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日本犬が認知症にかかりやすい理由

この記事の目次

犬の認知症――痴呆・ぼけ・アルツハイマーといった、いわゆる脳機能低下症は、老犬の飼い主にとって他人事ではありません。

歩行や排泄などに介護や介助が必要になることも大変ですが、認知症による夜鳴きなどの問題は、家族全員が睡眠不足におちいってヘトヘトになるうえに、近所迷惑という新たな問題まで発生してしまうことで、飼い主を底なしに疲弊させていくことがあります。

そんな犬の認知症ですが、どんな犬種の犬にも発症する可能性があるとはいえ、実は発症する犬種には偏りがあることがわかっています。

認知症の発症が多い犬種――。
それは日本犬、または日本犬系の雑種です。

柴犬に認知症が多いといわれる理由

柴犬は特に認知症を発症しやすいといわれていますが、柴犬以外の日本犬――紀州犬、四国犬、秋田犬、北海道犬、甲斐犬も認知症にかかりやすい犬種としてカウントされています。

柴犬が日本犬の中で特に認知症にかかりやすいわけではなく、飼育されている頭数が他の5犬種に比べて圧倒的に多いため、必然的に認知症にかかる頭数も多いのでしょう。

また、上記6犬種以外の日本犬においても認知症を発症しやすく、さらには日本犬が混ざっている雑種も例外ではありません。
そんな日本犬には、実はある一つの体質的な特徴があります。

それは、血中の不飽和脂肪酸の量がもともと少ない個体が多いのです。

日本犬に痴呆が多いのは食事内容の変化が原因?

日本犬以外の犬種で認知症を発症した個体も、その犬の血液中では不飽和脂肪酸の量が不足しています。
つまり、認知症の発症と血液中の不飽和脂肪酸の量は確実に相関性があるわけですね。

では、大昔から日本犬は認知症を発症してきたかといえば、おそらくそんなことはありません。
なぜなら、かつて日本人が毎日当たり前ように魚を食べていた時代は、犬も魚を食べていたからです。

今でこそ犬は家族の一員として栄養バランスの整った食事を与えられるようになりましたが、一昔、二昔前は残飯が当たり前でした。
それが良いか悪いかの問題は置いておくとして、少なくとも魚を食べている人間が出す残飯には魚――しかも不飽和脂肪酸を多く含む青魚がひんぱんに混ざっていたと推測されます。

まあ、もちろんそこまで単純な話しではなかったかもしれません。
そもそも犬が人間の残飯を恒常的に食べるということは、犬の体にとっては塩分過多になりやすいうえに、動物性たんぱく質、ビタミン、ミネラルのいずれもが不足しがちになり、認知症を発症するほど長生きできなかったのではないでしょうか。

とにかく、一つはっきり言えること。
それは日本人の食生活が劇的に変化したことで、体質的に血中の不飽和脂肪酸が少ない日本犬の食事から、不飽和脂肪酸を多く含む食材が消えてしまったという事実です。

食事に一工夫して認知症を予防

この薬を飲めば、認知症を発症しても一発で治る・・・という夢のような治療薬はありません。
だからこそ、発症する前からの地道な予防が結果的には一番効果があるのです。

認知症を発症した犬の血液中には不飽和脂肪酸が少ない。
そして日本犬は体質的にもともと血液中の不飽和脂肪酸が少ない・・・。

だったら、食事から不飽和脂肪酸を摂取させるのが一番良いのは明白ですよね。

一番簡単な方法は、DHA・EPAなどのサプリメントを利用することです。
これならドッグフード派も手作りご飯派も、手軽に食事に取りいれてあげることができるのではないでしょうか。

もちろん、エゴマ油、アマニ油、しそ油といったオメガ3の不飽和脂肪酸を多く含む油を使うのも良い方法です。
この場合は油が酸化しないよう、鮮度に気をつける必要があります。

手作りご飯派なら動物性たんぱく質の食材として青魚――イワシ、サバ、サンマなどを取りいれてあげましょう。

うちはすでに発症しているから、もう手遅れ・・・などとあきらめることはありません。
積極的にDHA・EPAなどを摂取させることで、進行を遅らせることは可能です。
現に、動物病院でも認知症を発症した犬にはこういった成分のサプリメントを勧めています。

足りないなら補充する、これがベストの選択

うちの犬は日本犬だから、きっと将来認知症を発症するに違いない・・・などと悲観する必要はまったくありません。
血液中に足りない成分が認知症の原因になりやすいというのなら、日常的に補ってあげればいいだけの話しです。

日本犬は賢くて忠実で、身体能力が高いという3拍子揃った魅力あふれる犬ぞろい。
不飽和脂肪酸を積極的に補うことで、健康な老犬ライフを過ごさせてあげましょう。