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うちの犬は自分のことを人間だと思っている、という勘違い

この記事の目次

――うちの犬って、自分のことを人間だと思っているみたいです。
こんなセリフを聞いたことはありませんか?

おそらく、家での振舞いや家族に対する反応が、
犬ではなくまるで人間のように見える、という意味なのでしょう。

聞きようによっては実に微笑ましい光景が目に浮かんでくるのですが、
実際のところ、犬は自分を人間だとは思っていません。

人間が犬を人間扱いしているだけの話です。

ただの飼い主の思い込み

「ドッグフードは犬用の食器だと嫌がるんですよね。
人間用の食器に入れてあげないと食べないんです。
自分も家族の一員だから、私たちと同じ食器でないと、きっと嫌なんでしょうね」

……本当に、そうでしょうか?
犬が犬用の食器を嫌がるのには、なにかそれなりに理由があるのかもしれません。

たとえば飼い主が気づかない間にその食器にまつわるトラウマができてしまったとか、
もしくは人間用の食器に入れて食べたときに、
やたらと飼い主が喜んだことが原因なのかもしれませんよ?

いずれにしても、自分を人間だと思っているから、
犬用の食器ではなく人間用の食器が使いたいわけではない
はずです。

「うちの子は、私のベッドでないと静かに寝てくれません。
しかも枕にちゃんと頭まで乗せて寝るんですよ。
きっと子ども達と同じ立場だと思ってるんでしょうね」

……単に、群れのリーダーとして
自分が一番いい場所で寝ているだけなのではありませんか?

それに、犬はなにかにアゴを乗せて眠ることを好みます。
それが人間用の枕だったら、クッション性が抜群で
さぞかし乗せやすかったのでしょう。

おまけに、飼い主のベッドで好きなように寝ているわけですから、
子ども達と同じ立場どころか、群れ(家族)の頂点にいる
と思っている
のかもしれません。

シツケの甘さを誤魔化すための言い訳にしないで

犬が頑固なのも我が強いのも、すべては自分を人間だと思っているから。
この考え方は、シツケが正しくできていない飼い主の言い訳ではないでしょうか。

こういうふうに考えることで、犬の振る舞いを許容することができるのですから、
ある意味、人間にとっては犬との生活をなごやかにするための、
魔法の呪文
なのかもしれません。

しかし、犬の側からみたらどうでしょうか?
犬にとって一番ストレスが少なく、気楽に生きられるのは
強いリーダーのいる群れのメンバーでいることです。

しかし、勝手にソファーやベッドの上にのぼってくるのだとしたら、
それは間違いなく飼い主がリーダーにはなっていない証拠です。
ということは、犬はまず間違いなく「自分が群れを守らなければ」と意識しているはず。

この状態は周囲に群れ(飼い主家族とペット)を脅かす存在が近づいていないか
常に警戒しなければなりませんし、群れのメンバーが何か生意気なことをしたら、
叱ってやらなければいけないと気を張っているのです。

犬を家族の一員として大切にすることは間違いなく良いことです。
しかし、犬の存在を正しく犬として認識しないことは、
愛犬に余計な精神的プレッシャーをかけ続けているのと同じことかもしれません。