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下痢をしていた犬の回復食

この記事の目次

愛犬が下痢や嘔吐をしたあとには、何をたべさせればいいのでしょうか。
食欲はありそうに見えても、胃腸の調子がまだ完全には回復していないかもしれません。
ましてや、下痢を止めるために24時間絶食させた後の食事内容ともなれば、慎重にならざるを得ませんよね。

そこで、回復段階に応じた胃腸に優しい手作り食の内容を、考えてみたいと思います。

胃腸回復のための絶食に仏心は禁物

いつも通り元気はあるように見えるのに、なぜかお腹がゆるくなってしまった――。
こんなときは、とりあえず24時間絶食をさせて様子を見るという対処法は、犬の飼い主のあいだではよく知られています。

そもそもなぜ24時間の絶食をさせるのかといえば、それはひとえに消化器官である胃腸を休ませてあげるためなんですね。
愛犬の胃腸はなんらかの原因によって、健康的なウンチが作れなくなっている状態。
すなわち、食べたものの栄養素をきちんと消化・吸収できなくなっています。
そこで、何も食べさせない=消化・吸収のプロセスをお休みさせることにより、胃腸を回復させようとする行為が絶食です。

つまり、絶食させている最中にお腹がすいたという愛犬のお願いに負けて「ほんのちょっとだけだよ」と食べ物をあげてしまう行為は、胃腸の回復の邪魔をしているだけなんですね。
体が弱ってぐったりしている病人に、ちょっとだから働け、休むなと言っているようなものなのです。
中途半端な仏心は無駄にしかなりません。
それどころか、胃腸の調子を悪化させる可能性すらあるのです。
絶食させようと決めたなら、絶食明けの食事も含めた胃腸の回復プロジェクトをしっかり完遂させるべき。

ただし、下痢や嘔吐をしている愛犬がぐったりしている場合の絶食は禁物です。
大至急、動物病院を受診しましょう。

まずは本葛粉を使った葛湯や葛練りでお腹の準備

絶食のあと、いきなり普通食に戻して胃腸に負担をかけてしまうのは絶対にNGです。
食べても嘔吐や下痢をしないか確かめるためにも、まずは地ならしのようなつもりで消化に良い食事を少量与えて様子を見ましょう。

そんなときのおすすめは本葛粉を使って作る葛湯や葛練りです。
葛湯や葛練りなんて、あんな半透明でブヨブヨしたものに栄養なんてあるの?と思われがちですが、これが意外なほどに栄養価が高くて消化に良い食べ物なんですね。
タンパク質、脂質、炭水化物の他にイソフラボンやプエラリン(イソフラボンの一種)が含まれているので、肝機能の向上や血圧の安定、抗酸化作用なども期待できます。

葛湯と葛練りの作り方

葛湯
本葛粉20g
水250cc
葛練り
本葛粉20g
水200cc

葛湯と葛練りのどちらも、まずは水の中に本葛粉を入れてよくかきまぜてから火にかけます。
乳白色になった液体を焦げないように弱火で加熱しながら混ぜ続け、透明になったら火からおろして人肌ぐらいまで冷ましたら出来上がりです。
味つけをする必要はありませんが、もしも愛犬が食べ物として認識してくれないときは、少量のすったリンゴや無糖ヨーグルトを加えてください。

本葛粉は、見た目は片栗粉とよく似ている真っ白い粉。
ところがお値段は100gで700円から800円ほどと、これがなかなか高価なんですよね。
しかし、毎日食べさせるわけではありませんので、ケチって片栗粉で代用しようなどと考えてはいけません。
栄養価が全然違います。
ここは一つ、きちんと本葛粉を用意してくださいね。

消化に良い簡単たまご粥

葛湯や葛練りを食べても大丈夫そうなら、次の食事は具材の入ったお粥にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
あくまでも普通食に戻すまでのつなぎですので、栄養バランスを完璧に整えようと悩む必要はありません。
分量もグラム単位で計る必要はありませんので、適宜調節してください。

犬用たまご粥の作り方

ごはん(冷凍してあるもの、炊いたばかりのものなど、用意できるものでOK)を適量の水に入れて火にかけます。
弱火でことこと煮て柔らかくなったら、キャベツやニンジン、ブロッコリーなど用意できる野菜のみじん切りを加えます。
さらにことこと煮て全体が柔らかくなったら、最後に溶き卵をまわしいれてひと煮立ちしたら完成。

野菜は何でもOKですが、犬が食べられるもの限定なのは言うまでもありませんよね。
また、ワンコが食欲旺盛だとしても、絶食明けだということを念頭に置き、与える量には十分に注意してください。
せっかくお腹に優しいたまご粥を作ったのに、食べ過ぎて胃腸の負担になれば元も子もありません。

葛湯もたまご粥も応用次第でバリエーションいろいろ

ご紹介した葛湯・葛練りとたまご粥は、いわば胃腸に優しい料理のベーシックともいえるものです。
つまり、お腹の回復にあわせて鶏のササミを加えたり、いつものドッグフードを足したりと、応用がとても簡単なんですね。
これらのバリエーションがつけられるようになると、下痢や嘔吐のあとの回復食としてだけではなく、老犬になってからの食事作りにも役立つこと間違いなしです。
一度このベーシックバージョンをぜひ試してみてください。