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まだまだある!毒性があるのに身近な植物

この記事の目次

トリカブトのように、猛毒があることで有名な植物を庭に植えているとしたら、「誤って犬が食べないように」と、細心の注意をはらうのは当然のことですよね。
しかし、一見すると毒性とは無縁に見えるポピュラーな植物の中にも、犬が口にしてしまうと危険なものはいくらでもあります。
今回は、どこのお家でも植えられているような、ごくありふれた庭の植物に焦点をあててみたいと思います。

ちなみに、トリカブトのような猛毒の植物を家庭で栽培するわけない、と思ったかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

ところが――。
青紫や黄色、ピンク、白といった美しい色の花を咲かせることから、園芸植物として育てている愛好家は少なくないんですよね。

もちろん、トリカブトの栽培は違法ではありませんし、山野に自生している植物なので、実はとりたてて珍しい植物というわけでもありません。

朝顔にも毒性がある!

誰もが一度は種を蒔いて育てたことのある植物といえば、朝顔は代表格ともいえるのではないでしょうか。

小学校の頃は夏休みの自由研究で朝顔の観察日記をつけ、大人になってからも日除けのグリーンカーテンとして利用することもあるでしょう。
朝顔は私たちの生活に馴染み深い、つる性の植物です。

朝顔の中でもチョウセンアサガオには葉、花、根のすべてにヒヨスチアミン、スコポラミン、トロパンアルカロイドといった毒性の成分が含まれています。
これらの成分を摂取すると30分後には体がふらついて、すさまじい悪寒や幻覚が襲ってきます。

人間が口にしても大変な事態に陥る威力があるほどです。
体の小さな犬が食べてしまったら、命にかかわることになるのは目に見えていますよね。

チョウセンアサガオなんて珍しい植物を、そうそう簡単に植えるか!と思われたかたもいるかもしれません。
しかし、園芸用としては「ダチュラ」という名前で販売されています。
ちなみに、うちの近所のホームセンターではダチュラの苗が販売されていましたし、毒性があるので注意が必要とは書かれていませんでした。

では、ごく普通の朝顔なら問題ないかといえば、残念ながらそうでもありません。

朝顔の種は牽牛子(けんごし)と呼ばれる生薬として用いられ、主に下剤や利尿剤として使われます
成分としてはファルビチンやコンボルブリンが含まれているのですが、いくら生薬に使われるものだからといっても、犬が口にするとろくなことにはなりません。
嘔吐や下痢、血圧低下などを引き起こしてしまいますので、種の取り扱いには充分に注意が必要です。

朝顔を一度でも育てたかたはご存知だと思いますが、たった一本の朝顔からびっくりするぐらいたくさんの種がとれますよね。
油断は大敵です。

どこでも見かけるツツジにも毒性がある!

ツツジといえば、家庭の庭はもちろんのこと、街路樹の根元や公園の花壇など、ありとあらゆるところに植えられている植物です。
そんなツツジにも毒性があるのですから、驚きますよね。

子どもの頃に花の蜜を吸った経験のあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
ツツジと一口に呼んでいますが、実際にはツツジ科に属している植物は多種多様。
その中でも特に毒性が強いのは、以下の3つです。

  • レンゲツツジ
  • キレンゲツツジ
  • シャクナゲ(ツツジ科ツツジ属)

これらの蜜にはグラヤノトキシン、ロドトキシンといった毒性のある成分が特に多く含まれています。
グラヤノトキシンは骨格筋や心筋の収縮を強めたり、脳神経を刺激して麻痺させてしまう作用があります。
犬が誤って口にすれば嘔吐や下痢をするのはもちろんのこと、ケイレンや神経麻痺から呼吸困難に陥り、最悪は死亡してしまうことも。

上記にあげた3種類は特に毒性が強いわけですが、だからといって他の種類のツツジに毒性のある成分が含まれていないわけではありません。
ツツジの花を犬にくわえさせたり、なめさせたりするのは絶対にやめておきましょう

南天の実は犬にとって超危険!

色彩の乏しくなる冬の庭を彩る植物として、南天は人気が高いですよね。
赤い実がとてもきれいですが、あの赤い実には毒性のある成分が含まれています

含まれているのはアルカロイド系のヒゲナミン、イソコリジン、ドメスチンといった成分で、誤って食べてしまうとケイレンや神経麻痺、呼吸困難などを引き起こし、最悪は死亡してしまうこともあります。

実は葉にも猛毒のシアン化水素が含まれていますが、微量なので危険性はほとんどない、というのが一応の通説。
しかし、それはあくまでも人間が口にした場合のことであり、人間よりずっと体の小さな犬が食べてしまうことを想定しているわけではありません。

南天は葉も実も犬にとっては危険な植物であると認識しておくことが大切です。

愛犬から目を離さない

犬の誤食事故は、「しまった!」と思った瞬間にはもう飲み込んでしまっていることがほとんどです。
とは言え、愛犬がどんな植物を誤食してしまったのか、わかっていればまだマシ。
対処のしようもありますが、知らない間に口にしていた場合、処置は後手にまわることになるでしょう。

庭で遊ばせるにしろ、アウトドアに連れ出すにしろ、大切なのは愛犬の行動から目を離さないこと
これが植物の毒から愛犬を守るための、一番確実な方法ではないでしょうか。