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コーイケルホンディエは可愛いのに日本ではマイナーな犬種

この記事の目次

見た目がとても可愛くて、小さすぎず大きすぎずの手頃なサイズであり、さらには比較的温和な個体が多い――。
そんな長所いっぱいの犬でありながら、なぜか日本ではマイナーな犬種といえば・・・。
真っ先に頭に思い浮かぶのは『コーイケルホンディエ』です。

ミックス犬と間違われそうなコーイケルホンディエ

コーイケルホンディエという、日本人にはまったく馴染みのない言葉の響き。
これはオランダ原産の犬種名です。
名前だけで姿を想像できる人は、おそらく大の犬好きで、犬種図鑑を最初から最後までしっかりと眺めつくした人ではないでしょうか。
たいていの人はその辺をコーイケルホンディエが歩いていても、おそらくは何かと何かのミックス犬だと思うことでしょう。

コーイケルホンディエは、タレ耳とタレしっぽに飾り毛がついていて、全体的に少しウェーブがかった被毛はやや長めです。
見た目の雰囲気としては、イングリッシュスパニエルかスプリンガースパニエルとキャバリアを足して2で割ったような感じでしょうか。
目元から鼻先かけてはすらっとして細く、目は大きすぎず小さすぎずのぱっちりとしたアーモンド型。
毛色は白と赤味がかった明るいオレンジが組み合わさったオレンジレッド・パーティーカラーです。

私たち日本人にはあまり馴染みのない犬種ですが、コーイケルホンディエは間違いなくかなりの美犬なんですよね。

一時は絶滅の危機にあった犬種

オランダが原産のこの犬は、16世紀からカモ猟に使われてきた鳥猟犬です。
と言っても狩人が撃ち落としたカモを回収するわけではなく、コーイケルホンディエ自身が鴨を捕まえてくるわけでもありません。
網でカモを採るために、派手なシッポを振っておびき寄せる役目を担っているのです。
主には銃が発明される以前にカモ猟で活躍した犬ですが、意外なことに現代でも鴨をおびき寄せるために使われています。

そんな歴史あるコーイケルホンディエですが、第二次世界大戦が終結するまでに、ほとんどの個体が全滅してしまいました。
一時は世界中で5匹しかいないという、とんでもない状況にまで追い込まれてしまったんですね。
それを愛好家達が尽力して復活させたのが、現代のコーイケルホンディエというわけです。
1966年にはオランダケネルクラブが暫定的に公認し、1971年には正式に公認されました。

温和な性格で飼いやすい犬

この犬種の最大の長所は、なんと言ってもその穏やかな性格です。
テリア種のようなガンコさはなく、それでいて活発で遊び好きな性質はいかにも家庭向き。

だからと言って、大人しいわけでもなければ、ボーっとしている犬でもありません。
鳥猟犬らしく敏捷(びんしょう)であり、体力的にもなかなかタフな犬。
つまり、温和な犬だから散歩をさせなくても大丈夫、などという手前勝手な理屈は通りません。

コーイケルホンディエは、しっかりと運動をさせたり知的欲求を満たすことにより、能力を引き出してやることができる犬です。
犬を飼う喜びを運動や遊びの中でしっかりと感じつつ、なおかつ穏やかな犬が欲しいという人には最適の犬種ではないでしょうか。

日本でも少しずつ増えつつある犬種

まだまだ一般的には馴染みのない犬種ですが、日本国内における頭数は少しずつ増加傾向にあります。
JKCの登録数で見てみると、2002年が42頭、2003年が65頭・・・2018年が78頭というように、爆発的なヒットこそしないものの、コーイケルホンディエは毎年微増し続けています。
日本国内にもコーイケルホンディエをブリーディングしている犬舎がいくつかありますので、子犬がほしい場合は本気で探せば手に入れることは不可能ではないでしょう。

少数犬種ゆえの遺伝的疾患に注意が必要

こういう少数犬種にはつきものの、近親交配による遺伝的疾患の危険性を無視することはできません。
コーイケルホンディエの寿命は中型犬としては平均的な13才前後とされていますが、いくつかの遺伝的疾患にかかりやすい体質であることが指摘されています。

  • セロイド・リポフスチン脳症(致死性の遺伝性神経変性性疾患)
  • フォン・ヴィレブランド病(遺伝性の出血性疾患)
  • 遺伝性壊死脊髄障害(神経麻痺による歩行困難)

子犬を探す場合は、親犬に上記の遺伝性疾患がないことをきちんと確認してから迎えないと、後々に後悔することになるかもしれません。

とは言え、日本国内においてコーイケルホンディエの親犬になれる頭数は数が限られています。
つまり、狭い範囲での交配が余儀なくされているわけですね。
遺伝性疾患の有無を調べないまま子犬をどんどん生ませるようなブリーディングを続けていると、ほとんどの個体が遺伝性疾患を受け継いでしまうといった悲劇を招く可能性があります。
キャバリアキングチャールズスパニエルの僧帽弁閉鎖不全症がその代表例ですね。

このことは飼う側もきちんと意識しておくべきであり、もしもコーイケルホンディエを飼おうと思うなら、いまいちどこの点を熟慮してから選んでください。