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ホワイト・スイス・シェパードを取り巻く実情とは

この記事の目次

その昔、ジャーマンシェパードにおいての白色は淘汰される運命にありました。
それはアルビノではなく黒い色素を持っていても許容されなかったのです。

しかし、近年黒い色素を持つ個体を犬種として固定したもの
ホワイト・スイス・シェパードと呼ばれる犬になり、
最近になってFCIやJKCにも公認されましたが、
ジャーマンシェパードとしてのホワイトは現在も認められていません。

ホワイトシェパードはジャーマンシェパードより上?

ホワイトシェパードの能力について、ジャーマンシェパードとなんら変わらず、
性格が穏やかな分家庭の犬としては上である…、
というような説明がされているものを見かけることがあります。

果たして、それは本当なのでしょうか?
もちろん、シェパードという基本においては、
ある意味なんら遜色はない
のかもしれません。

しかし、通常のシェパードの場合、
ショータイプであるならばその容姿の美しさを追究したブリーディングがされ、
訓練タイプなら能力を重視した交配がされています。

ところがホワイトシェパードの場合はまず白毛ありきの交配であり、
しかも数的には決して多いとはいえません。

その少ない中で生まれてきた個体が、
本来のジャーマンシェパードより優れているという見方には
無理がある
のではないでしょうか。

むしろ、シェパードに比べて飼いやすいというイメージ作りの結果、
安易に選んだ挙句、うまくシツケをすることができずに悩む飼い主もいます。

ホワイトシェパードの日本における現状

日本においてはホワイトシェパードはまだまだ全体数が少ない犬種です。

そして、初期に日本で交配に使われた犬に股関節形成不全があり、
その遺伝子が多くの次世代以降に受け継がれてしまいました。

これこそが少ない頭数の犬種を選ぶことの最大の弊害であり、
その遺伝子を引き継いでいるとわかっている個体を
さらに次世代以降も繁殖に使うしかない現実
が、問題を解決させないのです。

ホワイトシェパードを飼いたいと考える人は、
そういった現状も踏まえたうえで検討するべきです。

本当は殺されてしまう運命の犬を救ってあげる…、
という感覚の誤ったヒロイズムだけで手に負えるほど、
シェパードは甘い犬ではありません。

また、シェパードは大きくてカッコイイし、ホワイトなら珍しくてなおよいから、
という程度の認識でも能力をきちんと引き出すことはできないでしょう。

圧倒的に頭数が少ない犬種を選ぶということは、
このようなリスクを伴うことですし、

ホワイトシェパードのように犬種として完全に固定できたと判断するには早すぎる場合、
なおのこと難しい問題が含まれるのです。

どうもホワイトシェパードをメジャーにしようとするあまり、
過剰な宣伝と盛り過ぎたイメージ戦略が横行しているように思えてなりません。

情報の良いところばかりを見ていたのでは、飼った後に後悔することになるでしょう。