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盲導犬も警察犬も、生まれつき立派なわけではない

この記事の目次

犬の種類を聞くと浮かぶイメージってありませんか?
たとえばラブラドールレトリーバーなら、おとなしくて賢くて立派な盲導犬。
ジャーマンシェパードなら勇猛かつ優秀な警察犬。
ボーダーコリーなら広い牧場を走り回って見事に羊を誘導する牧羊犬。

その他にもドーベルマンは賢いけれどなんだか獰猛で怖そう、というように、
犬の種類を聞いただけでイメージする姿というものがあると思います。

こういったイメージされる姿というのは、
ある意味その犬種の持つ特性を研ぎ澄ませた結果ですから、
間違ってはいないのでしょう。

しかし、勘違いしてはいけません。
これらの犬種は正しいトレーニングと日々の努力の結果、
そのように性質を開花させた
のです。

何もしなくても勝手にそういう犬に成長したわけではありません。

ラブラドールレトリーバーが大人しい犬!?

初めて犬を飼う人で、大型犬のラブラドールを選ぼうとする人が
こんなことを言うことがあります。

「ラブラドールは大人しくて賢いから、
小さい子どもがいるうちにもピッタリだと思うんです」


これ、実際にラブラドールレトリーバーを飼育している人からは
総ツッコミが入りそうなセリフ。

ラブラドールレトリーバーは確かに賢い犬ですが、決して大人しい犬ではありません。
ヤンチャで遊び好きで、スイッチが入った状態のラブラドールはまるで暴走機関車。

それがどうして大人しい犬のイメージに変換されるのでしょうか?
それは、きちんとしたシツケとトレーニングにより、
そのように振舞える立派な犬へと成長した犬の姿
がクローズアップされるからです。

しかし正しいシツケとトレーニングをしなければ、
当然のことながら誰もがイメージするような姿にはなりません。

自分に都合良く解釈しないで!

もう二十年以上前の映画になりますが、
『マスク』に登場したマイロという名前の犬があまりにも可愛くて賢くて、
ジャックラッセルテリアを飼いたい!という人が急増したことがありました。

しかしジャックラッセルテリアというのは、
日本人よりずっと犬のトレーニングが上手なイギリス人であっても、
「安易な気持ちで選んではいけない」と言う犬種
です。

見た目の可愛さだけで選んでしまうと、
ジャックラッセルテリアのエネルギッシュな性質に振り回され、
飼い主は疲弊しきってしまうことになるでしょう。

見た目は小さくて可愛いヌイグルミのような犬ですが、
中味はエネルギッシュな大型犬です。

仮にジャックラッセルテリアを選ぶ前に犬の性質を予習していても、
人は自分の見たくない情報はシャットアウトしてしまう生き物。

大変だと書いてあっても、
「でも、きっと飼ったらなんとかなるよ」と都合よく解釈するのです。
もちろん、ただ飼うだけならなんとかなる、とは思います。

しかし、犬種が持つ性質、才能を活かしてやることができないなら、
何のためにその犬種を選ぶのでしょうか?

正しくトレーニングできないと、往々にして
その性質や才能が暴走して飼い主を苦しめることになります。

それはイコール犬の不幸にもつながること。

犬をイメージだけで選んでしまうと、
犬と人の双方が不幸になる
ことを忘れないでください。