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愛犬の遺骨をサファイアと融合させる新技術

この記事の目次

愛犬の遺骨をダイヤモンドにしたいという希望はあっても、ネックになるのはやはりその価格です。存在感のある1カラットで作りたいともなれば、250~300万円の出費は覚悟しなければなりません。

それでも、なんとか愛犬の遺骨を宝石に変えて手元に残したい。

でも、費用を捻出できたとしても、100万円以下が精一杯。やはり、存在感のある1カラットの大きさに仕上げるのは無理なのだろうか・・・。

そんな希望を叶えるのが、遺骨をサファイアに変える技術です。

遺骨から作るサファイアは天然にはない成分が含まれている

工業的に高圧と高温をかけて作り出される遺骨ダイヤモンドは、天然のダイヤモンドと構造的には何も変わりありません。なぜなら遺骨ダイヤモンドを作る工程は、自然界においてダイヤモンドが作られる状況を再現したものだからです。

>>遺骨ダイヤモンドついて詳しくはこちら

では、サファイアの場合はどうかといえば、遺骨から作られるサファイアには、天然のサファイアには含まれているはずのない成分――カルシウムが含まれています。 これはなぜかといえば、遺骨から作るサファイアとは、特殊な技術を用いて遺骨から抽出したカルシウムとサファイアを融合させたものだからなんですね。 つまり、遺骨サファイアとは自然界におけるサファイアを再現したものではなく、まったく新しい考え方と技術によって生み出される宝石なのです。

天然サファイアと遺骨を融合させる特殊な技術

天然のサファイアと遺骨から抽出したカルシウムを融合させるといっても、レジンでコーティングするような単純な作業ではありません。

特許を取得した技術によって生み出される物質であり、天然サファイアの硬度や輝きを保ったままの状態で、遺骨から抽出したカルシウムを融合させているのです。

鉱物の硬さを表すモース硬度において、一番硬いのはダイヤモンドの「10」。ではサファイアはどれぐらい硬いのかといえば、モース硬度においては「9」。つまり、ダイヤモンドに次いで硬い鉱物なんですね。

その硬度が維持されたまま遺骨から抽出されたカルシウムを融合させているわけですから、天然ではなくなったにしろ、サファイアとしての特性はきちんと維持されているのです。もちろん、天然サファイアの輝きもまったく失われていません。

そこがまさしく特許技術のなせる業なのではないでしょうか。

愛犬の遺骨をサファイア化させる費用

愛犬の遺骨からサファイアを作る費用は、ダイヤモンドと同じく石の大きさによってスライドします。概算ではありますが、費用はおおよそ下記のようになります。

  • 0.2カラット(直径およそ4ミリ)で25万円
  • 0.3カラット(直径およそ4.2ミリ)で35万円
  • 0.5カラット(直径およそ5.2ミリ)で48万円
  • 1カラット(直径およそ6.5ミリ)では68万

かなりざっくりとした計算にはなりますが、同じ1カラットのダイヤモンドと比較した場合、1/4程度の費用でルース(カットを施した石でアクセサリーに加工していないもの)を作ることが可能なんですね。

もちろん、ダイヤモンド化に比べると費用は抑えられてはいるものの、いまだ高額であることにかわりありません。しかし、愛犬の遺骨をダイヤモンドにするよりは、ずっと手の届くところにあるのではないでしょうか。

遺骨のサファイア化は日本国内でおこなわれる

ちなみに、なぜ遺骨のサファイア化はダイヤモンド化より価格をおさえることができるのかといえば、それはひとえにこの技術における作業工程のすべてが、日本国内で完了できるからです。

そもそもダイヤモンド化に高額の費用がかかる理由は、工業的な高温と高圧に多額の費用がかかることに加え、すべての作業工程が海外で実施されることもその一因なんですよね。

それが、経済産業省が管轄する国立研究開発法人産業技術総合研究所と日本の企業により、遺骨のサファイア化という新しい技術が開発されました。その技術が2015年に特許を取得し、比較的安価に遺骨からサファイアを作ることが可能になったのです。

遺骨サファイアの色と分析データ

2020年現在において、遺骨からサファイアを作る場合、選択できる色は今のところ「青」と「ピンク」の2色です。

宝石にあまり興味のない人にとってサファイアといえば「青」のイメージが強いと思いますが、宝石好きや女性にとってピンクサファイアはそれなりにメジャーな宝石です。しかし、サファイアとは実はとてもカラーバリエーションの豊富な石であり、青やピンクの他にもオレンジ、紫、黄、緑、黒、無色などがあるんですね。他の色は現在開発中とのことなので、この先はもしかしたら様々な色がバリエーションに加わるのかもしれません。

この遺骨から作るサファイアですが、もちろん宝石としての鑑別書が発行されます。しかし、カルシウムが含まれるサファイアは天然には存在しません。

というわけで、遺骨から抽出したカルシウムとサファイアを融合させたものだという「分析データ」も発行されることになります。ここが、ある意味遺骨サファイアの最大の特徴と言えるのではないでしょうか。

この分析データにより、このサファイアは確かに愛犬の遺骨が融合されたものだと証明してくれるわけですから、飼い主にとっては宝石としての鑑別書より、分析データのほうが大切な証明書になるのかもしれませんね。