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停留睾丸を手術するとしたら、その費用は?

この記事の目次

去勢していないオス犬の股間を見たことはありますか?
まあ、あえてじっくり見なくても、立派な陰嚢(いんのう)がぶらさがっているのがすぐに見て取れるのではないでしょうか。
陰嚢とは陰茎の基部にあり、精巣(睾丸)と精巣上体(副睾丸)を入れている袋状のもの。
つまり、俗に言うところのタマタマのことですね。

生まれたばかりの子犬には陰嚢がない?

オスの子犬の股間を見るとわかるように、幼い頃には陰嚢らしきものが見当たりません。
と言っても睾丸がないわけではなく、まだ体内から体外に移動してきていない、と表現するのが正しいでしょうか。

オス犬の睾丸は、成長とともに体内から体外へと徐々に移動してくるのが正常な状態。
生まれたときは、メスでいうなら卵巣の位置にある睾丸が、生後45日前後の時点では後ろ足のつけ根あたりまで移動してきています。

そしてさらに数ヶ月が経過した頃、本来の位置――すなわち陰嚢の中に入り、ブランと下がって完成されるわけですね。

睾丸が正しい位置までおりてこない!

ところがです。
ある程度月数が経っているにもかかわらず、睾丸が本来到達するべき位置まで移動していないことがあり、これがいわゆる停留睾丸(ていりゅうこうがん)という状態です。

睾丸は2つで1セット。
正常な場合は2つの睾丸が両方とも陰嚢の中におさまるはずですが、停留睾丸の場合は片方、もしくは両方が体内のどこかに停留したままになっています。
比較的多いのは、右の睾丸がおりてこないケースでしょうか。

通常であれば、生後6~8ヶ月目ぐらいまでには正しい位置まで睾丸がおりてくるはず。
ただし、これにはもちろん個体差があるため、1才を過ぎてから両方の睾丸が陰嚢の中に揃うこともないとは言えません。

つまり、片方しか下りてこないからといって、あまりにも早い段階で不安を募らせる必要はないんです。

停留睾丸でも不安になりすぎる必要はありません

睾丸が正常におりてきているのか、いないのか。
飼い主としては非常に心配になるところだとは思いますが、正確な判断はかかりつけの獣医師にしてもらうのが一番。

ちょうどワクチンプログラムやフィラリア予防の開始時期に重なる頃合ですから、飼い主が気づいていなくても、獣医師が見つけてくれることも珍しくありません。

初めて犬を飼う人は、睾丸がお腹の中に残ったままだと聞くと、なにかとてつもなく心配な状態なのではないかと不安になることが多いようです。
いますぐ開腹手術が必要――?
そう考えて真っ青になる人もいますが、停留している睾丸の場所によっては、正常な去勢手術とさほど変わらない程度の切開で摘出できることもあります。
もちろん、お腹の奥深くに残ったままという場合もありますから、単純に楽観してもいいという訳ではありません。
しかし、今すぐ摘出しないと命にかかわるかといえば、そんなことはないのです。

停留睾丸と診断されたら

実際に停留睾丸であることが確定した場合、去勢手術とあわせて摘出することもあれば、去勢手術をしないでそのまま様子を見続けることもあります。

では停留睾丸のなにが一番心配なのかといえば、それは後々に腫瘍になる可能性が高いことがあげられるでしょうか。

そう聞いてしまうと、「腫瘍!?だったら即手術したい!」と考える飼い主さんもいるとは思いますが、あせらずにもっとじっくり考えても大丈夫です。
というのも、停留している睾丸が癌化するとしたら、その歳月にはおよそ10年近くがかかるといわれているからです。

また、通常に比べてかなり遅くなるとしても、成長とともに正常な位置までおりてくる可能性だってないわけではありません。
1才半ぐらいまでに睾丸がおりてこないと、それ以降におりてくる見込みはほぼなくなるため、この時点で停留睾丸をどうするかを決断してもいいわけです。

停留睾丸にまつわる費用

もともと去勢するつもりだったから、なるべく早い時期に去勢と摘出手術の両方を受けさせたい、という飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
その場合は、睾丸がどのあたりに停留しているかによって、多少費用が変わってくることが予想されます。

陰嚢に2つとも睾丸がおりてきている正常な小型犬の去勢手術の場合

日帰り、もしくは1泊の入院で15,000円~20,000円程度。
陰嚢のすぐ近くまで睾丸がおりてきていた場合は、正常な去勢手術とさほど費用的には変わらないことも多いようです。

停留睾丸を摘出するための開腹手術+去勢手術が必要な小型犬の場合

1泊~2泊の入院で25,000円~50,000円ぐらい。
停留睾丸の位置が深くなればなるほど、手術費用は高くなるのが一般的です。

上記はあくまでも小型犬を想定した費用。
中型犬、大型犬は上記より費用がかかることは間違いありません。

病院によってかなり金額の幅はありますが、中型犬の費用はおよそ1.5倍、大型犬は2~2.5倍程度で計算してみると、ある程度近い金額になるのではないでしょうか。

また、病院によって設定されている手術費用は異なりますので、正確な金額はかかりつけの獣医師に確認してください。

停留睾丸を処置しない場合は、獣医師による定期健診を

停留睾丸だからといって、必ずしも腫瘍や癌になるとは限りません。
両方の睾丸がお腹の中に停留したままでも、病気一つせずに長生きする犬だっているんです。

とはいえ、本来は体外にあるはずのものが体内に残っているわけですから、気にしなくてもいいというわけではありません。
手術をしないと決めた場合は定期的に獣医師に診てもらい、なにか体調に変化があった場合は、すぐに処置をしてもらうことが大切です。