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ロコモティブシンドロームについて

この記事の目次

ロコモティブシンドローム――。
なんとも耳慣れない言葉ではないでしょうか。

日本語にするなら運動器症候群ですが、そう言われてもなんだかよくわかりませんよね。

要するに骨や関節、筋肉などの運動器(体を構成し、運動を可能にするための器官)になんからの障害が生じ、介護が必要になるリスクが高まった状態のことです。

足腰が弱ったことにより、介護が必要になるかもしれない状態、と言い換えたほうがわかりやすいでしょうか。

ロコモティブシンドロームの原因

主な原因として考えられるのは……

  • 椎間板ヘルニアや脳梗塞などの神経的な病気
  • 膝蓋骨脱臼や股関節形成不全などの先天的な原因
  • 体の老化

この中でもっとも多いのは、やはり老化によるものです。
つまり、どんな犬も年をとればロコモティブシンドロームにかかる危険性があるわけですね。
犬の寿命がどんどん延びている現代では、他人事では済まされない事態です。

ロコモティブシンドロームのサイン

ロコモティブシンドロームの具体的な症状としては、骨格の歪みや筋肉の凝りと衰え、そして関節の痛みです。
運動器にこれらの状態が始まると、特有の仕草がサインとなって表れるようになります。

  • 立ったり座ったりする際に以前より時間がかかるようになった。
  • ちょっとした段差でつまずくようになった。
  • 膝が上がらなくなり、地面や床に足を擦って歩くようになった。
  • 歩いている姿を後ろから見ると後ろ足が閉じていて逆三角形に見える。
  • 以前に比べて歩く速度が遅くなった。
  • 立ったときに腰の位置が以前より下がっている。
  • 座ったときに足が流れて横座りをするようになった。
  • 後ろ足が流れてしまうせいで伏せの姿勢が上手にできない。
  • しっぽを振る位置が以前よりも低くなっている。
  • 以前に比べてお尻が細くて小さくなったと感じる。

こういった状態は、まさしく老犬によく見られるもの。
しかし、だからといって「年をとったから仕方がない」と見過ごしてしまえばどんどん悪化するばかり。
そして歩けなくなったり寝たきりになったりという、介護が必要な状態へと進んでしまうのです。

ロコモティブシンドロームを防ぐためにできること

体の状態が悪くなってしまってから対処するより、悪くなる前に対処すること――つまりは予防をすることが一番です。

愛犬の体が老化していくことを止めることはできません。
しかし、老化のスピードを遅くすることはできますし、衰えた体を痛めないようにすることは可能なはずです。

肥満にならないよう、食べさせるものの質とカロリーに注意

ドッグフードの種類を見直し、オヤツを低カロリーのものに変更する。

台の上に食器を乗せて、食事のときは必要以上に頭を下げさせない

食器を床の上に置いて食べさせる体勢は、首と前足に負担をかけることになります。

縦向きに抱っこをしない

縦向き(犬の体が地面と垂直)で抱っこをすると背骨に負担がかかりやすいため、抱っこをするときは横向き(犬の体が地面と平行)にします。

部屋の床をすべりにくいものに

滑りやすい床は無意識に足を踏ん張るため、股関節や膝、筋肉を痛める原因になります。また、スリップによる転倒事故が寝たきりへの引き金になることは珍しくありません。

散歩や運動をあきらめない

歩くスピードが遅くなったからといって、運動や散歩をしなくなるのは厳禁です。
たとえどんなにゆっくりでも、自力で歩かせ続けることは体が衰えていくスピードを遅くしてくれます。
足腰が痛そうだからと、歩かせなくなれば筋肉は落ちる一方に。獣医さんに相談しつつ、痛み止めなどを利用しながら歩かせ続けることに意味があります。

自宅でできる筋トレとストレッチ

たとえ屋外での運動が難しくなったとしても、自宅で筋トレやストレッチをすることで、筋肉の衰えを防ぐことは可能です。

筋トレ
  • 立った状態→お座り→伏せを何度か繰り返す(全身の筋肉を使う運動)
  • お座り→伏せ→お座りを何度か繰り返す(主に前足の筋肉を使う運動)
  • 立った状態で前右足と後ろ左足を持つ→次に立った状態で前左足と後ろ右足を持つ(大幹を鍛える運動)
  • バスタオルや肌がけのように柔らかいものを巻いて障害物を作り、それをまたがせる(後ろ足を上げさせる運動)
  • うしろ足の足首にヘアゴムなどを巻いて歩かせる(弱ってきた後ろ足に意識をいかせることで後ろ足の筋力を強化する)
ストレッチ
  • 寝かせた状態で足の指を一本ずつほぐしたあと、足首の関節も優しくまわしてストレッチする
  • しっぽを持ち上げてぱっと離す(しっぽの筋肉に刺激を与える)
  • しっぽの根元をもんで筋肉をストレッチする

ロコモ防止を愛犬との触れ合いの時間に

犬も年をとると、若い頃ほどかまってほしいと飼い主にまとわりついてこなくなるものです。
しかし、だからといって手がかからなくなったと勘違いして放置してしまったら、老化は進む一方に。
こまめに筋トレやストレッチをしながら、愛犬にたくさん語りかけてあげましょう。

飼い主さんが楽しそうにしている姿を喜ばない犬はいません。
愛犬といつまでも楽しくふれあうことは、老化のスピードを遅らせるための一番の方策です。