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ドッグフードに遺伝子組み換え作物が使われている可能性を考える

この記事の目次

遺伝子組み換えの作物。
なんとなく、言葉の響きそのものに不安をかきたてるものがあるような気がします。

たとえば納豆や豆腐。
「遺伝子組み換えでない」とわざわざ記載してあるのを見かけると、「遺伝子組み換えの大豆」に比べて「遺伝子組み換えでない大豆」は安全だよ、と示されている気がしてなりません。

ところで、そんな遺伝子組み換えによる作物は、ドッグフードの原材料に使われているでしょうか?

遺伝子組み換え作物とは?

そもそも、遺伝子組み換え作物が何かといえば、呼んで字の如し、遺伝子が組み換えられた作物のことです。
昔から意図的に遺伝子に変更を加えるために、品種改良という手法がとられてきました。
これは、同じ種類か近い種類の作物の間で、より良いものを作るために掛け合わせることで新しい品種を作ることですね。
しかし、この方法はより良い品種ができるのと同時に、そうでもない数種類の結果も生み出すことになります。
これがいわゆるメンデルの法則というやつですね。

しかし、遺伝子組み換えの場合は品種改良とは違い、そのものの遺伝子の一部を組みかえることで、そうでもない数種類の結果を生み出すことなく、より良い品種のみを生み出すことが可能な技術です。
……こう書くと、魔法のような素晴らしい技術であり、遺伝子組み換え作物を全面的に肯定しているように思われるかもしれません。
しかし、ちょっとクサイ言い方をするなら、神の領域とも呼ばれる遺伝子を人の手で操作しているのです。
なにかしっぺ返しされるのではないか、と不安になるのが人情というものではないでしょうか。

政府は安全だというけれど…

2018年3月時点において、日本国内で遺伝子組み換え作物を商業目的で栽培している実績はありません。(研究目的の栽培はされています)
つまり、日本国内に流通している遺伝子組み換え作物は、そのすべてが海外からの輸入品。
具体的には大豆、トウモロコシ、じゃがいも、なたね、わた、砂糖大根、アルファルファ、パパイヤの8品目について、遺伝子組み換え作物の輸入を許可しています。

これらについて、厚生労働省は「安全ですよ!」というスタンスをとっています。
ところが、日本よりも遺伝子組み換え食品の割合が高いアメリカにおいて、危険性を危惧する声が高まっている事実については、あまり報道されていません。
そもそも遺伝子組み換え作物は、アメリカに本社を置くモンサント社というバイオ化学メーカーが開発したぐらいですから、アメリカという国は遺伝子組み換え作物に関してはノリノリの国のはず。
そのアメリカで危険性に警鐘が鳴らされているという事態を、どう捉えればいいのでしょうか。

アメリカにおいて遺伝子組み換え食品の割合が増加したのと時を同じくして、がん、白血病、アレルギー、自閉症などの慢性疾患が急増しています。
グラフにすると同じような右肩上がりの曲線を描いているのですから、関連性はない!と切って捨てようとする各国政府の姿勢がかえって恐ろしいような……。
食品という巨大マーケットに関わる問題ということもあり、遺伝子組み換え食品の安全性については今後もグレーゾーンのまま、私たちは割り切って受け入れるしかないのかもしれません。

アメリカ製のドッグフードの原材料

ところでそんなアメリカ国内で生産されているトウモロコシは、平成27年時点で93%が遺伝子組み換えトウモロコシでした。
この割合は今のところ減る気配がありません。
つまり、少なくともアメリカ製のドッグフードで原材料にトウモロコシが使われている場合、それはほぼ確実に遺伝子組み換えトウモロコシとみて間違いありません。

もちろん、トウモロコシ以外の原材料にしても、いまや遺伝子組み換え作物が使われている確率が高いと考えるのは自然なことではないでしょうか。
じゃがいもにしろ、その他の野菜にしろ、アメリカの農業はプランテーション型。(大規模農業)
そもそも遺伝子組み換え作物は、手間を省いて生産性を上げるための技術でもあるわけですから、当然の成り行きなんですよね。

ちゃんと知ったうえで選んでほしい

酸化防止剤の種類や、肉類の品質がヒューマングレードか否かについてこだわるのに、その他の野菜や穀物についてはあまりこだわらない飼い主さんも少なくありません。
そんなことをいちいち心配していたら、食べさせられるドッグフードなんて一つもないよ、という声もあります。
もちろん、それはその通り。
しかし、「プレミアムフード」だから無条件で「良いもの」と判断してしまうような選び方は、ついついこういう問題を提起して一石を投じてしまいたくなるのです。