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適量の加熱した「里芋」は犬に食べさせてもOKの食材

この記事の目次

里芋はイモ類の中では低カロリーであり、なおかつ低糖質。もちろん、さすがにイモ類なだけあって栄養豊富な食材でもあります。

当然のことながら、愛犬の食事にもその恩恵を受けさせたくなりますよね。とは言え、人間だったら問題なく食べられる食材でも、犬にはNGという場合も少なくありません。

果たして犬に里芋は食べさせてもいいのでしょうか?

加熱することで犬が里芋を消化できるようになる

結論から言ってしまえば、加熱した里芋は犬に食べさせて大丈夫な食材です。

なぜ人間も犬も里芋を生で食べてはいけないのかといえば、生のままでは主成分であるデンプンを消化できないからです。

ではなぜ加熱したデンプンなら大丈夫なのかといえば、それはデンプンを水と加熱することにより、デンプンの分子が規則性を失ってアルファ化されるからなんですね。アルファ化されたデンプンは酵素で分解されやすくなるため、消化がしやすくなる、というわけです。いまひとつピンとこなかったかたは、お米を想像してみてください。

要するに、水と加熱によって米のでんぷんがアルファ化したからこそ、生米が食べられる「ご飯」へと変化したのです。里芋にしろジャガイモにしろ小麦粉にしろ、とにかくデンプンをたくさん含んでいる食材は、すべて加熱することが前提

里芋に含まれている成分

さて、里芋を愛犬の食事に加えるにあたり、気になるのは含まれている成分です。せっかく食べさせるのですから、犬の体に良いものが含まれていてほしいものですよね。

里芋は様々な栄養成分を含む食材ですが、犬の体にも効果が期待できる代表的なものをご紹介します。

カリウム

里芋のカリウム含有量は100グラムあたりでおよそ640ミリグラム。これはイモ類の中ではトップクラスです。

カリウムには塩分(ナトリウム)を排出する役割があることから、利尿作用によるデトックス効果はもちろんのこと、血圧を下げる効果も期待できます。

ガラクタン

あまり聞き慣れない成分のガラクタンとは、ガラクトースが多数つながった多糖類のことで、簡単に説明するとタンパク質と炭水化物の複合体です。

里芋の皮をむくとヌルヌルしているもの、それこそがガラクタンであり、水溶性の食物繊維に分類されます。このガラクタンですが、健康に役立つ効果がテンコ盛り。

血管壁にコレステロールが付着するのを防ぎ、免疫力や脳細胞を活性化させ、胃壁や腸壁を保護し、さらにはがん細胞の増殖を抑制する効果もあると考えられています。

その他にも、里芋にはビタミンB1、B6、C、Eといったビタミン類なども豊富に含まれています。

里芋に含まれているシュウ酸について

愛犬に手作りご飯を食べさせるうえで、気になるのは食材に含まれているシュウ酸カルシウムの量。

なぜならシュウ酸カルシウムはシュウ酸カルシウム結石の原因になる成分であり、もう一つの結石――ストルバイト結石に比べて結石が溶けにくく、より厄介と考えられるからです。

では里芋にはシュウ酸カルシウムが含まれているのかといえば――ズバリ含まれています。100グラム中に含まれているシュウ酸カルシウムの量を比較してみると、

  • 里芋    0.151g
  • じゃがいも 0.05g
  • さつまいも 0.24g

実は、同じイモ類ならサツマイモのほうが多く含まれているんですよね。その他にも、犬の手作り食で比較的よく使われている食材のシュウ酸カルシウム含有量をみてみると、

  • ほうれん草  0.97g
  • ブロッコリー 0.19g
  • カリフラワー 0.15g
  • にんじん   0.5g
  • キャベツ   0.1g
  • セロリ    0.19g
  • トマト    0.05g
  • きゅうり   0.02g

普段、何気なく犬の手作り食に使っているにんじんやブロッコリーのほうが、実は多く含まれているぐらいなんですよね。

しかし、里芋といえばシュウ酸カルシウムというぐらいに、多く含まれているイメージがあります。これは決して間違いなわけではなく、実際に里芋の葉柄や球茎には多量のシュウ酸カルシウムが含まれているんですよね。

つまり、思ったよりシュウ酸カルシウムが含まれていない里芋というのは、しっかりと厚めに皮をむいたものであることを念頭に置いてください。

いずれにしろ、里芋を犬の手作り食材に加える際には、他の食材と同様にしっかりと茹でることでシュウ酸カルシウムの含有量を減らすことが可能です。

もちろん、茹でたお湯には溶けだしたシュウ酸カルシウムが含まれていますので、茹で汁は捨ててください

犬に食べさせる里芋の適量とは

犬の体質や健康状態には個体差があり、適量は〇〇グラムと言い切れるものではありません。当然のことながら愛犬の健康状態にあわせて量を増減させる必要がありますが、おおまかな一日の目安量としては以下のようになります。

  • 体重5kg前後の小型犬  35g程度
  • 体重10kg前後の中型犬  70g程度
  • 体重30kg前後の大型犬 180g程度

5cm×4cm程度の里芋水煮(皮をむいて茹でたもの)1個がおよそ30~40g程度。つまり、いくら喜ぶからといって小型犬に2個も3個もオヤツとして里芋を食べさせてしまうのは過剰です。

食物繊維が豊富に含まれていますので、消化不良まっしぐらになることでしょう。胃腸の不調は万病のもと。食べさせ過ぎで病気の原因となってしまったら元も子もありません。

腎臓病、心臓病の犬は里芋に含まれるカリウムに注意!

さて、前述したように里芋にはカリウムが豊富に含まれています。里芋に含まれているカリウムは、加熱してもあまり減少しません。

つまり、健康なワンコにとってはデトックス効果が期待できるありがたいカリウムですが、腎臓病や心臓病のワンコにとっては高カリウム血症の原因になる可能性がある のです。

高カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が正常値より非情に高くなってしまった状態のことで、不整脈や筋力低下を引き起こします。そして血液の高カリウム状態が続いてしまった場合、最悪は心臓が止まってしまうことも。

病気にかかっているからこそ体に良いものを食べさせてあげたい気持ちは理解できますが、含まれている栄養成分のことや適量をきちんと把握しておかないと、逆効果になることもままあるのです。

一さじ多く入れたくなったら、逆に一さじ少なくする

健康に良い食材は、ついつい多めに入れたくなるのが飼い主の親心というものです。

しかし、体格の小さな犬からしてみれば、たった1さじであっても人間サイズに換算すれば10さじ分ぐらいになってしまうんですよね。1さじ多く加えるぐらいなら、逆に1さじ少なくするぐらいがちょうどいいのかもしれません。

体に良い食材は適量を守ってこそ威力を発揮してくれるのです。逆に、どんなに体に良い食材でも過剰になれば毒として働くことがあることを忘れてはいけません。