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犬をノーリードで散歩させるのは法律違反

この記事の目次

ノーリードで犬を散歩させることは禁止されている――。
さすがに、かなり周知されてきたのではないでしょうか。
それでも、いまだ公道をノーリードで散歩させている人を見かけます。

「うちの子は、大人しくて人を咬んだりしません。だからリードをつけなくても大丈夫なんですよ」
いやいやいや、そういう問題ではありません。
犬の安全と、周囲の安全の両方を考えたら、リードは絶対につけるべきなんです。

……と、いくら説明をしたところで、この手の人は残念なことに聞く耳を持ってくれないんですよね。

うちの子は大人しいからノーリードでも大丈夫、はダメ!

ノーリードで犬を散歩させている人が、立ちションの現場を目撃したとして――。
もしも「立ちションは軽犯罪法違反だ!」と怒ったとしたら、「確かにその通り!でも今のあなたも法律に違反してるんですよ」とツッコミを入れたくなります。

「動物の愛護及び管理に関する法律」
第三章「動物の適正な取り扱い」 第一節「総則」 第七条 第1項
動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。

・・・なにやら言い回しが難しくてぴんときませんよね。

簡単に要約するなら、動物を飼う人はきちんと責任を自覚して飼いましょう
その際には動物の種類に応じてきちんと飼育し、動物が元気に過ごせるのはもちろんのこと、動物が他人に迷惑をかけないようにしましょう。
と、書かれているわけです。

「だったら、うちの子は大人しいから、ノーリードでも他人に迷惑をかけることはありません」

そんな反論が聞こえてきそうですが、そういう問題ではありません。

そういう飼い主さんは自分が犬好きだからピンとこないかもしれませんが、世の中には犬が大嫌いな人だっているのです。
つまり、飼い主側の「この犬は大人しいからノーリードでも大丈夫」という理屈は通らないわけですね。
受け取る側が「犬がノーリードで歩いていて嫌だな」と思えば、それがすべてなんです。

飼い主の主観で勝手に法律を解釈してはいけません。
犬を大切にするのは当然のことですが、同時に他者を不快にさせてはいけないと定義されているのです。

ノーリードについて地方公共団体に自治裁量権を認めている理由

なんとしてでもノーリードで犬を散歩させたい人の中には、動物愛護法の条文の中にノーリードについての記載がないじゃないか!と屁理屈をこねる人がいます。
しかし、そこに関しては第九条が適用されるんですよね。

第九条「地方公共団体の措置」
地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について動物の所有者又は占有者に対する指導をすること、多数の動物の飼養及び保管に係る届出をさせること、その他の必要な措置を講ずることができる。

ここも言い回しがややこしいのですが、要するに動物の飼養や保管については、各地方ごとに決めていい旨が示されているのです。
それはなぜかといえば、「犬を飼う」という行為が日本全国一律ではないからなんですね。

たとえば、東京都は「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」において、散歩のときにはリードをつけるべし、と解釈される条例を定めています。
そして盲導犬や警察犬がその目的のために使用される場合は、その限りではない、と。

まあ、ある意味当たり前ですよね。
高度に訓練された盲導犬や警察犬が職務にあたっているわけですから、他人の迷惑を省みずにノーリードをつらぬこうとする人が飼っている犬とは、そもそもの次元が違うわけです。

そして秋田県の条例の場合は、この盲導犬や警察犬に狩猟犬も加わってきます。
なるほど、なんとなく秋田県っぽいですよね。

このように犬という存在に地域差があるからこそ、地方公共団体に自治裁量権が認められているのです。
これは、理にかなっていると言えるのではないでしょうか。

日本が犬のしつけ後進国であるかぎり、ノーリードは難しい

正直なことを言えば、ノーリードで犬を散歩させるのは楽しいです。
しかし、日本は犬のしつけに関して言うなら、まったくもって後進国。
欧米の足元にも及びません。
むやみやたらに欧米を礼賛するつもりはありませんが、残念ながら犬のしつけに関しては、日本はかなりの遅れをとっています。

つまり、犬のしつけやトレーニングに関して日本人全体の意識が高まらない限り、公道をノーリードで歩かせるなんて夢のまた夢なんですよね。
屁理屈をこねてノーリードを正当化させようとする人は、そういう現状についてまともに考えたこともないのでしょうが……。