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ブリーダーが手放した犬はどこへ消えたのか?― 犬の引き取り屋 ―

この記事の目次

「以前ほど儲からなくなったからブリーダー業をやめたいのに、保健所が犬を引き取ってくれない」
ある繁殖業者が繁殖用に使っていた犬の処分に困り、あちこちに連絡をしまくっていたことがありました。

行き先が決まったのはたったの5匹

聞けば、およそ50匹ほどいた母犬の中で、別の繁殖業者によって引き取られたのは、レッドのトイプードル2匹とカフェオレのトイプードルが1匹、それにチョコダップルのミニチュアダックスフンド1匹の合計4匹だけだったそうです。
いずれも4~5才であり、比較的売れ筋の毛色ばかりですから、あと2~3年は繁殖に使える、と判断されたのかもしれません。

しかし、ホワイトのトイプードルやブラック&タンのミニチュアダックスフンドは若い犬でも引き取り手が現れませんでした。
子犬を生ませたところで良い値はつかない、と判断されてしまったのでしょう。

私のほうでは一般家庭の里親を探しましたが、決まったのは黒パグがたったの1匹だけ……。
結局、その時点で行き先がわかる譲渡先が決まったのは、その5匹だけでした。

犬達はどこへ消えたのか?

ところがです。
その後気になって犬の様子を問い合わせると、すでに1匹残らずいなくなっているではありませんか。
犬達はいったいどこへ消えたのでしょうか。

聞けば、お金を払って終生飼育してくれる業者に引き取ってもらったと言うのです。
その業者は有料であちこちから犬を引き取っているのだとか。

もちろん、引き取られたあとの犬達がどうなったのか、どんな暮らしをしているのかについては、そのブリーダーは何も知りません。
ブリーダーいわく、その業者は最後まで面倒をみてくれるから何も心配ないとの一点張りだったのですが、支払った金額を聞いてぞっとしてしまいました。
なぜなら、とてもではないけれど、1匹1匹が終生においてまともな扱いを受けられるはずもない、安い金額だったからです。

あなたの愛犬の親犬がその中にいるかもしれない

その引取り業者が犬達をどんなふうに扱っているのかは、推測することしかできません。
その業者はいわゆる「犬の引き取り屋」だったのでしょう。

1匹あたりの引き取り料から考えても、おそらくは死ぬまでケージに閉じ込めたままになるのは想像に難くありません。
時々エサをやり、糞尿の始末はせず、病気になってもケガをしても放置されてしまうのは目に見えています。
もちろん、伝染病予防ワクチンどころか、狂犬病予防ワクチンすら接種されることはないでしょう。
もしかしたら、すでに生きてはいないかもしれません。
また、生きたまま処分されてしまう可能性だってあるのです。

ペットショップをのぞくと、可愛い子犬達が並んでいますよね。
もしかしたら、あなたの愛犬はその中の1匹だったのかもしれません。
もちろん、あなたは愛犬をとても大切にしていることでしょう。
しかし、その愛犬の親犬は少しの幸せを感じることもないまま、命を終えたのかもしれないのです。