マダニをナメてかかると悲劇を招くかもしれない
うちは山にも森にも犬を連れて行かないから、マダニの予防はしなくても大丈夫――。
そう思っている飼い主さんは、認識が甘過ぎます。
もちろんマダニは自然の多い場所ほど
多く生息していることは間違いありませんが、
普段散歩をする道のちょっとした茂みや植え込みの中にだって、
マダニは潜んでいるかもしれません。
マダニを甘くみてはいけない!
マダニはもともとは2~3ミリ程度の大きさしかありませんが、
吸血するとブルーベリーそっくりに膨らむことも珍しくありません。
そのため、犬の体についているのを見つけると、
おもしろがって指でつまんで毟り取り、
その場で足で踏み潰してしまう飼い主さんがいます。
しかし、この行為はとても危険です。
まず第一に、マダニを強引に毟り取ると
吸血のために皮膚に潜り込ませている口が残ってしまい、
そこが化膿して悪化することがあります。
さらには踏み潰したマダニの体内からたくさんの幼虫が飛び出して、
マダニを拡散させてしまうかもしれません。
マダニはメスしか吸血しないため、
ブルーベリーのように膨らんだ体の中には
かなりの数の幼虫がいると考えるべきでしょう。
そのため安易に庭でマダニを潰してしまうと、
広がった幼虫は再び愛犬に取り付くだけでなく、
飼い主一家――つまり人間にもついてしまう可能性が高くなるのです。
さらなるマダニの怖さ
百歩譲って、咬まれて吸血されるだけならまだマシなのかもしれません。
恐ろしいのは、マダニを媒介してウィルスに感染する可能性があることです。
バベシア症はマダニの体内にいるバベシア原虫が
犬の体に入り込んで赤血球を破壊する感染症ですし、
ライム症はマダニの体内にいるボレリア細菌が原因で
関節の炎症や腎不全などを引き起こします。
特にライム症は人獣共通感染症(ズーノーシス)であり、
人間にも感染しますから被害は愛犬だけでは済まなくなるかもしれません。
マダニが媒介するこれらの感染症を知ったうえでも
「たかがマダニに咬まれたぐらいで…」と言うことができるでしょうか?
咬まれてから大騒ぎするよりも
愛犬を連れてキャンプに行ったり、海や川へ遊びに行くことはとても楽しいものです。
しかし、そのことが悲劇を招いては何の意味もありません。
いざ咬まれてからあわてるのではなく、
普段から対策をしておくことが結局は一番安全なのです。
マダニの予防薬は法律で投薬が義務付けられているわけではありません。
しかし、法律で決められているからする、
決められていないからしない、という観点だけで考えていると、
大切な愛犬はもちろんのこと、家族全員を苦しめる結果になるかもしれないのです。
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