犬の低体温は放置厳禁!実はかなり危険な状態です

犬の平熱はだいたい37.5~39度程度。
人間より高く、抱っこをするとホカホカしているのが普通です。
もちろん、犬種や年齢などによって平熱にはかなり幅があり、基本的には子犬より老犬の体温は低く、小型犬より大型犬のほうが低めなことが多いでしょうか。
しかし、いくら低めといっても37度を割り込んでいたら、それは明らかに低体温。
すぐに体温が上がるような処置をしなければいけません。
平熱より高過ぎても低く過ぎてもダメ!

平熱より高過ぎても低すぎても、犬の体内では何か非情にマズイ事態が進行しています。
もしも平熱より高くなっていたら、考えられる原因は熱中症やケンネル・コフといった感染症、それから発熱を伴う病気の可能性も。
そして低い場合は、なんらかの原因によって体温を上げる機能が低下していると判断することができます。
平熱の幅から外れてしまった場合、実は高いよりも低いほうがより危険。
なぜなら、低体温は生命を維持する体の機能そのものが、今まさに低下している状態だからです。
犬の体温が下がる外的な要因とは

犬の体温が低下する原因は、外的な要因と内的な要因に分かれます。
外的な要因とは、簡単に言ってしまえば、なんらかの理由で体が極端に冷えている状態のことですね。
たとえば
- 気温が低い場所で長時間外気にさらされていた。
- 雨や雪などで被毛が湿った状態が続いていた。
- 冷たい水の中に長時間さらされていた。
- 長時間全身麻酔がかかった状態におかれていた。
こういったことが考えられます。
この中でわかりにくいのは、長時間全身麻酔がかかった状態が続いたときに、なぜ低体温になりやすいのか、ということではないでしょうか。
全身麻酔をかけると、それまで四肢の血管が収縮し、体の中枢に集まっていた血液が末端まで流れるようになります。
その結果、血液とともに体の熱が分散して体温そのものが低くなってしまうことがあるんですね。
さらには麻酔によって体温調節機能が鈍くなっていることもあり、体温が上げにくい状態に陥りやすいのです。
犬の体温が下がる内的な要因とは

内的な要因というのは、なんらかの原因によって体の機能が弱くなり、体温が上げられない状態に至ることです。
たとえば
- 甲状腺機能低下症
- 心臓病
- 尿毒症
- 外傷
甲状腺は体温を上げるためのホルモンを出す器官であり、その機能が低下しているせいで、体温が上げられない可能性があります。
そして甲状腺機能低下症は老化によって引き起こされる病気としてはかなり一般的なもの。
つまり、どんな犬も加齢によって低体温症を引き起こす可能性があるのです。
また、心臓病や尿毒症などのように、血のめぐりに影響を及ぼす疾患も低体温の原因となります。
外傷によって体温が下がっていくのも、血液が流出することによって体温を維持できなくなるからですね。
低体温になったときの応急処置

愛犬の体温が低下していることに気づいたら、すみやかに動物病院に連れていくのが一番安全です。
とはいえ、連れていくまでに飼い主が応急処置をしたほうがいいのは間違いありません。
当たり前のことですが、これ以上体温が低下するのを食い止め、出切るだけ体温が上がるような処置をする必要があるのです。
ただし、体温を上げようとしていきなり湯船に入れてしまうのはダメ。
なぜなら、急激な体温の上昇は心臓や脳などに負担をかける可能性があるからです。
- まずはドライヤーで温めた毛布やバスタオルなどにくるんでそれ以上の体温低下を食い止める。
- 40度程度のお湯を入れたペットボトルや、湯たんぽなどを用いてお腹と足をあたためる。 (カイロを使う場合は、直接あてて低温火傷をさせないように注意)
- 水が飲めるようなら、ぬるま湯を少しずつ飲ませる。
こういった応急処置をしつつ、かかりつけの動物病院に急行する必要があります。
犬は寒さに強い、という思い込みは危険

犬は暑さより寒さに強い生き物です。
しかし、だからといってどんな寒さであろうと平気で耐えられるわけではありません。
それに、体の状態は年齢を重ねるごとに変化していくものです。
若い頃は真冬でも屋外飼育で大丈夫だった犬も、老犬になれば体温の維持が難しくなり、飼い主が想像している以上に寒い思いをしているかもしれません。
そして体温の低下は血流の低下をまねき、様々な臓器の機能が衰える原因につながってしまうのです。
低体温はまさに万病のもと。
犬が寒さで震えているのに、「年だから仕方ないよね」で済ませてしまったら危険!
低体温の犬は驚くほどあっけなく逝ってしまうことがあります。
そうなってから後悔しても、愛犬は戻ってきてはくれません。
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