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油脂選びに迷ったらココナッツオイルがおすすめ

この記事の目次

油脂といえば、「健康のためにはあまり摂取しないほうがよい」という漠然としたイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、実際のところ油脂はとても効率よくエネルギーに変換できる、とても優れた栄養素。
特に、犬は雑食動物とはいえ、内臓の作りは肉食獣寄り。
つまり、油脂は犬にとって動物性たんぱく質に次いで摂取するべき栄養素です。

犬の体に良い効果をもたらす油脂とは

だからといって、油脂という名前がついていればなんでもいい、というわけではありません。
犬の体が必要としているのは良質な油脂。

では、なにをもって良質と定義するのかといえば……

  • 効率良くエネルギーに変換される。
  • 新鮮で酸化していない。
  • オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸をバランス良く含んでいる。

これが犬の体にとって必要な油脂の条件です。
では、具体的にはどんな種類の油脂を選べばいいのでしょうか。
アマニ油、サーモンオイルなど候補になる油脂はいくつかありますが、迷ったときは「ココナッツオイル」が使いやすくておすすめです。

ココナッツオイルはエネルギーに変換されやすい油脂

ココナッツオイルとは、ヤシ科の高木であるココヤシの果実から作られる油脂のことです。
早い話が、ヤシの実の種の中にある白い部分(胚乳)から抽出して精製されたオイルのことですね。
南国のイメージが強いココナッツですが、近年は健康志向の高まりから、ココナッツも私たちの食生活にはそれなりに根付いてきたのではないでしょうか。

そんなココナッツオイルは、まさしくエネルギーに変換されやすい油脂の代表格。
なぜなら、ココナッツオイルに含まれているのは、「中鎖脂肪酸」という体脂肪になりにくいタイプの脂肪酸だからです。

では、中鎖脂肪酸を含まない油脂に含まれている脂肪酸は何かといえば、「長鎖脂肪酸」という中鎖脂肪酸の倍ぐらいの長さがある脂肪酸。
そして中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の大きな違いは、エネルギーに変換されるまでの道順です。

  • 長鎖脂肪酸/小腸で吸収 → リンパ管や静脈を経由 → 脂肪組織、筋肉、肝臓などに運ばれる→ 必要に応じてエネルギーに変換されたり、体脂肪として蓄積
  • 中鎖脂肪酸/小腸で吸収 → 門脈(肝臓へと注ぎ込む血管)を経由 → 肝臓 → 分解されてエネルギーに変換

この経路の違いにより、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べて4倍から5倍も速くエネルギーに変換されるのです。
そして素早く肝臓に届くこの経路のおかげで、いつまでも胃腸にとどまらないため、胃腸に余計な負担をかけないというメリットもあるのです。

ココナッツオイルが認知力を高める

ココナッツオイルを摂取すると、「ケトン体」という脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物が体内で作られます。
産生されるメカニズムについてはものすごくややこしいので割愛しますが、簡単に言ってしまうと、このケトン体なるものが脳にエネルギーを与えてくれるんですね。

また、中鎖脂肪酸は脳内のオメガ3脂肪酸を増やす働きがあるため、これらの働きによって、高齢犬の認知力を高める効果が期待できるのです。
この認知機能を高める働きについては、人間のアルツハイマー型認知症を劇的に改善したという研究結果が報告されています。
だからこそ、犬の認知症にもぜひ活用したいところ。
いまや犬たちの平気寿命がどんどん延びていることを考えると、シニア犬の飼い主さんはもちろんのこと、シニアになる前の飼い主さんも注目すべきではないでしょうか。
特に、日本犬は体質的にオメガ3脂肪酸が不足しやすいことが指摘されています。
認知症を発症する前から対策をたてておくことこそが、健やかなシニア犬ライフのための近道となるのです。

ココナッツオイルの殺菌作用

ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸ですが、そのメリットはエネルギー効率の良さだけではありません。
中鎖脂肪酸の中の「ラウリン酸」という脂肪酸が体内摂取後に作り出す「モノラウリン」という化合物には強力な殺菌作用があります。
つまり、上手にココナッツオイルを摂取することで、抗生物質を使う頻度を減らせる可能性があるんですね。

糖尿病やクッシング症候群などといったホルモン系の病気にかかると、様々な細菌やウィルス、カビなどの感染症にかかりやすくなります。
そして、かかってしまうと重症化しやすくなるというリスクをも負うことになるんですね。
そのため抗生物質を多用せざるをえなくなるのですが、副作用のことを考えないわけにはいきません。
腎臓機能を低下させないためにも、薬以外で抗生物質と似た作用を得られるモノラウリンには注目していきたいところです。

また、ココナッツオイルの殺菌作用は服用した場合だけではありません。
皮膚にぬった場合も、皮膚の常在菌がココナッツオイルを分解して殺菌成分を作り出してくれるため、皮膚のトラブルを軽減できる可能性があるのです。
皮膚のトラブルはマラセチアなどの真菌(カビ)が原因となっている場合も多く、こういった悪い菌の増殖をおさえる働きにより、皮膚の状態が改善していくのです。

ココナッツオイルの効能を引き出すなら、適量を守ることが大事

どんなに効果のある成分も、過剰に摂取したからといって効果が上がるわけではありません。
むしろ、適量を超えた過剰摂取はメリットを打ち消してデメリットをクローズアップさせてしまうもの。

それは、ココナッツオイルにしても同じことです。
ココナッツオイルを経口摂取させる場合、体重5kgくらいの小型犬なら1日に小さじ1杯程度で充分。
体質に合うのかを見極めるためにも、小さじ1杯より少なめから始めたほうが安全です。

適量を毎日少しずつコツコツと。
これが結果的には一番効果を引き出せることは間違いありません。