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犬が舌を出してハァハァしているのはなぜ?

この記事の目次

犬が元気に駆け回った後、舌をべろんと出してハァハァしている――。
よく見かける姿ですよね。

自分もマラソン大会のとき、息が苦しくてハァハァしながら走ったよなぁ……、なんて思ったとしたら大間違い!
犬のハァハァは息が苦しいからではありません。
あれは、口を開けて舌を出し、体内に溜まった熱を放出している姿なんです。

犬は口から呼吸しない

そうは言っても、口をぱかっと開けて舌をべろりんと出し、ハァハァしてるんだから体温を下げながらついでに空気だって吸ったり吐いたりしてるんじゃないの?……と思うかもしれませんが、これも違います。

犬は口から呼吸をすることができません。
息を吸ったり吐いたりするのは鼻からだけなんです。

せっかく口を開けてハァハァしているんだから、ついでに空気も吸ったり吐いたりすれば効率がいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、これは実はきわめて人間的な発想。
そもそも、なぜ人間が鼻と口の両方から呼吸できるのかといえば、それは呼吸のための気道と食べ物の通り道である食道が一部つながっているからなんですね。

それに対し犬の気道と食道は機能を共有できるほど重なっておらず、ほぼ分かれています。
つまり、鼻から吸い込んだ空気は肺に入って酸素を取り込めるのに対し、口から入った空気は肺に入ることはなく、その結果、またのどを通って外へ出ていってしまうんです。
なんだか犬の呼吸は不便だなぁと思うかもしれませんが、実は鼻と口の両方から呼吸ができる生き物は人間だけ。
要するに、人間が特殊仕様なんです。

犬のハァハァは汗をたらしている状態と同じ

犬のハァハァは体内に溜まった熱を放出するための行為ですから、人間でいえば汗をかいているのと同じ状態です。
要するに、犬がハァハァしているときは、単純に言ってしまえば「暑い!」と思っているわけですね。

もしも飼い主が快適だと感じている室内で犬がハァハァしていたら、犬はその室温を暑いと感じていることになります。
お年寄りの家庭で飼っている犬が熱中症にかかってしまうケースが多く発生しているのは、つまりそういうわけなんですね。
お年寄りの飼い主は悪気があって室温を高く設定しているわけではありません。
年齢を重ねると暑さ寒さを感じる機能が低下してしまうため、飼い主さんは本当に暑いと思っていないのです。

だからこそ、犬を飼っているお家での快適な温度設定は、犬の状態を確認しながら決めたほうが安全なんですよね。

体調が悪いからハァハァすることもある

さて、単純に暑いからハァハァしているだけなら正常そのものですが、なかには体に異常があるせいでハァハァしていることもあります。

たとえばブルドッグやパグのような鼻ペチャの犬が、ハァハァというよりグァーグァー、ブーブーといった類の変な音をだしていたら、気道がおしつぶされて呼吸困難を起こしているのかもしれません。

また、いつもに比べてよだれの量が増えているときも、そのハァハァには異常が隠されている可能性があります。

おかしいな、と感じたら、すぐに舌の色を確認してください。
もしも紫色だったら呼吸がきちんとできていないせいで、チアノーゼを起こしている可能性があります。
チアノーゼとは血液中の酸素濃度が低下している状態のことで、ようするにちゃんと呼吸ができていないせいで酸素が足りていないのです。

また、僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症、心室中隔欠損症など心臓に疾患がある場合も、肺に水がたまってしまうことが原因でハァハァすることがあります。

どうしてハァハァしているのかを考えることが大事

運動した直後ではなく、また室温も明らかに快適に保たれているにもかかわらず、愛犬が謎のハァハァをしているとしたら……。
早いうちにかかりつけの動物病院で診察してもらったほうがよいかもしれません。
犬が口を開けて舌をべろんと出してハァハァする姿は珍しくありませんが、理由もなくしているわけではないからです。