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シェパードに安易に塀を飛び越えさせることの恐ろしさ

この記事の目次

シェパードと聞くと、なんとなく警察犬を思い浮かべたりしませんか?
確かにテレビドラマや映画に登場する警察犬のほとんどは、
ジャーマンシェパードですよね。

犯人を追跡して勇ましく飛びかかり、最後は腕に噛み付いて犯人確保……。
こんな描かれ方をしているものが多いでしょうか。

しかしこのイメージのせいで、初めてシェパードを飼育することになった飼い主は、
ついつい自分の犬にも塀などを飛び越させたくなるようです。


でも、ちょっと待って!
実はこれ、シェパードの体を壊してしまうことになりかねない、とても危険な行為です。

シェパードは股関節に問題をかかえやすい

ジャーマンシェパードは股関節にトラブルを抱えやすい犬種です。

もともとブリーディングにおいて
股関節形成不全を引き起こす因子を排除できないまま
交配が進められてしまったこともありますが、
先天的な要因だけではありません。

後天的な要因も大きく影響しているのです。
後天的な要因というのは骨格が成長している最中の過度な運動や、
関節への負担、急激な体重増加など、
どれも飼育管理者のミスが引き起こすものです。

――だって、シェパードはものすごく運動が必要な犬種でしょう!?
そんな反論が聞こえてきそうですが、多くの飼い主がこの部分を勘違いしています。

ジャーマンシェパードの成長期における適度な運動というのは、
おそらく飼い主達が想像するより、ずっとデリケートな内容でなければいけません。

犬自身が自由きままに走り回るのとは違い、飼い主が強制的に走らせるような運動
――これが、シェパードの骨格形成に重大な影響を及ぼしてしまうのです。

シェパードは精密機械と同じ

ジャーマンシェパードドッグは知能が高く、さらには身体能力にも優れた犬種です。
ただし、それは体がやたらと頑丈という意味ではありません。

いわば高性能のマシーンと同じであり、使用方法を間違ったり、
メンテナンスを怠った場合はすぐに故障してしまう、
いわば精密機械
なのです。

それを踏まえずにやたらと長時間走り回らせたり、
高いところから飛び降りるようなことをさせていると、
股関節を含めたすべての関節に負担をかけすぎてしまい、
結果骨格の形成に悪影響を与えることになるでしょう。

割れ物を扱うように育てることで丈夫な犬になる

成長期のシェパードに塀を飛び越えさせようとしたり、
高いところからジャンプさせることはご法度
です。

できれば日常的に階段の上り下りも避けた方がよいくらいなのですから、
高いところから飛び降りるという行為が、
どれほどシェパードの股関節等に悪影響を与えてしまうかは、
想像がつくのではないでしょうか。

こういった行為を避けることにより、正常な骨格形成を促すとともに、
仮に先天的に股関節形成不全があったとしても、
その症状を出さないで過ごさせることが可能になるケースも多いのです。

本来なら痛みに苦しむことのない程度の股関節形成不全を、
歩けないほど悪化させてしまう多くの原因は
飼い主の知識不足によるもの
です。

ジャーマンシェパードと暮らすのであれば、
飼い主はもっとシェパードの体のことをきちんと理解しておくべきではないでしょうか。