変形性関節症は飼い主の意識次第で防げる病気
![](images/dog/c01-01-024.jpg)
帰宅するたびに、いつも大喜びで
ピョンピョン飛び跳ねて出迎えてくれた愛犬が、最近はなんだか大人しくなった――。
心当たりがある飼い主さんは、「こいつも年をとったなぁ…」
などとしみじみしている場合ではありません。
もしかしたら、変形性関節症にかかっている可能性があるからです。
変形性関節症とは?
![](images/dog/c01-01-024-1.jpg)
読んで字のごとく、関節が炎症を起こして変形してしまった状態のことです。
理屈としては全身の関節すべてに変形性関節症は起きる可能性がありますが、
前足の肘関節、後ろ足の膝関節、それから股関節に多く発症するのは、
体重によって関節に負担がかかりやすい部位だからです。
変形性関節症の原因にはおおむね二通りあり、一つは加齢によるもの。
それまで酷使されてきた関節軟骨が磨り減ってしまい、
関節内部で損傷または変形してしまうことで引き起こされます。
二つ目は先天的な関節の疾患が原因となり、二次的に引き起こされるもの。
ようするに、もともと股関節形成不全や膝蓋骨脱臼(パテラ)などを抱えていた犬の場合、
関節への負担が尋常ではないために引き起こされてしまうわけですね。
この場合、ただでさえ痛みを伴う関節の疾患を抱えていたのですから、
変形性関節症までが加わってしまうと、どれだけ痛いのか想像するだけでゾっとしませんか?
こんな様子が見られたら注意!
![](images/dog/c01-01-024-2.jpg)
変形性関節症によって痛みを感じているとしたら、
愛犬は今までとは違う行動を見せているはずです。
変形性関節症を患った犬の行動の例
- そういえば、最近は以前のようにピョンピョン飛びつかなくなった。
- 以前のように2階に駆け上がってこなくなった。
- 足を引きずっているのを見かけたことがある。
- 特定の関節をやたらとなめたり噛んだりしている。
- 抱っこしようとすると嫌がることがある。
- 歩き方や走り方が以前とはどこか違う気がする。
上記は単なる一例に過ぎず、他にもまだまだいろいろとあるはずです。
とにかく共通しているキーワードは「前とは何かが違う」ということ。
それを「年をとったから…」の一言で片付けてはいませんか?
しかし、飼い主が見逃している陰で、
愛犬はもしかしたら痛みに苦しんでいるかもしれません。
どうやって治せばいいの?
![](images/dog/c01-01-024-3.jpg)
変形性関節症にかかってしまったら、残念ながら完全に元に戻すことはできません。
しかし、だからといってそのまま放置してしまうと、
愛犬はますます痛みに苦しむことになります。
症状が重くなれば、単に歩くことさえ苦痛になってしまうでしょう。
1.まずは動物病院で診察してもらう
当たり前のことですが、変形性関節症を疑ったら
まずは、かかりつけの動物病院で診察してもらいましょう。
必要に応じて消炎鎮痛剤を処方してもらうことで、
関節の炎症をおさえることができるはず。
それにより痛みを和らげることができますので、
まずは痛みによる苦痛から愛犬を解放してやることが先決です。
2.体重を管理する
正常な体重より重い状態――肥満が関節に良いわけがありません。
もともと体重過多の場合は有無を言わさずに体重を落とす必要があるわけですが、
今が肥満ではないからといって油断はできないのです。
なぜなら、変形性関節症にかかると痛みのせいで動きが鈍くなりやすいため、
通常より運動量が減ってしまい、体重が増えやすくなる状態にあるからです。
変形性関節症にかかってしまったら、飼い主による体重管理は必須です。
3.適切な運動
消炎鎮痛剤などによって炎症と痛みをとることができたら、
適切な運動が必要になります。
関節が痛んでいるのだから運動はご法度なのでは?と思われがちですが、
適切な筋肉がついていると関節を支えることができるため、
関節そのものへの負担を減らすことができるのです。
ただし過度の運動は禁物。
その時々の犬の体の状態に合わせた運動量を飼い主が調節する必要があります。
可能であれば水泳などを取り入れると、
関節に負担をかけずに筋力強化をはかりやすくなるでしょう。
予防する意識が愛犬の関節を守る
![](images/dog/c01-01-024-4.jpg)
先天的に関節にトラブルがないからといって、
関節にかかる負担のことをなにも考えずに生活していると、
愛犬が変形性関節症を発症する可能性は高くなってしまうでしょう。
なぜなら、過度の運動が引き起こすと思われがちの関節トラブルですが、
実は何気ない日常生活の中にこそ、変形性関節症の原因がひそんでいるからです。
骨格が安定しない子犬から若犬の頃、楽しいからといって
やたらと飛んだり跳ねたりさせてしまうと、
将来関節を壊してしまう原因になるかもしれません。
また、フローリングの床のように滑りやすい環境で生活している場合は、
出来る限り滑りにくくしておかないと、
毎日の生活そのものによって関節に大きな負担をかけ続けることになるのです。
関節の激痛に苦しむ犬は本当に可哀想です。
愛犬をそんな辛い目にあわせないためにも、
普段から「関節を守る」という意識を持つことが、
なによりも大切なのかもしれません。
関連記事
-
犬の関節を守るために見直さなければいけないこと
犬の変形性関節症という病名を聞いたことはありますか? いわゆる、足に痛みがでたことで歩行に問題が起きる状態です。足を引きずって歩いている、階段の上り下りを嫌がるよ
-
老犬の関節炎に気づかない飼い主の割合は25%
犬が体のどこかに痛みを感じているとき、飼い主に対してどんな仕草で訴えかけてくるでしょうか。キャンキャンと鳴く・・・? 痛いところをアピールするような行動をとる・・
-
老犬の関節炎に気づかない飼い主の割合は25%
犬が体のどこかに痛みを感じているとき、飼い主に対してどんな仕草で訴えかけてくるでしょうか。キャンキャンと鳴く・・・? 痛いところをアピールするような行動をとる・・