4匹のうち獣医師が大好きなのは1匹だけ
獣医さん――。
子どもの頃から動物が大好きで、獣医師になったかたも多いのではないでしょうか。
そんな獣医さんですが、なんというか因果な仕事だよなぁ、と思ってしまうことがあります。
それはなぜかといえば、患者である動物の不調を改善するために何かをすればするほど、微妙に怯えられてしまうからです。
我が家の4匹の犬にしても、お世話になっている獣医師に対する態度は4匹4様。
先生が大好きな犬がいる反面、まるでバケモノに出会ったかのごとくビビリまくる犬もいます。
先生大好き!パグとパピヨンのミックス犬
我が家の4匹の中で、唯一先生にものすごく懐いているのがパグとパピヨンのミックス犬。
もうすぐ14才になるこの犬は、1才になるかならないかぐらいの頃、私が出張する際に何度かかかりつけの動物病院で預かってもらったことがあります。
だからなのか、その後もずーっと先生のことは大好きなまま。
診察台の上に乗せると、先生のほうを向いて激しくシッポをフリフリし、それはもう大好きな気持ちを全身で表現するんですよね。
もちろん、先生もニコニコ顔。
「ほらほら、静かにしないと聴診器があてられないよぉ~」という感じでかなり嬉しそう。
ちなみにこの犬は注射をしてもまったく動じることがありません。
この子の診察はいつでも終始なごやかな雰囲気で進行していきます。
診察台から隙あらば逃亡しようとするイタリアングレイハウンド
動物病院の診察台は、乗せると体重が量れるような仕様になっています。
イタグレは、診察台に乗せた0.5秒後にはジャンプして逃げようとする犬。
初期の頃はあわやジャンプされかけたこともありましたが、今では看護師さんも手慣れたもの。
にこにこ顔でがっちりと関節をきめてしまうため、イタグレは動くことができません。
そんなイタグレですが、先生のことはできるだけ視界に入れたくないのか、顔をそむけてしまいます。
口の中の様子を診察してもらう際、先生が前にまわりこんで口をカパっと開けたときでさえ、必死に目だけはそむけようとする徹底ぶり。
先生はちょっぴり悲しげに「たまには僕のほうも見てよ」と声をかけますが、イタグレは診察が終了すると同時に逃亡しようとします。
飼い主として、なにかもう、本当にスミマセン、という感じでしょうか。
普段の乱暴さがウソのようにうなだれる大きいほうのシュナウザー
2匹いるミニチュアシュナウザーのうち、体格が大きいほうは、4匹の中で一番の乱暴もの。
家の中ではかなり調子に乗りまくっている犬ですが、診察台の上に乗せたとたん、まるでこの世で一番不幸な犬であるかのようにうなだれてしまいます。
先生に声をかけられても、うなだれたまま。
そして、「どうせまた、痛いことをするんでしょう?」と言わんばかりの顔でチラっと先生を見たりします。
ちなみに、ほぼ痛いことなんてされたことはありません。
注射は痛いのかもしれませんが、注射針が刺さった瞬間も特に痛そうな素振りは見せませんので、おそらく注射を痛いものだとは思っていないはず。
つまり、完全なる被害妄想系の犬です。
診察台の上では声も出せないほどビビリまくる小さいほうのシュナウザー
さて、我が家の4匹の犬の中で最も動物病院を恐れているのは小さいほうのミニチュアシュナウザーです。
この子は待合室にいる段階でガタガタと震えだし、置物のように固まってしまいます。
そしていざ診察台の上に乗せると、「もうダメだ、殺される……」とでも言わんばかりにへたりこんで動けなくなってしまうんですね。
先生もなんとかリラックスさせようと、「怖いことしないよ、痛くもないよ」と優しく声をかけつつ聴診器をあてるのですが、シュナはもう息絶える寸前という顔でじっと耐えるばかり。
そしてあるとき、スローモーションで先生のほうにそっと顔を向けると、ワウっと鳴くような雰囲気で口を動かしたことがありました。
ハフっという空気が抜けるような小さな音のみで、声はまったく出ていませんでしたが。
これには先生も悲しげな顔で苦笑い。
「そうか、そんなにイヤか……。痛いことしてないのになぁ……」
というつぶやきに、看護師さんも苦笑い。
飼い主としては、こんなにもお世話になっているのに本当に申し訳ありません、という心苦しさしかありません。
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