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よく見たら大型犬だった!シルエットが違うものに見えるとき

この記事の目次

パソコンや周辺機器の修理を生業としている友人が、仕事でお客様の家を初めて訪れたときのこと。
その家のご主人に案内されて家の中に入っていくと、リビングの隣の部屋――おそらくはダイニングに人影が見えたのだそうです。
隣の部屋は明かりがついていなかったこともあり、ぼんやりしたシルエットしかわからなかったものの、肩ぐらいに切りそろえたパーマヘアの人物が食卓のイスに腰掛けているように見えたのだとか。

そこで友人はこの家の奥さんだと思い、「お世話になってます、パソコン修理でおうかがいしました〇〇です!」と元気よく挨拶をしたそうです。
すると、その家のご主人が大爆笑。
なんと、シルエットの正体はその家で飼われているニューファンドランドで、ダメだと叱っても食卓のイスに乗ってしまうのだそうです。
言われてみれば、確かにニューファンドランドの頭はシルエットだけを切り取ると、まさしくパーマをかけたオバチャンのよう。

その話を聞いていて、ふと思い出したことがありました。

連行された犯人の後ろ姿に見覚えが…!!

その昔、ジャーマンシェパードと川原でボール遊びをしていたときのこと。
当時はまだ世の中の風潮としてノーリードに対する感覚がゆるかったこともあり、シェパードのリードを外して遊んでいました。(今はもう絶対にしませんので、昔の話しと聞き流してください)
投げても投げてもあまりにも簡単にボールを持ってきてしまうので、ちょっとムキになった私はボールをより遠くへ投げようとして、結果的に大暴投してしまいました。
ボールは川原のやぶが生い茂ったところに飛び込んでしまい、嬉々としたシェパードもやぶの中へと突入。
草の種だとかダニがついたらイヤだなぁ、などと思いながら待っていましたが、いっこうに戻ってくる気配がありません。
あわててやぶの向こう側にまわりこんでシェパードの姿を探しましたが、見つかりませんでした。

血の気が引くような思いで車に戻り、大急ぎで捜索を開始。
遊ばせていた川原の向こうは広い河川敷が続いているのですが、さらにその向こうには住宅地が広がっています。
まさかそこまでは行っていないだろうと、とりあえずは河川敷の道をくまなく探しました。――が、どこにもいません。

もしや、住宅のほうに行ってしまったのだろうか?
その不安を抱えつつ、河川敷から住宅街へと続く道へと差しかかったときのこと。
遠くに見える一軒の家の前で、パトカーが赤色灯を回した状態でとまっているのが目に入りました。
サイレンは鳴らしていませんでしたが、なんとなく尋常ではない気配がしています。
もしやと思い、車でそちらの方向へ近づいていくと、こちらの車が到着する前にパトカーがちょうど発進してしまいました。

リヤウインドウ越しにぼんやりと見える、連行されると思しき犯人の後頭部。
あれっ?あの黒い頭はもしかして・・・!?
あわててパトカーの後を追いかけていくと、ほどなくして近くの交番でとまりました。
そして、パトカーから出てきた犯人は、やっぱり我が家のシェパードだったのです。

犬の扱いに慣れたお巡りさんで本当に良かった

すみません、それはウチの犬です!!
交番に飛び込んで平謝りしつつ、川原遊びからの経過を説明しました。

それにしても、なぜ犬がパトカーで連行されることになったのかといえば――。
パトカーがとまっていた家のおばあさんが、庭にいる黒い獣(我が家のシェパードはオールブラックという黒一色の被毛)を発見し、熊だと思って警察に通報したのだとか。
そして警察官が駆け付けてみると、そこにいたのはどう見ても犬。
しかも、大きいわりに大人しく、困った様子でうなだれていたのだそうです。
どうしたものかと迷ったお巡りさんは、ダメ元で「ほら、乗りな」とパトカーのドアを開けてみたところ、驚くほどあっさり乗り込んだのだとか。
そこで、とりあえず交番に連れていってからひもをつけようということになり、ひもをつける前に飼い主が飛び込んできた、というのが事の顛末です。

たまたまお巡りさんが犬の扱いに慣れている人だったからよかったものの、本当に肝を冷やす出来事でした。
翌日、菓子折りを持ってシェパードが侵入していた家におわびに行くと、「小熊かと思って110番しちゃったんだよ、なんだか悪いことしたねぇ」と謝られてしまい、ひたすら恐縮するしかありませんでした。

今はもう天寿を全うしたシェパード。
パトカーのリヤウィンドウ越しに見たあの子の後頭部が懐かしいです。