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犬のサングラスは白内障予防におすすめ

この記事の目次

「犬にサングラスをかけさせるなんて、飼い主の自己満足もいいところ!」

つい先日、こんな意見を耳にしました。あれ?こういった類の意見、数年前までは「犬の洋服」が対象だったような気がするのですが…。そういえば、いつの間にか犬の洋服は当たり前のアイテムになりましたね。

オシャレをさせることだけが目的なわけではなく、犬種ごとに異なる暑さ寒さへの対策も兼ねている――いまや世間的にもかなり周知されました。

では、犬のサングラスに関してはどうなのでしょうか。やはり、単なる飼い主の自己満足?

それとも犬の洋服と同様に、何か犬にとってもメリットのあるアイテムと考えてもいいのでしょうか?

過度の紫外線は犬の目にも悪影響がある!

真夏のカンカン照りの中で犬を散歩させるような行為は、紫外線うんぬんを語る以前に、熱中症の問題で完璧にアウトです。

では、熱中症の危険性がない季節の、よく晴れた日に愛犬を散歩に連れ出すとしたら?

人間であれば、日焼け止めを塗る、日よけの帽子をかぶる、日傘をさす、UVカット機能のある衣服を着用するというように、なにがしかのUV対策をしてから散歩に出掛ける方も多いはずです。

カンカン照りではなくても紫外線がシミ・ソバカスの原因になることは、もはや常識レベルの話しです。強烈な日差しは日焼けを通り越して肌に損傷を生じさせるだけではなく、日光角化症や皮膚がんといった、より重篤な病気の原因にすらなりうるもの。

もちろん、基本的に犬の体は全身が被毛に覆われています。人間の肌と同じように焼け止めが必要かといえば、そういうことではないでしょう。

しかし、過度な紫外線が私たち人間の目に害を及ぼすのと同様に、犬の目にも悪影響を与えている可能性があります

目に関して言えば人間と同じく眼球はむきだしのまま。だからこそ、犬用のサングラスで紫外線を適度にカットすることは、犬の目の健康を守るうえでは有効なのですが、今のところメジャーなアイテムとは程遠いのが実情です。

犬の目は紫外線に強くないという事実

人間の眼球は、水晶体によって入ってきた紫外線のほとんどをカットする仕組みになっています。その結果、目の最奥にまで紫外線が届くことはまれなのだとか。

しかし、犬の眼球はその構造上、人間の眼球に比べて紫外線が奥にまで届くと考えられています。それはすなわち、白内障にかかるリスクが高いことに直結しているんですね。

白内障を発症して水晶体が白く濁ってしまうと、犬は視力を失います。

長生きのワンちゃんが増えた昨今、目が白く濁ってしまった老犬を見かけたことはありませんか?

もちろん、その原因のすべてが過度な紫外線というわけではありません。先天的に白内障にかかりやすい犬種がいることは事実です。

白内障の発症が多く報告されている犬種
柴犬、ビーグル、マルチーズ、ボストンテリア、パグ、ミニチュアシュナウザー、ウェルシュコーギーペンブローク、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、シーズー、ヨークシャテリア、ウェスティー、シベリアンハスキー、アメリカンコッカースパニエル、ダルメシアン、秋田犬、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ドーベルマン、ジャーマンシェパードなど

また、若いうちから白内障を発症しやすい犬種についても指摘がされていますし、老年になると多くの犬種が白内障を発症しやすくなります。

しかし、こういった白内障を発症しやすい形質を持つ犬が、過度の紫外線をあび続けた結果、発症率を高めてしまう可能性は否定できません。

そして白内障を発症してしまったあとのケアに関しては、人間の医療に比べると動物医療はまだまだ充分であるとは言えないのです。

だからこそ、犬用のサングラスはオシャレ目的ではなく「目の健康を守るアイテム」としてもっと注目されてもいいのではないでしょうか。

オシャレは付加価値、サングラスの本当の目的は眼病予防のUVカット

欧米人に比べると、日本人はあまり日常的にサングラスをかけません。

黒い色の瞳は薄い色の瞳よりまぶしさに強いからに他ならないわけですが、日常生活においてあってもなくてもあまり困らないからこそ、私たち日本人にとってサングラスは「オシャレをしている=ちょっとすかしてる?」という認識が刷り込まれているような…。

現に、雪がまぶしいゲレンデでは日本人も普通にサングラスをかけているのですから、必要に迫られないものはやはりどこか特別なアイテムになるのでしょう。そんなわけで「犬のサングラス」が否定的な目で見られがちになってしまうのは、ある意味仕方のないことです。

しかし、かつて犬の洋服がそうだったように、おそらく犬のサングラスもいずれは浸透していくはず。ひょっとしたら数年後、いや数十年後には……。

しかし、愛犬が生きているのは今現在。その愛犬の眼病を予防するうえでサングラスが有効である以上、もっと多くの飼い主さんに検討してほしいのです。

実は筆者も犬の目のUV対策に関しては、飼っているミックス犬が失明してしまうまで、実のところあまり考えたことはありませんでした。

我が家のミックス犬が失明した直接の原因はドライアイ。でももし、紫外線対策を含めてもっと犬の目の健康について細心の注意を払っていたら…。

ついそんなふうに考えてしまうからこそ、今は犬のサングラスに注目しているのです。

犬のサングラスは車酔いにも効果あり

犬にサングラスをかけることは白内障予防の効果以外にも、車酔いを防ぐ効果が期待できるのだとか。

そもそもなぜ犬が車に酔いやすいのかといえば、自然界ではありえないスピードで体が移動するため、目から入ってくる大量の視覚情報を脳が処理しきれなくなることも原因の一つとして考えられています。

つまり、サングラスによって視覚的な情報量をカットすることで、車酔いをしにくくできる可能性があるというわけですね。

日頃から慣らしておくことが大切

さて、意外にもメリットの多い犬のサングラスですが、人間と違って犬にとってはあくまでも異物でしかありません。

つまり、普段から慣らしておかなければストレスの原因になってしまうのです。初めて首輪をつけるのと同じく、初日からまるで気にしない子もいれば、嫌がってなんとか外そうともがいてしまう子もいることでしょう。

だからこそ、普段から短時間の練習を重ねていくことが大切です。間違っても、サングラスを嫌がる愛犬を叱る、なんて本末転倒はナシにしてくださいね。