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トウモロコシは栄養豊富!犬に食べさせるなら消化に良い一手間を

この記事の目次

トウモロコシ――と聞いただけで、「犬が食べてはいけない食材!」と断じてしまう飼い主さんは少なくありません。
それはまさしく、粗悪なドッグフードにはトウモロコシがたくさん入っている、というイメージが定着しているからではないでしょうか。

確かに、品質の悪いドッグフードの多くに大量のトウモロコシが使われているのは事実です。
しかし、だからと言って「トウモロコシ=犬には絶対に食べさせてはいけない食材」と決めつけてしまうのは早計。
なぜなら、トウモロコシは本来なら良質なエネルギー源になりうる食材だからです。

人間が食べるトウモロコシと飼料用のトウモロコシはまったくの別物

トウモロコシと一口に言っても、その種類は様々。
一般的に食用として流通しているトウモロコシは、すべてスイートコーン(甘味種)です。
スーパーなどで目にすることの多い「ハニーバンダム」「ピーターコーン」「ゴールドラッシュ」といった種類のトウモロコシは、そのすべてがスイートコーン。
私たち人間は、トウモロコシを食べる際に「甘さ」を重視しています。

これに対し、粗悪なドッグフードの原材料に使われているトウモロコシは、デントコーン(馬歯種)やフリントコーン(硬粒種)。
これらの聞き慣れないトウモロコシは、家畜の飼料用、コーンスターチの原料、工業用の原料として栽培されているものです。
同じトウモロコシとはいっても、スイートコーンとはまったくの別物だと考えて間違いありません。
一言で言ってしまうなら、人間が食べても美味しくないトウモロコシなんですね。

なぜ美味しくないのかといえば、牛、豚、鶏といった家畜の飼料、もしくは工業製品の原材料となるトウモロコシに、人間の味覚が求めるような甘味は必要ないからです。
スイートコーンと飼料用のトウモロコシとでは、栽培の手間暇が比べものになりません。
当然のことながら、その差はお値段にもガッチリ反映されることになります。
工業用のトウモロコシは大規模農業によって安価に栽培されているため、美味しさどころか消化に良い悪いなども二の次ですし、残留農薬も気になるところです。

いずれにしろ、そういうトウモロコシを大量に使用しているからこそ、質の悪いドッグフードは危険なわけですが、あくまでも人間が食べるトウモロコシとは別物。
そして、私たちが愛犬の手作り食にトウモロコシを使うとしたら、その選択肢は食用の一択です。
つまり、トウモロコシだからという理由だけで除外する必要なんてないんですよね。

見直したい!トウモロコシに含まれている栄養素

私たちが食用として手に入れるトウモロコシは、前述のとおりそのすべてスイートコーン。
すなわち、愛犬の手作り食に加えるトウモロコシもスイートコーンということになります。

そんなスイートコーンは名前の由来になっているとおり、糖分が主たる栄養と考えて間違いありません。
近頃は「糖分」=「悪いもの」というイメージが先行しがちですが、糖分とは体のエネルギー源であり、本来は絶対に欠かせないものなのです。

もちろん、トウモロコシに含まれているのは糖分だけではありません。
ビタミンB1、B2、B6、葉酸、カリウム、マグネシウム、食物繊維、リノール酸(必須脂肪酸)なども含まれているんですよね。
また、トウモロコシにはタンパク質も含まれています。

ところが、犬にとっての必須アミノ酸が足りないからダメだ!などという乱暴な意見があることに驚かされます。
そもそも、トウモロコシは植物であって動物ではありません。
犬が必要としている必須アミノ酸はあくまでも動物性タンパク質から摂取するべきであり、それをトウモロコシに求めることこそが愚の骨頂ではないでしょうか。

ちなみに、トウモロコシのアミノ酸には必須アミノ酸であるリジンがあまり含まれていません。
しかし肉類にはリジンが含まれていますので、要はきちんと動物性タンパク質と組み合わせればいいだけの話しなんですよね。

手作り食にトウモロコシを加える際に注意すること

愛犬のご飯にトウモロコシを使う場合は、とにかく消化がしやすくなるように一手間加えてください。
これはどの野菜や穀物に関しても言えることであり、なにもトウモロコシだけが特別なわけではありません。
必ず柔らかくなるまでしっかりと茹でたら、さらにすりつぶしてペースト状にすることをおすすめします。

トウモロコシ粒の皮は不溶性の食物繊維。
少量摂取する分には問題ありませんが、多すぎれば消化不良の原因になるだけです。

さて、そんなトウモロコシですが、消化しやすくなる一手間を加えたとしても、与える量には十分に注意してください。
いくら栄養豊富でも、犬の胃腸が消化を得意としているのは動物性タンパク質――肉類であり、トウモロコシはどこまでいっても脇役の植物性原材料だからです。
あくまでもトッピング程度の量におさえておきましょう。

缶詰めを使う場合は塩分や糖分に注意

缶詰めやレトルトなどのトウモロコシを使う場合は、塩分や糖分といった調味料が含まれていないか、必ずチェックしてください。
また、あえて言うまでもないことですが、トウモロコシにアレルギーのある犬に食べさせるのはNGですし、トウモロコシの芯を食べさせるのも厳禁です。
なぜこんな当たり前のことをあえて言うのかといえば、茹でたトウモロコシを輪切りにし、愛犬に粒のところだけ食べさせようとしたところ、芯ごと奪い取って飲み込んでしまった、という事例が少なくないからです。
嘔吐してすべて吐き出せればいいですが、吐き戻す際に窒息するかもしれません。
また、体内に芯が残ってしまった場合、胃腸に炎症を起こす原因になってしまったり、腸閉塞を引き起こす可能性があります。

雑な与え方をするとろくなことになりませんので、充分にご注意ください。