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オーストラリアン・キャトルドッグは野生の血を引くパワフルな犬

この記事の目次

オーストラリアン・キャトルドッグは牧牛犬です。
私たち日本人は牧畜犬といえばなんとなく羊を追っている姿を思い浮かべますが、牛を追う犬もいるんですよね。
オーストラリアン・キャトルドッグは、まさしく牛を管理するために作り出された犬種。
しかし、この犬種を有名にしているのは、おそらく世界一長寿だった犬として、ギネスに記録されている犬がオーストラリアン・キャトルドッグだからではないでしょうか。

オーストラリアン・キャトルドッグは特別長寿の犬種、というわけではない

世界一長寿の犬はオーストラリアン・キャトルドッグ。
では、犬種そのものがものすごく長生きなのかといえば、一概にそうとも言えないようです。
確かに、ギネスに記録されているオーストラリアン・キャトルドッグのブルーイーは29才5ヶ月という、見事なまでの天寿を全うしました。
これは、きちんと出生の年月日を証明できる犬としては、最長記録です。
しかし、オーストラリアン・キャトルドッグという犬種そのものの平均寿命は13年前後と、特別長いわけではありません。
ほかの中型犬種と大差はないのです。

基本的にものすごく頑強な犬であることは間違いありませんが、だからといって病気をしないけではありません。
オーストラリアン・キャトルドッグは作出過程でハイランド・コリー、野生犬のディンゴ、オーストラリアン・ケルピー、ダルメシアン、ブルテリアなどが異種交配されています。
その結果、作出に使われた犬種に多くみられる特定の疾患が遺伝子の中に潜んでいる個体が存在しているんですね。
進行性網膜萎縮症や難聴、盲目、股関節形成不全などがその代表例であり、いずれも遺伝性の強い疾患です。

オーストラリアン・キャトルドッグはディンゴの影響を強く受けた犬

この犬種はとかく長寿のことばかりが取り沙汰されがち。
しかし、寿命のことはとりあえず置いておくとしても、魅力のつまった犬であることは間違いありません。

体高はオスメスともに45.7~50.8cm、体重もオスメスともに15~20kg程度の中型犬とされてはいますが、実際にはやはりオスのほうが一回りほど大きい個体が多いでしょうか。
そんなオーストラリアン・キャトルドッグは、カテゴリー分けをすれば中型犬でも、そのパワーはまさしく大型犬に匹敵します。
筋肉質でがっちりとした体型と精悍な顔つきは、まさしく野生の犬ディンゴの片りんを感じさせてくれる、良い意味での荒々しさがあるんですよね。

しかも、ディンゴの血による影響は見た目だけではありません。
他の犬種とは違って地面に穴を掘って出産したり、危険を回避する際には低く低く身体を伏せたりします。
さらには他の犬種に比べて離乳が早い点も、まさしくディンゴ由来なのでしょう。
様々な犬種が作出で使われているというのに、野生の影響力とはこれほどまでに大きいものなのかと驚かされます。

オーストラリアン・キャトルドッグにふさわしい飼い主とは

中型犬なのに、大型犬なみにパワフルな犬――。
こう聞けば、どういう飼い主がふさわしいのかはおのずとわかるのではないでしょうか。

あり余るほどの体力を持つ犬です。
当然のことながら、毎日の運動は活発な大型犬なみに必要。
さらには牧牛犬として活躍できるだけの知能を満足させてやれるように、知的な遊びも日常的に取り入れたいところです。

そして、なによりも飼い主に求められるのは、優秀な牧牛犬を従えるにふさわしい、毅然とした態度で犬と接することのできるリーダーであることです。
もしもそういった覚悟もなく、ただたんに長生きしそうだからという理由だけでオーストラリアン・キャトルドッグを選べば、飼い主は後々に後悔することになるかもしれません。

というのも、オーストラリアン・キャトルドッグは牛をコントロールする際に、吠えて誘導するのではなく、牛の踵を噛むことで制御するタイプの犬だからです。
こういうタイプの牧畜犬を「ヒーラー」と呼ぶのですが、これは癒してくれる犬という意味ではありません。
踵、すなわちヒールを噛んでコントロールする犬だから「ヒーラー」なんです。
そして、まともにしつけがされなかったオーストラリアン・キャトルドッグは、この性質だけが独り歩きしてしまうことになりかねません。
もしもオーストラリアン・キャトルドッグが制御のきかない噛み癖のある犬になったとしたら、それはひとえに正しいリーダーになれなかった飼い主の責任です。

現状、日本国内では数がどんどん減っている犬種

日本国内に住むオーストラリアン・キャトルドッグは、あまり多くありません。
それどころか、ほんの少数と表現したほうがよさそうです。
それでも2011年より前までは、JKC(ジャパンケネルクラブ)への登録数は毎年数十件はありました。
しかし、ここ数年はせいぜい年に5~6匹程度の登録と数が減っています。

住宅事情などを考えれば、日本では小型犬種が主流になることは仕方のないことなのでしょう。
とは言え、オーストラリアン・キャトルドッグのパワフルさは本当に魅力的なだけに、なんだか残念な気がしてなりません。