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愛犬の体にイボやおできを発見したら

この記事の目次

愛犬をナデナデしていたら、指先に何かプツっとしたものを感じた。そこで被毛をかきわけて確認してみると、おできのようなものを発見

こんなとき、たいていの飼い主さんは人間にできたおできや吹き出物を発見した時以上に心配になるものです。しこりというほどではないにしろ、普段ないはずの場所になにかができている状況は、やはり気になるものですよね。

今回は、そんな犬のイボやおできについて考えてみたいと思います。

愛犬にできた謎の物体はおでき?吹き出物?イボ?

愛犬の体に突如として出現した謎の小さな物体。これっておでき?それとも吹き出物?はたまたイボなのでしょうか。

  • おでき(できもの)・・・毛穴の周囲になんらかの化膿菌が感染し、炎症を起こして化膿した状態
  • 吹き出物・・・皮脂などで詰まった毛穴内に炎症が生じて化膿した状態
  • イボ・・・パピローマウィルス(皮膚乳頭腫ウィルス)などの感染によって皮膚に突起物ができた状態

上記から考えるに、おできと吹き出物に関しては、犬の場合あまり厳密に違いを明確にする必要はないように思います。

となると、犬の体にできたポチっとした突起に関しては、「おでき」なのか「イボ」なのかが焦点になってきます。

犬の白いおでき

おできと一口に言っても、とりあえず様子見をしても良いおできと、早期に治療を開始したほうがよいおできがあるのは確かです。もしも愛犬の体におできと思われるものを発見してしまったら、まずはじっくりと観察することから始めましょう。

白っぽいおできは、人間でいえばニキビや吹き出物に相当するケースがほとんど。

分泌された皮脂が毛穴に詰まったことで炎症を引き起こし、その結果おできになった可能性が高いのです。気づくといつの間にかなくなっているタイプがこの白いおでき。

とりあえずは様子見をしてもよいおできですが、なめたり足でひっかいたりして二次感染を引き起こしてしまった場合は、かかりつけの獣医師に相談したほうがよいでしょう。それが原因で皮膚病などを引き起こした場合、完治に時間がかかることがあるからです。

犬の赤いおでき

白いおできと違い、赤いおできを発見したら様子見は禁物です。早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。

なぜなら赤いおできは早期に手を打たないと、悪化してしまう可能性が高いからです。

アカラス(毛包虫症)の可能性

アカラスとはニキビダニと呼ばれる小さなダニが犬の毛包(毛根を包む組織)や皮脂腺に寄生することにより、炎症が起きた状態です。

初期はちょっとした脱毛程度でかゆみがないことから気づきにくく、そのせいで発見が遅れてしまいがち。症状が進んでかゆがるようになると、飼い主は愛犬に赤いおできができていることに気づくことが多いのです。

ニキビダニは角質をエサとしていることから、ダニそのものが直接皮膚病の原因になることはありません。

しかし、問題はかゆみによってかきむしったことで引き起こされる二次感染。

だからこそ赤いおできを見つけた場合は、たとえ愛犬がかゆがっていなかったとしても、早期に治療を開始したほうが悪化させずに済むのです。

疥癬症(かいせんしょう)の可能性

疥癬症はイヌセンコウヒゼンダニの寄生によって引き起こされる皮膚病。放置すると猛烈なかゆみによって犬が苦しむことになります。

当然のことながら、強いかゆみのせいで犬は必要以上に体を噛んだりかきむしってしまうため、傷のついた皮膚は二次感染を引き起こし、どんどん悪化をたどることになるでしょう。

だからこそ、初期の赤い発疹程度の段階で発見できたら、様子見はせずに即治療を開始する必要があるのです。

また、ヒゼンダニが厄介なのは、犬だけではなく他の動物はもちろんのこと、一時的とはいえ人間にも寄生すること。手遅れになればなるほど被害が家族中に広がってしまうため、見つけ次第きちんと手を打つことが大切です。

犬の黒いおでき

黒いおでき――。想像するだけでなんだか不吉な感じがしますよね。

黒いおできを発見した場合も、様子見はしないでとにかくまずはかかりつけの動物病院を受診しましょう。

マダニの可能性

犬の体に寄生したマダニをおできと見間違えるだろうか?と思われるかもしれませんが、これがけっこう見間違えるものなんです。吸血した血液によって黒っぽく膨れたマダニは、腹が立つほどに厄介。

引っ張って取り除こうとすると、皮膚の中にもぐりこませている口がちぎれて残ってしまうことがあるからです。するとその部分が炎症を引き起こし、さらにはアレルギー性皮膚炎の原因になることも。

また、マダニは人獣共通感染症(ズーノーシス)を媒介するうえでも危険です。

様々な感染症の危険性を考えると、やはり獣医師に診察してもらい、完璧にマダニを取り除いてもらうのが一番。さらにはマダニが媒介する感染症にかかっていないかをしっかり確認してもらったほうが、より安心できることは間違いありません。

黒腫瘍(皮膚がん)の可能性

単なるホクロだと思っていたら、実は皮膚がんだったというケースも。

いずれにしろ、愛犬の体に黒いおできを発見した場合は、かかりつけの動物病院できちんと診てもらうのが一番です。一番避けたいのは素人判断でホクロだと思い込み、おかしいと気づいたときには手遅れだった、という事態。

だからこそ、早めに動物病院で黒いおできの正体を確認してもらったほうがいいのです。

犬のイボ

イボができやすいのは免疫力が落ちた犬

人間にできるイボも、犬にできるイボも、原因の多くはパピローマウィルスです。

パピローマウィルスはとりたてて珍しいウィルスというわけではなく、どこにでもいるようなありふれたタイプ。つまり、免疫力がしっかりとしている成犬期はパピローマウィルスの影響を受けにくく、結果としてイボもできにくいということになります。

しかし、免疫力の不完全な子犬期や免疫力が弱まった老犬、さらにはなんらかの疾患によって免疫力が落ちてしまっているときなどは、パピローマウィルスが悪さをしてイボができやすくなるのです。

パピローマウィルスの侵入経路

パピローマウィルスが原因のイボの場合、その侵入経路は皮膚にできた傷であることがほとんどです。引っかき傷だけではなく、たとえば肌が乾燥して荒れているような場合にも、本来皮膚に備わっているはずのバリアは弱まることに。

その結果、ウィルスに侵入されてイボができてしまうわけですね。

紫外線による刺激も皮膚のバリアを弱める原因になりますから、サマーカットはほどほどにしておかないと、イボの原因になることがあるわけです。

ちなみに――。犬は人間より皮膚病になりやすく、イボができる確率は30倍以上といわれています。

つまり、犬はもともとがイボのできやすい生き物だったんですね。

良性か悪性か

イボと一口に言っても形状や色合い、硬さにはバラつきがあります。

良性のイボ
  • 大きさ・・・1センチより小さく、急激に大きくなることはない
  • 色合い・・・白、肌色、ピンクといった明るい色
  • かたさ・・・柔らかい
悪性のイボ
  • 大きさ・・・1センチより大きく、時間の経過とともに大きくなっていく
  • 色合い・・・黒、紫、赤黒といった暗い色
  • かたさ・・・コリコリまたはゴリゴリした硬い感触

悪性のイボの場合、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)悪性黒色腫などの可能性が疑われます。とはいえ、当然のことながら正確な判断は獣医師に仰ぐべき。

良性のイボの条件を備えていたとしても、絶対に良性だとは限らないからです。とにかく気になったらまずは動物病院を受診しましょう。

飼い主の心配性は悪いことではない

悪性のイボだと思って動物病院を受診したら、ただの色素沈着だった――。

心配性が過ぎると笑う人もいるかもしれませんが、これは決して悪いことではありません。なぜなら、大丈夫だろうと思って見過ごした結果、手遅れになることほど最悪な事態はないからです。

どんな病気も、早期に発見できればできるほど、完治できる確率が高くなることは間違いありません

大切な愛犬の体を守るためなら、心配性の飼い主だと笑われることぐらい、どうってことないと思いませんか?