ブリーダーの言う自家ワクチンって何?
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ブリーダーから直接子犬を購入する際に、
ワクチンを接種してあるかどうかたずねたところ、
「うちは自家ワクチンだから獣医の証明書はないけど、
ちゃんと接種してあるから心配しなくていいよ」と言われたとします。
これ、どういう意味だかわかりますか?
ワクチン費用をかけたくない本音
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子犬は生まれてから母親の母乳を飲むことで免疫抗体をもらいますが、
これはいつまでも効力が続くわけではありません。
そのため、母乳からの免疫抗体が弱まってくるだろうと予測される時期に
最初のワクチンを接種するわけですが、
この時期は生後45日ぐらいから60日ぐらいに設定されることが多いため、
必然的に飼い主の手元へ行く前に1回目の注射をすることが望ましくなります。
初回に接種するのはパルボ単体、もしくはパルボやジステンバーなど
いくつかの伝染病を予防する混合ワクチンです。
このワクチンは、本来獣医師が接種して証明書を発行するものです。
しかし、当然そこにはそれなりの費用がかかるため、
ここを削るためにブリーダー自身がワクチンを接種することがあります。
これがタイトルにもある「自家ワクチン」というものの正体です。
ワクチンは危険を伴うもの
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誰が打っても効果が同じなら、違法だろうと
ブリーダーが打ってもいいじゃないか!という意見を聞くことがあります。
しかし、これははっきり言って正しくありません。
第一に、まともな獣医師であればワクチン接種前に
子犬の体調がワクチンを接種しても問題がないかを診察するはずです。
そして、もしもショック症状などが起きた場合には、
適切な対処をすることになるでしょう。
しかし、ブリーダーが勝手に接種するということは、
この部分が完全に欠如することになるわけです。
「犬を生業としているプロなんだから、
体調不良かどうかは獣医に診せなくたってわかる!」と反論する人もいますが、
聴診器で心音を聞いているわけではありません。
ましてやアナフィラキシーショックなどを起こしてしまった場合、
果たして速やかな対処ができるのでしょうか?
まあ、この場合は1匹ぐらい死んでしまっても他の子犬を売ればいいや、
という感覚なのかもしれませんが……。
ワクチンは保管状態が大切
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さらには、ブリーダーがどういう方法でワクチンを入手し、
きちんと保管できていたかどうかも重要な問題です。
ワクチンは保管方法が悪いと効力がなくなるため、場合によっては
まったく効果のあがらないただの液体を注射している可能性もあるのです。
冷蔵庫に入れて保管してるから大丈夫!と思っていたら
冷蔵庫に入れる前にすでにダメになっていた、ということはありえます。
なぜなら、入手経路が不透明だからです。
また、光や温度の影響を受け、効力を失っている恐れのあるワクチンだからこそ、
獣医がこっそりブリーダーに譲り渡した…、という
可能性がないとは言い切れないのが現在のペット業界の現状です。
結論から言えば、ブリーダーが自分で打ったワクチンに
効力があるかないかはわかりません。
しかし、少なくとも犬を「命ある存在」として尊重するブリーダーが
とる行動ではないことだけは確かです。
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