恐ろしいパルボウィルス感染症
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犬パルボウィルス感染症――。
犬を飼う人であれば、一度は名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
子犬をこれから飼う飼い主さん、もしくは飼ったばかりの飼い主さんは
ことあるごとに「パルボにかかると大変だから」と聞かされているかもしれません。
ただ闇雲に恐れるのではなく、
きちんとどういう伝染病なのかを知っておくことで、
正しい対処をしてほしいと思います。
パルボウィルス感染症とは?
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パルボは1976年以前には感染の報告がなかった比較的新しい伝染病です。
その昔、突然子犬が原因不明の病気でバタバタと死亡し、
原因を突き止めた結果、パルボウィルス感染症であることがわかりました。
昭和の頃は犬のかかる伝染病の中では
ジステンバーが一番怖いと言われていましたが、
いまやパルボの方がその上をいく恐ろしい伝染病です。
幼い子犬や体の弱った犬が感染すると4~7日程度の潜伏期間の後、
激しい下痢や嘔吐が始まり、高熱と脱水症状などもあいまって
ショック症状などからあっという間に急死してしまうことがあります。
また、下痢や嘔吐などの消化器系の症状のほかに、
心筋炎や敗血症が引き起こされるケースもあり、
いずれにしても死亡率がかなり高い感染症であることに間違いはありません。
パルボウィルスが厄介なのは…
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パルボウィルスは経口感染といって、感染した犬の糞や
吐瀉物などを口にしてしまうことから感染が広がっていきます。
そのため、もしもパルボウィルスに感染した犬がでたら、
同じ敷地にいる他の犬に伝染することがないよう、
絶対に犬同士を接触させてはいけません。
また、消毒していない食器や敷物などを共用することも感染の原因となります。
そして愛犬が不幸にもパルボウィルスに感染してしまった場合は、
飼い主は家の中を徹底的に消毒する必要があるでしょう。
それはケージや犬舎だけではなく、
出来る限り家の中の消毒可能な場所すべてと考えた方がよさそうです。
また、同時に自身の手や衣服も消毒しなければいけません。
パルボウィルスはアルコール消毒程度では死滅しませんので、
専用の消毒薬か、もしくは塩素系の漂白剤を使用することになります。
そしてパルボウィルスの厄介なところは、
自然界で半年から1年は生存できるところです。
つまり、消毒が不十分な状態ではその後1年近く
パルボウィルスが家の中のどこかで生き続けているかもしれないのです。
不幸にもパルボで子犬を亡くしたら…
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不幸なことにパルボウィルスに感染して子犬を亡くしてしまったら、
早急に次の子犬を迎えることは避けた方がよいでしょう。
ワクチンプログラムが終了していない免疫完成前の子犬を迎え入れた場合、
もう一度パルボウィルスに感染してしまうかもしれないからです。
徹底的に家の中を消毒すればいいわけですが、
この消毒という作業はかなり精神的にストレスを感じるものであり、
飼い主は子犬を亡くしたことと併せて相当に辛い思いを味わうことになるでしょう。
ペットショップなどの保証期間内などの問題で、
すぐに別の子犬を渡しますと言われても、消毒が徹底しない状態では
同じことの繰り返しになる可能性があります。
パルボウィルスで子犬が亡くなってしまった場合は、
保証としての子犬をいつわたしてもらうかについては、
きちんとショップと相談した方がよいでしょう。
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