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犬の耳が遠くなって良かったと思うこと

この記事の目次

我が家で暮らしている4匹のメンバーのうち、最年長はパグとパピヨンのミックス犬です。
平成16年4月生まれなので、今年で14才を迎えました。

見た目の要素の中で年をとったと感じるのは、黒い毛が少なくなったところぐらいでしょうか。
もともとがフォーン(あまり濃くない茶に黒の差し毛が混ざった毛色)ということもあり、黒毛が白っぽくなってきたところで、あまりその変化が目立つことはありません。

歩いたり走ったりという身のこなしにも大きな変化はありませんし、食欲も旺盛。
しかし、明らかに「年をとったなぁ」と感じる部分があります。
それは、ものすごく耳が遠くなったことです。

かつては最も聴覚の優れた犬だった

パグの父犬とパピヨンの母犬の間に生まれたこの子は、見た目の要素の多くは父犬であるパグ似。
ところが耳の形は見事なまでにパピヨンです。
パグの場合はそれほど大きくない耳の先端が垂れ下がり、後ろ向きに倒れているのですが、この子の耳は、それは見事なバタフライイヤー。
いわゆる、パピヨンらしく大きくてぴんと立った耳の持ち主です。

ちなみに、パピヨンの中でも耳が立たない子はファレン(蛾)と呼んだりするのですが、我が家の長女はパグとのハーフでありながら、耳はびっくりするほどパピヨン(蝶)という絶妙なまでのピンポイント犬なんですよね。
そしてママゆずりの大きくてぴんと立った耳は、その見た目通りにそれは素晴らしい性能を誇っていました。

そうなんです。
耳がパラボラアンテナの役割をしているのか、おそろしく耳が良かったんですね。

犬という生き物は、もともと人間よりずっと聴覚が優れていますが、この子はそんな犬達の中でも特によく聞こえていました。
家人が帰ってくるときは、ドアが開くよりもずっと前にどの犬よりも早く気がつきます。
さらには買ってきたオヤツの袋を隠そうとしても、少しでも袋がカサという音をたてれば、どこにいても真っ先に駆けつけてくる。
外に野良猫が来ると、どの犬より早く気がついて、とりあえず警戒の一声を発する。
そんな耳が良すぎるミックス犬にとって、最大の脅威はカミナリでした。

遠雷まで聞き取っておびえるほどの耳の良さ

カミナリを怖がる犬と怖がらない犬の違いは、はっきり言ってよくわかりません。
しかし、ミックス犬にとってカミナリは間違いなく天敵でした。
カミナリが鳴っている最中は恐怖で全身をガタガタと震わせ、興奮して目は血走り、発熱して舌は真っ赤、そしてよだれをダラダラ垂らします。
カミナリが通り過ぎる頃には、ミックス犬の足下にはよだれで小さな水たまりができているほどでした。
カミナリを誤魔化そうと大好物を目の前に差し出しても、一口も食べようとはしません。

ミニチュアシュナウザーのうちの1匹もカミナリが鳴るとオロオロするのですが、この子はオヤツを差し出せばパクリと食べ、カミナリのことなんて一瞬で消し飛んでしまいます。
しかし、ミックス犬の場合は肉を差し出してもオヤツを差し出しても、カミナリで震えている最中は視界にも入らない、という感じだったでしょうか。

しかも、ガラガラピッシャーン!というカミナリに怯えるだけならまだしも、この子の場合は遠雷もダメ。
人間の聴覚では聞き取れないレベルの遠雷にまで反応し、震えていたのです。
なんだかよくわからないのに震えているなぁと思っていると、しばらくしてゴロゴロとカミナリが鳴り出すこともしばしば。
まさにカミナリセンサーのような犬だったんですよね。

耳が遠くなったと感じはじめた頃からカミナリにおびえなくなった

いまとなっては、いつから耳が遠くなりはじめたのか、正確なところを思い出すことはできません。
しかしあるときふと、「この子、耳が遠くなったかもしれない」と思い始めた頃から、カミナリで震える回数が明らかに減りました。
それでもさすがにガラガラピッシャーン!が始まると洗面所に避難して震えていたのですが……。
いまではそれもなくなりました。
かなり派手にカミナリが鳴っていても、あまり気にしている様子がないのです。

そして、同時に私たちが呼びかける声もあまり聞こえなくなりました。
と言っても、完全に聴覚を失ったわけではなく、かなり耳が遠い状態のようです。
耳がよく聞こえなくなったということは、それだけ何かに気づくタイミングが遅れるということ。
たとえば、こちらを見ていない状況で不用意に体に触ったりすると、驚いてビクっとするんですよね。

そのため、いまではミックス犬に近づく前には、わざと床を鳴らして歩きます。
するとその振動で気づくのか、ミックス犬がこちらを振り向くので驚かせずに済むのです。

カミナリの恐怖から解放されて良かった!

かつてあれほど耳の良かった犬が、年をとって耳が遠くなる。
これは、そう遠くない未来に別れがくることを意識させずにはいられない事実です。
しかし、カミナリが鳴るたびに今にも死んでしまうのではないかというぐらい怯える姿を見てきた身としては、ミックス犬があの恐怖から解放されたことにホッとしています。