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外飼いに向かないタイプの犬を外飼いすること

この記事の目次

日本の家屋は基本的に、玄関で靴を脱いであがりますよね。
だからこそ、犬は外飼いが当たり前だったのではないでしょうか。

しかし、現在は犬の多くが室内で暮らしています。
とはいえ、日本で人気の犬種トップ10を見ればわかるように、そのほとんどが小型犬。
室内飼育が当たり前といえば当たり前ではありますが……。
唯一柴犬だけが中型犬と紹介されている場合もありますが、柴犬にしたって日本犬の中では一番小型の犬種です。

それでも、最近では柴犬はもちろんのこと、室内で大型犬を飼うお家も増えたことは間違いありません。
大型犬が玄関を開けると出迎えてくれる光景が、かつては欧米の映画の中の出来事だったことを考えると、本当に良い時代になりました。

外飼いを希望している飼い主が欲しがる犬種

いろいろな事情から、室内で犬を飼いたくない家庭もあることでしょう。
家族の中に犬が嫌いな人がいるだとか、新築の家の中を汚されたくないだとか、まあ、理由は人それぞれです。

家の中に犬は入れたくないけれど、犬は飼いたい――。
そういう希望のある人に、これまで何度も相談を受けましたが、おもしろいぐらいに共通していることがあります。
それは、基本的に外での飼育には向かない犬種を飼いたがる、ということです。

まあ、具体的な例をあげてしまうなら、圧倒的に多いのはラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリーバーなわけですが……。
気持ちはなんとなくわかります。
ラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリーバーは、可愛くて、賢くて、懐っこくて、思い描く大型犬の理想を絵に描いたような犬種ですから。

ただし、その理想の姿というのは、肉体的にも精神的にも満たされた状態でこそ実現できるもの。
そして、残念なことにどちらの犬種も、基本的に外での飼育には向かない犬なのです。

ラブラドールもゴールデンも外飼いには向かない

ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーに限った話ではありませんが、基本的に欧米では犬は室内で暮らしています。
それは、気候が寒いからだとか、暑いからではありません。
犬が家族に混ざって家族のすぐそばで暮らすことが、ごく当たり前のことだからです。
だからこそ、どちらの犬種も人が大好きで、甘えん坊で、飼い主を喜ばすことをしたがる犬なんですよね。

それなのに、自分たちの物理的な事情で人のそばにいたがる犬種を外で飼育するのです。
かなりの困難をともなうことは、容易に想像できるのではないでしょうか?

ラブラドールにしてもゴールデンにしても、飼い主家族の真ん中にいたいのに、自分だけが庭に隔離されてしまうのです。
それはもう、疎外感でいっぱいになることでしょう。
ただでさえ寂しがりやで甘えん坊の犬種を、外でも大丈夫なように育てるためには、そうとうの労力が必要なことを覚悟しなければいけません。

室内では犬を飼いたくない人に限って……

だったら、外飼いに向いている犬種はなんですか?
前述のような説明をすると、必ず次に聞かれる質問です。
これに対して柴犬などの日本犬の名前をあげると、高確率で難色を示すんですよね。
ようするに、ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーと幸せに暮らしたいというより、ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーのような大型犬を飼っている飼い主になりたいということなのではないでしょうか。

結局、こういう相談をしてくる人の多くが、いつの間にかラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーを迎えています。
その結果、あまりにも夜鳴きがひどくて根負けし、結局室内飼育に切り替える人もいれば、とりあえずなんとか外飼いができるようにはなったけれど、理想的な大型犬の姿からは程遠く、リードを引っ張りまくる暴れ馬のような犬になっている、なんてことが多いような……。

今まで見てきた中で最悪だったのは、いつの間にか庭に設置した檻に入れっぱなしになってしまい、犬が精神的なダメージを受けていたケースです。
そういう事例があるからこそ、ラブラドールやゴールデンを外で飼いたいという相談には、一貫して反対の姿勢をとっています。
しかし、残念ながらなかなか聞く耳を持ってはもらえません。