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子犬を迎えた初日から1週間の過ごし方が、その後の方向性を決めるかもしれない

この記事の目次

子犬をお家に迎えた日は、嬉しくて嬉しくて仕方がなくなりますよね。
お子さんがいるご家庭などは、一日中子どもと子犬がはしゃぎまわり、それはもうお祭り騒ぎのようになることもあります。

もしかしたら、ブリーダーさんに1ヶ月も前から予約を入れてあり、ようやく生後60日になったので迎え入れることができたのでしょうか。
待ちくたびれた分、きっと喜びもひとしおなのでしょうね……。

などと、生温い目で見ている場合ではありません。
やっと子犬がお家にやってきた喜びに水を差すようで申し訳ないのですが、子犬を迎え入れた初日に大騒ぎをすることは、子犬にとっては悪影響にしかならないんです。

子犬を迎えた初日からの一週間は、その後のドッグライフの方向性を決めてしまうと言っても過言ではないくらい、実はとても重要な時期なんですよ。

最初の一週間はエサやりとトイレ以外の接触禁止!?

「子犬を迎えた初日から一週間は、子犬はケージに入れて静かに過ごさせ、食事の世話とトイレの世話以外は一切接触しないでください。もちろん夜鳴きをしてもケージから出さずにそっとしておいてください」
子犬を引き渡されたとき、こんなお願いをされることがあります。

待ちに待った子犬ですから、たくさん遊んでたくさん抱っこして、思う存分チュッチュしたくて仕方がない飼い主にとっては、まさしく「えぇっ!?うそでしょう?」と言いたくなるような指示ですよね。

まあ、ちょっと極論的かな、という感じがしないでもありませんが、でもこのお願い、実はあながち間違ってもいないんですよね。
とりあえず内容の是非は置いておくとして、子犬を迎えた初日から一週間ぐらいの間に、ここまで接触を禁じているのにはそれなりに理由があります。

まず、これから終生一緒に過ごすことになるとはいえ、飼い主家族もその家も、子犬にとっては初めての場所であり知らない人々です。
これまでに過ごしてきた世界から、見知らぬ世界への一歩を踏み出したわけですね。

この環境の変化は、成犬だって場合によっては体調を崩してしまこともあるぐらいです。
それが、体がまだ未発達で、免疫力も整っていない子犬だったらどうなるでしょうか?
本来だったら成長とともに免疫力でおさえこめるはずだった原虫類が、大暴れを開始して疲労しきっている子犬の体を一気に弱らせてしまうかもしれません。

実際に、子犬を迎えた最初の一週間でガクンと体調を崩してしまうケースが後を絶たないんです。
しかも、さんざん子犬を遊ばせてヘトヘトにさせてしまったせいで体調を崩したというのに、「ブリーダーから病気の子犬を渡されたのかもしれない」などととんでもない言いがかりをつけてくる飼い主までいるのですから、まったくもって始末に負えません。

だからこそ、ブリーダー(もしくはペットショップ)は子犬を引き渡す際に、冒頭のような強めの指示を出すのではないでしょうか。

最初の一週間をどう過ごさせるのか

前項の冒頭にあるような指示を100%遵守できる飼い主は、そう多くはありません。
たいがいは目の前にいる可愛い子犬がキュンキュンと鳴いて甘えてきたら、「ちょっとぐらいは……」と抱っこをしてしまうものです。

そして、ちょっとだけならいいよねと遊ばせているうちに、子犬がノリノリなってしまい、大運動会を開催したかと思ったら、まるで電池切れのようにぐったりと寝てしまう……。
体調を崩したのではないかと飼い主はヒヤヒヤするわけですが、まあ、だいたいは数時間眠った後むくりと起きあがり、オシッコをジャーっとしてからお腹が空いたと訴えてくるわけです。

ちなみに、このタイミングでゲリをして食欲がなくなったら、ここから先の体調の崩れ方はまさに急坂を転げ落ちるようなスピードになるでしょう。
こういう体調の急変を避けるためにも、最初の一週間は過度にはしゃがせるような遊び方はやはり避けるべきなんです。

とはいえ、スキンシップがゼロである必要もない、というのがこれまでに子犬を何匹も育ててきたうえで感じていることです。
しかし、後々のことを考えたら絶対にしたほうがいい、もしくはしないないほうがいい事柄も確実にあります。

  • 子犬がキュンキュン鳴いたから遊ばせるのではなく、子犬がケージの中で静かにしていたから(おりこうにしていたから)出してあげるようにする。
    →鳴いたら出してもらえると覚えた子犬は、その後の要求が確実にエスカレートします。それが結果的に飼い主家族全員を不眠にしてしまうほどの夜鳴きにもつながるのです。後々のアルファ・シンドロームの危険性もありますよね。
  • ケージの設置場所は家の中で家族がうろうろすることのない、静かな場所を選んだほうがよい。
    →子犬のケージはリビングなどに設置することが多いようですが、四六時中人の気配がする場所では子犬はいつまでたっても落ち着くことができません。しかも、日中は人間の気配をさんざんさせていたくせに、夜になると全員がいなくなってしまうという落差が、子犬を夜鳴きへと駆り立てるのです。

まずはこの2点について徹底するだけでも、最初の1週間における体調悪化はかなりの確率で防ぐことができますし、夜鳴きからも早く卒業してくれる可能性が高くなるのではないでしょうか。

最初の一週間はこれからしつけをするうえでの下地となる期間

子犬を飼ったらあれを教えてこれも教えて、立派な犬に育てたい――!
そう気合を入れているわりに、最初の一週間ですっかり甘え癖をつけてしまう飼い主は少なくありません。

子犬は可愛いので、可愛がることが悪いわけではありません。
要は、飼い主の側がきちんとメリハリをつけられるかが重要なのです。
今後のトレーニングをスムーズに進めるためにも、初日からの一週間の過ごし方がとても重要だということを、きちんと意識したうえで子犬を迎えるべきではないでしょうか。