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愛犬と一緒のお墓に入るには?

この記事の目次

大切な愛犬はペットというより、家族そのもの。

だからこそ、いずれは一緒のお墓に入りたいと思う飼い主さんが増えています。よく知らないダンナの先祖や不仲の義父母と一緒のお墓に入るぐらいなら、愛犬の遺骨と一緒に一人でお墓に入りたい、なんて切実な声まで耳にするようになりました。

理由はともあれ、我が子同然に可愛がってきた愛犬と一緒のお墓に入りたいという願いは、犬と暮らす者としては全面的に理解できる気がします。

飼い主の意識と乖離した法律での扱い

愛犬が天寿を全うしたら、飼い主としてはしっかり供養をして、いずれは然るべきところに埋葬をしてあげたいと考えるものです。

しかし、身も蓋もない言い方をしてしまえば、法律上において愛犬の遺体は廃棄物。愛犬が誰かにケガをさせられたら、傷害ではなく器物損壊とみなされる理屈と同じです。

要するに、法律の観点から見れば愛犬は飼い主の所有する「器物」なんですよね。ちなみに器物とは道具のことです。

だからこその廃棄物なわけですが、ワンコと暮らす者にとってはなんとも腹立たしい解釈でしかありません。

それはさておき――。

愛犬の遺骨を人間のお墓に埋葬しようとすると、そこにはなかなかに高いハードルが待ち受けているんですよね。

仏教においては畜生扱いされる愛犬の死

日本人の宗教観は良く言えば柔軟、悪く言えばゆるゆるです。

生まれたときは神社でお宮参りをし、クリスマスやハロウィンはクリスチャンでもないのに夜通し大騒ぎ、そして死んだらお寺でお葬式。と言うわけでお墓に関しては圧倒的に仏教系が多いわけですが、この部分が愛犬と一緒にお墓に入りたい飼い主にとってはネックになるのです。

仏教において動物(もちろん犬も含みます)はすべからく畜生。動物(畜生)は死んだら人間のように極楽に行くのではなく、輪廻転生してまた動物(畜生)に生まれ変わるとされています。

ではなぜ人間のように極楽へ行けないのかといえば、仏法によって迷いから離れられるのは人間だけだから、というのがその理由なのだとか。

要するに、仏教において畜生は人間より卑しい存在とされているんですね。だからこそ、仏教系のお墓に人間とペットを一緒に埋葬することはタブー視されているんです。

宗教観ゆるゆるの日本ですが、そこだけはこれまで頑なに守られてきたんですよね。まあ、ペットが家族の一員であるという考え方がここ最近のものであることを考えれば、それも致し方ないのもしれませんが……。

とはいえ、最近はかなり柔軟な解釈をするお寺もあるのだとか。成仏を願って供養を行えば動物であろうとすぐに極楽往生できる、という解釈をしたうえで、飼い主とペットが一緒のお墓に共葬されるケースも実現しはじめてはいるようです。

まだまだほんのわずかではあるものの、今後はペットとの共葬が解禁されるお寺が増えるかもしれません。

実際のところは檀家の数を減らすよりはマシ、という現実的な側面があるにしても、そこにペットは家族の一員であるという概念が上手く融合してくれたらいいですね。

増え始めたペット可の霊園や墓地

実のところ、お墓にペットを埋葬してはいけない、という法律はありません。つまり、ペットの埋葬を禁じている理由はいわゆる「倫理観」からくるものなんですね。

とはいえ――。

法律に違反していないからといって、勝手にお墓に愛犬の遺骨を埋葬するのはNGです。勝手にペットの遺骨を埋葬した場合、規約や契約に違反することになり、場合によっては契約解除で霊園を退去しなければいけなくなるケースもあるぐらいです。

逆に言えば、規約や契約によってペット可であれば、大手を振って愛犬と一緒のお墓に入ることができるというわけですね。

しかし、残念なことにまだそういった霊園の数は多いとは言えません。少なくとも、公営の霊園においてはいまだペットとの共葬は不可のままです。となると、民営の霊園を探すしか方法はありません

ちなみに、ペットとの共葬が可能な霊園の多くは宗教を問わないと謳っているところがほとんどです。とは言え、仮に共葬可であっても霊園全区画がペットOKとは限りません。

一部区画のみという場合もありますので、このあたりは事前にしっかりとリサーチしておかなければならないでしょう。

また、まだまだほんの少数ではありますが、最近はペットと一緒にお墓に入れるお寺も出てきました。本気で将来愛犬と一緒にお墓に入りたいなら、早め早めに情報を集めておいたほうがよさそうですね。

愛犬と一緒のお墓に入るために樹木葬を選ぶケースも

ここ最近増え始めた樹木葬であれば、愛犬との共葬を実現できる可能性が高くなります

樹木葬というのは墓石を建てる代わりにシンボルツリーを植え、それを墓標とする埋葬の仕方のこと。樹木葬の場合はご先祖様などが埋葬されている一般的なお墓とは違い、ほぼ個人のためのお墓であることから、ペットとの共葬が許可されやすい傾向にあるんですね。

要するに、ペットを一緒に埋葬することに異議を唱える親戚縁者がいない、というのがその理由です。

ただし、樹木葬であってもペットを一緒に埋葬することを禁じているケースもありますので、とにかく愛犬と一緒にお墓に入るためには、事前に入念なリサーチが必要なんですよね。