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腎不全の犬の食事・美味しくない療法食と大好物のオヤツを両立させたい

この記事の目次

慢性腎不全の犬は、食べさせているものの内容が、如実に血液検査の結果に反映します。
だからこそ、腎臓に負担をかけにくい栄養バランスで構成されている腎臓病の療法食があるわけですが・・・。

腎臓病の療法食は見るからに美味しくなさそう

はっきり言って、腎臓病の療法食は美味しくありません。(と、犬が言いたそうな顔をしているので代弁しました)
しかしこれは当然のことなんですよね。
なにせ、腎臓に負担をかけないようにタンパク質とリンが制限されているのです。
犬の大好物である肉類(動物性タンパク質)が、通常のドッグフードと同じレベルで含まれているはずがありません。
腎臓の機能が弱ってしまった体を維持するためのカロリーを死守し、なおかつ栄養のバランスを整えなければならない。
となれば、どうしても穀物や野菜など、肉類以外の食材を駆使するしかないのでしょう。

しかし、それではお肉が大好きな犬が満足できるはずがありません。
我が家では慢性腎不全の犬と肝機能障害の犬がいるので、同時に腎臓病用の缶詰めと肝臓病用の缶詰めを開けることはしょっちゅうです。
だからこそ、その違いがはっきりわかるんですよね。

人間の目とつたない嗅覚でもはっきりわかるほど、腎臓病用の療法食と肝臓病用の療法食はまったくの別物です。
同じメーカーの缶詰めで比較すると、腎臓病用は水っぽくて薄い感じのテクスチャー。
それに対して、肝臓病はこってりとして、いかにも栄養が詰まっていそうな感じです。
その違いを見るにつけ、腎不全の犬が不憫でなりません。

腎不全の犬に何を食べさせるべきなのか

慢性腎不全の犬の食が細くなっていくのは、ある意味どうしようもないことです。
しかし、だからと言って食べる量が減るに任せてしまえば、足りないカロリーを補うために自身の筋肉を分解してしまうため、衰弱を早めることになるでしょう。

腎不全にとって最悪なのは食べないことです。
食べないぐらいなら、療法食ではなくても食べるものを食べさせたほうがいいことは間違いありません。
しかし、食べるものだけを食べさせていると、間違いなく腎臓に負担をかけることになるでしょう。

となると、やはり理想は腎臓病用の療法食。
しかし、腎臓病用の療法食は美味しくないのであまり食べてくれない。
というわけで、慢性腎不全の犬の飼い主は、この堂々巡りの中で頭を悩ませることになるのです。

1日でも長い寿命をとるか、食の楽しみをとるか

慢性腎不全であまり余命がない犬に何を食べさせるのかは、飼い主さんがよくよく考えた末に決めるべき事柄です。
1日でも長く生きてもらいたいと願うなら、美味しくなくても腎臓病用の療法食がベストの選択であることは間違いありません。

しかし、食いしん坊だった愛犬から食の楽しみを奪うことになるのです。
であれば、美味しくないものばかりを食べさせて、ただただ日々を過ごさせるより、たとえ寿命が短くなったとしても、愛犬の大好物や美味しいものばかりを食べさせてあげたい――。
この考え方も、間違っているとは思えません。

犬達が人間の言葉を話せるとしたら、どちらがいいのか聞いてみたいところです。
しかし、それができない以上、飼い主が決めるしかないんですよね。
そして、決めた次の瞬間には、「これでよかったのだろうか?」と迷い続ける日々を送るしかないのです。

療法食とオヤツを両立させたい

とは言え――。
いざ自分の愛犬が慢性腎不全になった身としては、なんとか療法食と好物を両立したい、というのが本音なんですよね。
そこで、現在我が家で実施している精一杯の両立法は、以下のような組み合わせです。

まず、基本的な食事として使っているのは

  • ドライフード(腎臓病用療法食)
  • ウェットフード(腎臓病用療法食)
  • 流動食用ミルク(腎疾患の犬用)

ここにプラスして、大好物の「レバーソーセージ」を加えています。
他にも大好物はたくさんありますが、やはりなんでもいいというわけにはいきません。
そこでせめてもの妥協策。
腎不全の犬は貧血になりやすいため、オヤツには鉄分を多く含んだレバーソーセージを選んだのです。
ちなみに、レバーソーセージは無薬飼育鶏のレバーが原材料の完全無添加です。

腎不全の犬の食事内容

腎不全の犬は体調が日々変化します。
そのため、食事内容を体調に合わせて変えないと、嘔吐によって体液を失わせてしまうことになりかねません。

食欲がある時

ウェットフード+ドライフード(ミルで粉状にしたもの)+多めの水分
このドロドロ食を、体調が良いときは用意した分をすべて自力で完食してくれます。

食欲はありそうなのに自力で食べない時

上記のドロドロ食を途中で残した場合は、残った分をシリンジで強制給餌。
ただし、気持ちが悪くなって食べられない可能性もあるため、様子を見ながら少しずつ食べさせるようにしています。

食欲がなく、自力でほんの少しも食べようとしない時

流動食用のミルクのみを与えます。
食欲はないものの、元気がありそうなときはドロドロの濃いめに。
気持ち悪そうな顔をしているときは、水分摂取を主目的として、かなり薄めに作ります。

では、レバーソーセージはどのようなタイミングで出すのかといえば、それはすなわち食欲があるかないかを確認する時です。
食欲がありそうなのに自力で食べようとしない。
そんなときはレバーソーセージを喜んで食べたらドロドロ食、または濃いめの流動食ミルクを強制給餌します。
食べなかった場合は水分の補給を優先し、できるだけ早く動物病院に連れていって輸液または胃腸の動きを刺激するための注射をしてもらう、という感じでしょうか。
現在はこんなサイクルで食事の管理をしています。

レバーソーセージを美味しそうに食べる姿に力をもらう日々

腎不全の犬を前にしていると、あとどのぐらい生きてくれるのかを考えずにはいられません。
美味しくない療法食を強制給餌して命をつないでいるのは、飼い主のエゴでしかない。
その思いは常に頭の片隅にあります。
しかし、レバーソーセージを美味しそうに食べている姿を見ると、明日もレバーソーセージが美味しく食べられる体調でいさせてあげたいという気持ちが沸きあがってくるのです。