同じ白毛でもアルビノと白変種はまったくの別もの
全身が白い毛色の犬を見て、
「あれはアルビノだから体が弱い」と言って顔をしかめた人がいました。
もうだいぶアルビノの定義は浸透したと思っていたのですが、
そうでもないのかもしれません。
アルビノとは?
アルビノとは黒い色素が欠損している個体のことをいいます。
その結果体色は白くなり、瞳は血管の色がそのまま見えてしまうので赤くなるわけですね。
もちろん、鼻も薄いピンク色ですし、アイラインもありません。
そして黒い色素がないということは、紫外線に極めて弱いということでもあります。
アルビノの個体は犬であれ人間であれ、
色素を持つ通常の個体のように太陽の光が降り注ぐ中にいると、
皮膚や目など体の様々な部分に炎症を起こしてしまうことになるでしょう。
考えてみれば当たり前ですよね、
紫外線をブロックするメラニンを持っていないのですから。
アルビノではない白毛とは
白い毛色でも黒い色素を持つ個体はアルビノではありません。
これは白変種と呼ばれるタイプで、簡単に言えば黒い色素は持っているけれど、
何らかの理由から毛色が白くなった個体のことです。
たとえば雪上に暮らすとしたら、
茶色や黒の毛色より白い毛をしていた方が敵に見つかりにくいですよね。
つまり、そういうことです。
これをそのままアルビノと混同して
「弱い個体」と決めつけてしまうことは、まったくの間違いなのです。
白変種は目や鼻などに黒い色素がありますので、眼が弱いということもありません。
紀州犬の白毛などは、目や鼻が真っ黒なのはもちろんのこと、
中には黒い色素が多過ぎてお腹の皮膚に黒いまだら模様が出ている個体もいます。
ホワイトシェパード
今でこそ白いシェパードはジャーマンシェパードとは別犬種となりましたが、
かつてシェパードに白い毛が生まれると、すぐに殺していた時代がありました。
これは、生まれてすぐの状態ではアルビノなのか白変種なのかがわからない
ということもあり、アルビノを避けるために一律に淘汰していたのです。
それらを続けたおかげで現在では
ジャーマンシェパードの中に白毛が生まれることは滅多にありませんが、
かつては生まれていたのですから、遺伝子の中には
毛を白くする因子がまだ残っているかもしれません。
賛否両論はあるものの、
現在では白い毛のシェパードはホワイト・スイス・シェパードとして
アメリカやカナダを中心に一つの種として固定されています。
もちろんアルビノではありません。
関連記事
-
白い毛色の秋田犬がほしいと思ったら
日本人は白い毛の動物を大切にする傾向があります。白い狐、白い蛇、そして白い犬も神の使いとして表現されていますよね。某携帯電話会社のCMで白い犬が使われていて、あ
-
ブルーアイやバイアイの持つリスクを知っておこう
ブルーアイの犬――真っ先に思い浮かぶのはシベリアンハスキーでしょうか。実際のところ、ハスキーにはブルーアイの個体が他の犬種に比べて多いのは間違いありません。それは
-
白毛の母犬は出産・授乳で毛が染まりやすい
我が家にやってくる天使ちゃん(子犬)は、どんなところで育っているのですか――? ブリーダーから直接子犬を迎える場合、飼い主が知りたがることの一つです。もちろん、大切