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愛犬の分離不安は飼い主の行動が引き起こした結果

この記事の目次

犬の分離不安は深刻な問題です。
ところがたいていの分離不安は、飼い主さんが犬との向き合い方を見直すことで、比較的短期間のうちに改善させることが可能なんですよね。
要は、飼い主の間違った接し方が犬を分離不安にさせているのです。

子犬の分離不安は、はしゃいだ飼い主が生み出している

犬は本来、群れを作って生きる動物。
つまり、飼い主(という群れの仲間)が自分のそばからいなくなることを嫌がるのは、ごく当たり前の反応なんですよね。
しかし、人間社会の中で暮らしていく犬は、たとえ群れの仲間である飼い主家族が自分の近くからいなくなったとしても、それが決して置き去りされたわけではないのだということを学ばなければいけません。

ところが子犬を迎えたばかりのお家では、そういう犬のメンタル面を無視してしまいがち。
すなわち、可愛い可愛いと昼間はさんざん遊んだり抱っこをしたりと好き放題にイジリ倒したあげく、夜になったら子犬を残してそれぞれの部屋へといなくなってしまうのです。
寂しくなった子犬が鳴き声をあげたとしても、それって当たり前のことだと思いませんか?

ところが飼い主家族は自分たちが嬉しくて楽しいからという理由で子犬をかまい放題かまってさんざん興奮させた挙句に、「子犬の夜泣きがうるさくて眠れないし、近所迷惑になるから困る」などと言って頭を抱えるのです。
なんとも身勝手な言い草だとは思いませんか?

そしてその結果、夜鳴きを防止するために子犬を自分たちと同じ部屋で寝かせたり、ベッドで一緒に眠るようになったり……。
この方法で夜鳴きは止まるかもしれません。
しかし、子犬は分離不安が解消されないまま成長することになってしまうのです。

分離不安は精神的に大きなストレスがかかっていることを理解する

うちは犬を連れてどこへでも一緒に行くから、分離不安でも大丈夫……。
こんなことを言う飼い主さんがいますが、残念ながら大きな勘違いをしています。

分離不安とは、精神的に大きなストレスを受けている状態。
つまり、分離不安を抱えた犬はたとえ飼い主がそばにいても、精神的なストレスを受け続けている可能性が高いのです。
たとえば、ほんの一時でも飼い主がいなくなることを嫌がる犬の場合、飼い主が近所に買い物に行っただけでも不安にさいなまれることになるでしょう。
極端なことを言ってしまえば、飼い主がトイレに入っただけでも不安になるのです。

「うちの犬は、私がトイレに行くとトイレの中までついてくる甘えん坊なんです」などと喜んでいる場合ではありません。
犬が飼い主のことを大好きなのはとても良いことですが、飼い主に依存してしまう精神状態は犬にとって決して幸せなものではないのです。

「飼い主がそばにいる=楽しくて幸せ」「飼い主がそばにいない=不安でつらい」同義ではありません。

分離不安症の犬の行動とは

犬が分離不安から起こしてしまう行動を、甘えん坊が原因だと勘違いしている飼い主さんがいます。
では、どのような行動を分離不安ととらえるべきなのでしょうか。

  • 飼い主が不在のあいだ、ずっと吠え続けている。
  • 留守番中に室内にあるもの(クッション、ベッド、ペットシーツなど)をボロボロにしてしまう。
  • 留守番中にドアを引っかいて傷だらけにしてしまう。
  • 留守番をさせるとトイレのしつけができているにもかかわらず、トイレ以外の場所で排泄をしてしまう。
  • 留守番の間に自分の体(主に足やシッポ)を激しく噛んでいる形跡がある。

こういった行動に一つでも心当たりがある場合は、愛犬が分離不安の状態にあるのではないかと疑うべきです。

また、飼い主が家にいるときであっても、分離不安の犬は精神的に落ち着いているわけではありません。

  • 飼い主の行動を常に目で追っている。
  • 飼い主が動くと必ず後を追ってくる。
  • 飼い主が座っていると必ず膝に乗ろうとする。
  • 飼い主の姿が視界から消えたとたんに鳴き声をあげる。

こういう行動をとってしまう犬は、たとえ飼い主がそばにいてもリラックスできていません。
これは明らかに精神的に良くない状態。
そしてメンタル面の不調は、体の健康にも悪影響を与えてしまいかねないのです。

退屈もシツケ不足も、犬のメンタルにはマイナスの影響しか与えない

分離不安と似た行動をとったとしても、ただ退屈しているだけかもしれません。
もちろん、単なるシツケ不足という可能性もあります。

しかし、退屈やシツケ不足なら大丈夫かといえば、そういう単純な話しではありません。
犬が退屈しているにしろ、シツケが不足しているにしろ、そのどちらも犬の精神状態に良い影響を与えることは絶対にないからです。

犬が落ち着いた精神状態で暮らせるか否か、そのすべては飼い主次第。
愛犬の行動に何か困ったことがあるのだとしたら、愛犬の行動をどうこう言う前に、まずは自分自身がどのように犬と接しているのかを見直す必要があるのです。
分離不安も退屈もシツケ不足も、すべては飼い主が変わらなければ改善することはできません。