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犬がしきりに首を掻く!それ、外耳炎かもしれません

この記事の目次

愛犬がやたらと首を掻いている。
ところが首を調べても虫に刺された形跡もなければ、皮膚が赤くなっている箇所も見つからない・・・。
こんなとき、もしかしたら犬が本当に掻きたいのは首ではなくて「耳」なのかもしれません。

では、なぜ耳にトラブルがあるのに首を掻いているのでしょうか。
それは、ただ単に耳を掻きたいけれど、後ろ足が上手く届いていないだけという可能性があります。

犬の外耳炎とは?

私たちが犬の「耳」として認識している部分のことを「耳介(じかい)」といいます。
問題はその先――耳の中がよく見えないことですよね。

耳介から先には「外耳道」があり、その先には「鼓膜」があります。
さらに鼓膜の向こう側には「中耳」があり、そして「内耳」へと続いているんですね。
要するに、犬の耳の穴はざっくり言ってしまえば外耳、中耳、内耳の三層構造なんです。

そして、外耳炎というのは読んで字のごとく、外耳道になんらかのトラブルが起きている状態。
たかが外耳の炎症などと甘くみていると、その炎症は鼓膜に広がり、さらには中耳、内耳にまで及んでしまうかもしれません。
当然のことながら、外耳の炎症で食い止められれば治癒までの日数はそれほどかからないで済むことも多いですが、中耳や内耳にまで炎症が広がってしまえば、それだけ治癒は困難になっていきます。
そこまで炎症が広がってしまった場合、外科手術が必要になることも。

愛犬の耳のトラブルは、早期発見できれば大事にはなりにくいため、日ごろから耳の中の様子には注意を向けておくべきなんです。

犬の外耳に炎症が起きる原因とは?

一口に外耳炎と言っても、その原因は一つではありません。

  • アトピー性皮膚炎
  • 食物アレルギー
  • 耳ダニ(ミミヒゼンダニ)
  • 植物の種、石、砂などの異物による刺激
  • 甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などによるホルモンの異常
  • 皮脂分泌腺/li常

上記にあげた他にも外耳炎を悪化させる要因はあります。
たとえば、最初は比較的単純な外耳の炎症だったのに、そこにマラセチア(カビの一種)やブドウ球菌などが増殖した結果、悪化してしまうことも。
さらにはただの外耳炎だと思っていたら、実はポリープや腫瘍ができていたというケースもあります。

耳のトラブルが起こりやすい犬の特徴とは

耳の中のトラブルは、どんな犬種であろうと起こる可能性があります。
しかし、犬の耳の形や特徴は犬種によって違いがありますよね。
だからこそ、その形状から耳のトラブルを起こしやすい犬種がいるのは残念な事実です。

他の犬種に比べて耳にトラブルが起きやすいのは、以下のような耳の形状を持つ犬種です。

耳が垂れている犬種

ラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリーバー、ビーグル、キャバリアキングチャールズスパニエル、狆、ミニチュアダックスフンドなど

耳の中に毛が多く生えている犬種

ミニチュアシュナウザー、トイプードル、ヨークシャーテリアなど

皮脂腺の分泌が過剰になりやすい犬種

アメリカンコッカースパニエル、シーズー、ウェストハイランドホワイトテリア、バセットハウンド、秋田犬など

もともと耳道が狭い犬種

ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグなどの短頭犬種

愛犬の耳の状態をチェックしよう

上記にあげた犬種の飼い主さんはもちろんのこと、それ以外の犬種と暮らしている飼い主さんも、ぜひワンちゃんの耳の中をチェックしてください。
トラブルのない犬の耳の中は薄っすらとピンク色をしていて、目立つ汚れもなければイヤなにおいもしません。
仮に耳垢を見つけたとしても、黄色っぽい色をしていて、粘つきやにおいがなければその耳垢は正常の範囲内。
むしろ正常な耳垢は弱酸性であることから、耳の中を殺菌し、皮膚を保護する働きがあるぐらいです。
だからこそ、耳にトラブルのない犬の耳の中をやたらめったら掃除する必要はないんですね。

では、問題のある耳垢とはどのような特徴をしているのでしょうか。

  • 黒っぽくてカサカサした耳垢 → 耳ダニの可能性あり。
  • ベタベタしてイヤなにおいのする黄色い耳垢 → 細菌感染の可能性あり。
  • ねっとりとした茶色の耳垢 → マラセチアに感染している可能性あり。
  • ねっとりとした黄色の耳垢 → 脂漏症による外耳炎の可能性/li。

愛犬の耳の中をチェックし、何かおかしいと感じたらすぐにかかりつけの動物病院で診察してもらいましょう。
早期に発見できればそれだけ治療は容易になり、愛犬を無駄に苦しませずに済むだけではなく、医療費も確実に低くおさえることができます。

家庭でできる犬の耳の中のケア

犬の耳の穴はとてもデリケート、かつ複雑な構造をしています。
汚れが気になるからといって無理矢理奥まできれいにしようとすると、その行為がかえってトラブルを招く原因になることも。

とはいえ、何もしないよりしたほうが、耳の中を清潔に保つことができるのは間違いありません。
そこで、家庭でもできる犬の耳の中のケアと、やってはいけないNGなケアの両方をご紹介します。

おすすめのケア
  • 耳の中の毛が多い犬種の場合、通気性がよくなるように耳の毛を短くカットする。
  • イヤークリーナーを使って耳介部分だけを優しく拭き取り、耳の奥までは掃除し/li。
やらないほうがいいNGのケア
  • 耳の中の毛を無理矢理引き抜く。
  • 綿棒を使って耳の奥の汚れを掃除する。
  • イヤークリーナーを耳の奥まで入れて耳の根元を/li。

少し前まで、イヤークリーナーを耳の奥まで入れて耳の根元をもむ、というケアは当たり前のように行われてきました。
しかし、近年はその行為がかえって汚れを耳の奥まで押し込んでしまうことが判明しています。
さらには慢性の炎症がある場合、鼓膜が破れる原因になることも指摘されているため、イヤークリーナーは耳介を清潔にするためだけに使うことが推奨されるようになりました。

愛犬のちょっとした仕草を見逃さないで!

犬は後ろ足で体をカイカイするものだ――。
その思い込みが、耳のトラブルの発見を遅らせてしまいます。

仮に耳の中が原因ではないにしろ、犬は体のどこかが痒いからこそ、掻こうとしているわけですよね。
こういったなにげない動作の原因を考えることが、病気の早期発見につながるのです。