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グレインフリーとグルテンフリーは何が違うの?

この記事の目次

その昔、犬がまだ家畜という扱いだったころ――。
人間の残飯をエサとして与えられるのは、ごく当たり前のことでした。
それが時代とともに「飼い犬」いわゆる「ペット」という認識へと変わり、このあたりから「ドッグフード」という概念が日本においても定着したのではないでしょうか。

とはいえ一昔前のドッグフードは、実質人間の食品としては不合格となる品質の原材料が寄せ集められただけのもの。
しかし、犬の存在がペットから家族の一員となるにつれて、犬が食べるものの安全性や品質にも注目が集まるようになりました。
それに伴い、原材料の品質を重視するのはもちろんのこと、もっと積極的に健康面に配慮したドッグフードが登場しています。

愛犬の体質に合わせたドッグフード選びができる時代

かつての日本においては、ドッグフードといえばコレかアレかソレという具合に、安価な穀物とクズ肉とクズ野菜から作られている製品の中から選ぶしかありませんでした。
しかし、現代はネット通販の普及が功を奏し、ドッグフードの世界は激変しています。
すなわち、愛犬の体質に合わせたきめ細かいドッグフード選びが可能になったんですね。

たとえば、穀物を原材料にまったく加えていないグレインフリーのドッグフード。
これは、肉食獣寄りの雑食動物である犬の食性から考えると、きわめて理にかなったドッグフードといえるのではないでしょうか。
このおかげで小麦などの穀物にアレルギーがある、もしくは不耐性があるような体質の犬でも、安心してドッグフードを食べさせることができるようになりました。

こういったグレインフリーのドッグフードがなかった時代には、愛犬に穀物に対するアレルギーがあると判明した場合は、飼い主さんが手作りをするか、もしくは割高な処方食を選択するしかなかったんですよね。
そこから考えると、グレインフリーの登場は、かなりの進化ととらえてもいいのではないでしょうか。

もちろん、グレインフリーのドッグフードは穀物入りのフードと比べてなかなかに割高という側面があります。
しかし、選択肢が増えるという意味においては、飼い主さんの負担を少なからず軽減できているのではないでしょうか。

さて、そんなドッグフードの進化ですが、もちろんグレインフリーが最高到達点というわけではありません。
人間の食事において発信される健康面の情報は、ドッグフードにもどんどん反映されています。
その一つが、「グルテンフリー」という考え方ではないでしょうか。

グレインフリーとグルテンフリーの違い

グレインフリーとグルテンフリー。
見た目の文字も似ていますし、その意味についてもそれなりに似通っているんですよね。
しかし、グレインフリーとグルテンフリーの概念は、犬が食べるものの安全性をきちんと確保するうえで、正しく理解しておきたいところです。

グレインフリーとは?

穀物とは植物から得ている食材の総称で、デンプン質を主体とした種子の部分。
稲、麦、あわ、きび、豆などがその代表的なものです。
つまり、グレインフリーとはそういった穀物を、何も原材料に加えていないことです。

グルテンフリーとは?

グルテンとは小麦やライ麦といった穀物の胚乳から生成されるたんぱく質の一種で、グルテニンとグリアジンという糖たんぱく質が水を吸収して網目状につながったもののことを指します。
つまり、グルテンフリーとはグルテンと呼ばれるたんぱく質を含んでいない、という意味です。

要するに、

  • グレインフリーのドッグフード → 穀物に分類される食材はいっさい使われていない。
  • グルテンフリーのドッグフード → グルテンを含む穀物は使われていないが、グルテンが含まれていない穀物は使われている可能性がある。

こういった違いがあるんですね。

ドッグフードに穀物=悪、という考え方は間違っている

グルテンフリーには穀物が使われている可能性がある!?
だったらグレインフリーのほうが、犬にとって良いドッグフードだ!・・・という考え方は残念ながら間違っています。

粗悪なドッグフードには安価な穀物がたっぷりと使われている、というフレーズが独り歩きしてしまったからでしょうか。
ドッグフードにおける穀物は悪、という間違ったイメージが先行しがちですが、それは違います。

犬の食性は肉食動物寄りではありますが、あくまでも雑食動物。
トラやライオンといった真正の肉食動物とは違い、植物性の食べ物からも栄養を吸収することができる生き物なのです。
そして穀物の主成分である炭水化物は、エネルギー源としてはたんぱく質や脂質に先んじて使うことのできる重要な栄養素。
摂取しすぎるから糖質過剰となるだけであって、本来は必要な栄養素の一つなんです。
要するに、犬の胃腸に負担をかけてしまう消化に悪い穀物は論外としても、消化がしやすい形で加えられている穀物までもを躍起になって排除する必要はない、ということになるでしょうか。

愛犬の体調を確認しつつドッグフードを選ぶことが大切

グレインフリーが一番犬の食性に合っているらしい――。
グルテンはどうも体に悪いらしい――。

こういった聞きかじりの情報を鵜呑みにしてドッグフードを選んでしまうと、かえって愛犬の体調を悪化させることがあります。
穀物が含まれているドッグフード、穀物は含まれているがグルテンフリーのドッグフード、穀物が使用されていないグレインフリーのドッグフード。
これらのうち、どれを選ぶにしろ最も大切なのは愛犬の体調です。

食いつき、便や尿の状態、体臭や皮脂の変化、被毛の艶、涙の質などを総合的に判断することによって、はじめてどのドッグフードが一番愛犬の体質に合っているかが判断できるはず。
大切なのはドッグフードメーカーが打ち出す宣伝文句ではなく、生身の愛犬が発している情報なのです。