【多頭飼い】仲間ロスで犬が変わってしまったシュナウザー2号の話
昨年、我が家ではイタリアングレイハウンドとミニチュアシュナウザーが相次いで旅立っていきました。
比較的年齢の近い4匹の犬と暮らしていたのです。予想外なことではありませんが、それでもやはり1年のうちに2匹が亡くなったのは正直こたえました。
残された犬の仲間ロスに直面
何匹もワンちゃんを飼っていると、ペットロスにならなくていいわよね。
ここ最近何度かそんなふうに声をかけられたことがありますが、はっきり言いましょう。
なりますよ!
ただ、ペットロス症候群と呼ばれる日常生活に支障が出るほどの症状がでていないだけで、気を抜けば今この瞬間にも涙がドバーっと出てしまいそうです。とはいえ、私がしっかりしなければと思えたのは、残された犬のケアに追われたからなのかもしれません。
我が家には現在最年長のミックス犬(パグ×パピヨン)と、最年少のミニチュアシュナウザー2号の2匹が暮らしています。
イタグレの死から7ヶ月後にシュナウザー1号が亡くなったのですが、その直後からシュナウザー2号の行動に明らかな異変が起きました。
末っ子のシュナウザー2号はいつも楽しいことを探してフラフラと歩き回るような犬だったのですが、シュナ1号の死後、壁ぎわで壁のほうを向いてお座りをした状態のまま、じっと動かない時間が増えたのです。
声をかけても聞こえているのかいないのか。ただぼんやりと壁を見つめています。
背中をトントンと叩くと、びっくりしたような顔をして振り返るんですね。まるで耳が聞こえていないか、もしくは突然呆けてしまったかのような変化に、これはマズイと直感しました。
怒られることを楽しんでいたシュナウザー2号
生前、イタリアングレイハウンドは4匹の中で一番強い犬でした。
と言っても威張り散らすようなことは一切なく、それでいて他所のワンちゃんとケンカになるような時は、先頭を切って戦いに行く。まさしく姉御肌の犬、とでも表現したくなるような犬だったんですね。
年齢としては4匹の中で2番目でしたが、最年長のミックス犬がおっとりとした性格ということもあってか、実質リーダー格がイタグレだったのです。でもミックス犬のことをないがしろにしないという、本当によくできた犬でした。
そして3番目のシュナウザー1号はとにかく甘えん坊。何もかも自分が主体でないと気が済まないワガママ娘タイプの犬だったのです。 シュナウザー2号はそんなイタグレとシュナウザー1号に怒られてばかりの毎日でした。
でも、怒られたからといってめげたり落ち込んだりしているわけではなく、むしろかまわれていることを楽しんでいるかのような向きがあったんですね。
その理由の一つとしては、シュナウザー2号が4匹の中で一番体格が大きな犬だったからではないでしょうか。
要するに、大人しく怒られてはいるものの、いざとなればいつでも反撃して勝てるだけの体格差があったのです。だからこそ、シュナウザー2号にとっては怒られることすらもが遊びの一部だったのかもしれません。
犬が変わってしまったシュナウザー2号
イタグレとシュナ1号がこの世を去ったあと、シュナウザー2号はオモチャで遊ばない犬になりました。あれほど夢中になっていたボール遊びにも、オモチャの引っ張りっこにも、犬用ガムにもまるで反応しなくなったのです。
今にして思えば、シュナウザー2号が大好きだったのはボールやオモチャで遊ぶことではなく、楽しそうに遊ぶシュナ1号から横取りすることだったんですね。オモチャの引っ張りっこにしても、私や家人とではなく、ムキになったシュナ1号とやりたかったのでしょう。
ちなみにオモチャやヌイグルミをすべて独り占めしなければ気が済まないシュナ1号のせいで、最年長のミックス犬と2番目のイタグレは、早々にオモチャ遊びから離脱してしまいました。大騒ぎをするシュナ1号と争うのが面倒くさかったのでしょう。
そんなシュナ1号に性懲りもなくからんでいたのが唯一シュナ2号だけだったのです。まあ、ある意味需要と供給の関係が出来上がっていたというか……。
でも、もうオモチャやボールを奪いにいく相手はいません。
オモチャもヌイグルミもボールも、すべてをシュナ2号が独占できるようになった今、それらは彼女にとって何の魅力も持たない物質へとなり果ててしまったのです。
なんとかしてシュナ2号を立ち直らせなければ!
とはいえ、当初は新しいオモチャを用意すればそれなりに反応するのではないかと思っていました。
とにかくシュナ2号を元気づけようと、新しいボール、新しいヌイグルミ、新しい犬用ガムを用意しましたが、結果は散々なものに。どれもほんの少しくわえてはみるものの、ほとんど見向きもしませんでした。
ボールを投げても仕方なさそうにとぼとぼ歩いて取りには行きますが、まったく楽しそうではありません。時間をかけて気持ちを回復させる必要があることは明白でした。
現在、もうすぐ16才になる最年長のミックス犬は腎不全の闘病中。
ただでさえオモチャやボールで遊ぶ犬ではなかったのに加え、体調を崩してからというもの、散歩に出ることすらままなりません。家では日がな一日眠って過ごしていることもあり、シュナ2号は実質一人っ子のような状態になってしまったんですね。
そこで家人と相談し、とにかくシュナ2号を外に連れ出すことにしました。
毎日の散歩はもちろんのこと、いつもだったら犬は連れずに出掛けていた遠方への買いだしにもシュナ2号を同乗させる。そんなふうにして日々を過ごすうちに、少しずつシュナ2号の表情が明るさを取り戻していったのです。
争いがあるからこそ多頭飼育は楽しい
イタグレとシュナ1号がいなくなった我が家では、もはやオヤツやご飯の争奪戦は起きません。ミックス犬は腎不全の療法食を強制給餌で食べているので、食事の時間はシュナ2号の独り飯となりました。
これまでは、いちはやく食べ終わったら他のメンバーの食器に顔を突っ込む気マンマンだったシュナ2号。いまや驚くほどおっとりと食事をする犬に変わりました。オヤツをくれくれとも言わなくなりました。
もちろん、そんな状態でもオヤツをあげれば喜んで食べはしますが、あのギラギラとした食欲大魔神にはもう変身しません。
多頭飼育をしていると、オヤツやオモチャのとりあいで時には大事件が勃発することもあります。
その時は、「まったくもう!!」と怒ったり叱ったりするわけですが、今振り返るとそれこそが多頭飼育ゆえの幸せだったのだと実感する毎日です。