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悪いことはすぐに覚えてしまうのはなぜ?

この記事の目次

犬って、覚えてほしいことに限ってなかなか覚えてくれないのに、覚えてほしくないことは見事に覚えてしまう生き物だと思いませんか?

「待て」や「静かに」はいくら教えても「そんな言葉は知りません」という顔をする犬が、オヤツのしまってある場所は教えてもいないのによく知っていたりします。

でも、それはいったいなぜなのでしょうか。

悪い行いをやめさせたい!でも、それって誰にとっての悪い事?

ウチの子、悪いことばっかり覚えて、肝心のシツケはちっとも上手くいきません――。

夜遅いのに家の中をバタバタと駆け回ってワンワンキャンキャン大騒ぎし、家具に齧りついて傷だらけにし、壁紙をビリビリに破き、あげくの果てには飼い主の指にまで噛みつく……。
いくら可愛い愛犬のしたことでも、飼い主としてはため息の1つや2つ、いえ100ぐらいはつきたくもなりますよね。
どうしてこんなにも、犬は悪いことばかりを覚えてしまうのでしょう……。

でも、当の犬はそれを「悪いこと」だと思っているでしょうか?
もちろん、答えは「ノー」です。

犬がしでかす数々の悪行は、飼い主にとっての悪いことであって、犬にとっては楽しかったり、イライラを解消させたり、何かを訴えかけるための行為でしかありません。
物事を善と悪で分けて考えるのは、人間だけなんです。

覚えたいことはすぐに覚えられる

そんなわけで、人間の概念でいうところの悪事を犬が働くとき、それは飼い主に対する嫌がらせでもなければ、悪いとわかってしているわけでもありません。

「待て」や「静かに」といくら躍起になって命令しても言うことを聞いてくれないのは、犬がその行動をしたいと感じていないからなんです。
逆に、オヤツのしまい場所をすぐに覚えてしまうのは、大好きなオヤツがどこから取り出されるのかを犬が常に知りたいから。

要するに、犬は自分で覚えたいと思うことはあっという間に覚えることができてしまう、高い知能の持ち主なんですね。

これが、悪いことはすぐに覚えてしまう理由です。

言い換えると、犬がしたいと思っていることの多くが、実は飼い主がしてほしくないことなのかもしれません。
それを言ったらおしまいよ、という感じではありますが……。

シツケのコツが見えてきませんか?

犬はしたいことはすぐに覚えるけれど、そうではないことにあまり興味がないとしたら、シツケなんてできないじゃないか――!
と嘆きたくなるところですが、そこは発想の転換が必要です。

したいことはすぐに覚えるけれど、そうではないことはなかなか覚えないのだとしたら、そうではないことをしたいことと結びつけるのが犬にとって一番わかりやすいのではないでしょうか。

つまり、伏せたくないのに「伏せ」と命令されているうちは、なかなか上手くいかないのは当たり前なんです。
それより、「伏せ」と命令されて伏せをすると、とても良いことが起きると犬が気づいたら?
これが、いわゆるシツケの際に使う「ご褒美」というやつです。

この「ご褒美」の意味合いをきちんと理解しないままシツケをしようとしても、おそらくあまり効果はあがりません。
同じことをやっているようでも、飼い主の側がきちんと理解してメリハリをつけられるかどうかにより、成果には必ず違いがでてきてしまうものなんです。

犬は習慣性の強い生き物

犬は、なにかにつけて習慣性の強い生き物です。
つまり、最初はご褒美ほしさに「伏せ」の命令に従っていても、それが習慣になると「伏せ」と飼い主に命令されたから「伏せ」をするようになります。

もちろん、そうなってからもきちんと出来たら褒めることは大切ですし、飼い主が褒めることがご褒美になるような関係性を築くことは、忘れてはいけない部分なのかもしれません。

いずれにしても、そうなる前に飼い主のほうが断念してしまったら、いつまでたっても悪いことばかりをすぐに覚えてしまう犬のままなんですけどね。