カルドメックが安く手に入るよと言われたら
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愛犬のフィラリア予防のために、
月に1回予防薬を飲ませている飼い主さんは多いと思います。
使われている薬剤にはいくつか種類がありますが、
主流となっているのはイベルメクチンという成分を使ったもので、
製品名だとカルドメック、イベルメックなどがそれにあたります。
新薬とジェネリック
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ところで、カルドメックとイベルメックの違いを知っていますか?
カルドメックは先発品(新薬)であり、イベルメックはジェネリック(後発品)です。
効果は同じでもカルドメックの方が値段が高いのですが、
カルドメックは外国産でイベルメックは国内産のため、
海外で購入した場合仕入れ値が逆転することがあります。
そのため、ブリーダーの中には海外でカルドメックを大量に仕入れて、
自分の犬舎から犬を購入した飼い主に「安く買えるよ」と販売することがあるのです。
同じ薬を飲ませるのだから、
獣医で処方してもらうよりずっと安く買えてラッキー!
と思うかもしれませんが、これはとても危険な行為です。
イベルメクチンは殺虫剤
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フィラリアの予防薬――と便宜上呼んではいますが、実際には予防はできません。
体内に入ったフィラリアの子虫が心臓に寄生できるほど成長する前に殺し続けることで、
結果的に「予防」とう体をとっているのです。
そのため、もし体内にある程度成長したフィラリアがすでにいるにもかかわらず、
イベルメクチンを急激に摂取した場合、一気に虫が死んでしまい、
その結果それらの死骸が血管等に詰まることで、
犬の命を危険にさらしてしまうことがあるのです。
獣医師でフィラリアの薬を処方される最初の時に血液検査をしますよね?
これは、すでに体内にフィラリアがいるかいないかを検査しているのです。
もちろん、動物病院でフィラリアの予防薬を処方してもらうには
それなりの金額を支払うことになるわけですが、そこには薬の費用以外にも、
そういった犬の体に出来る限り負担をかけないための費用が含まれているのです。
獣医師の処方する薬の値段はバラバラ
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とはいえ、動物病院で処方される薬の値段は
その病院ごとに決めているため、かなり幅があることも事実です。
ここに多大なる利益を乗せている病院もありますから、
どの病院を選ぶかによって金額はかなり変わってくることでしょう。
しかし、だからといってブリーダーからの「安く買えるよ?」
という誘いにのってしまうのはおすすめできません。
大切なのは、犬の健康をいかに安全性を優先して守っていくか、ではないでしょうか。
犬の繁殖についてはプロだとしても、
動物医療や動物医薬品のプロではない相手から薬を購入する――。
それ、人間用として考えたら、とんでもないことだとは思いませんか?
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