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子犬を生んだからといって、母犬になるとは限らない

この記事の目次

母犬はお乳をやり、子犬をなめて下の世話をする。
子犬を生んだ母犬なら当たり前にするはずの育児ですが、しない犬もいるのをご存知ですか?
いわゆる母犬による育児拒否、育児放棄の状態です。

どんな犬が育児拒否しやすいのか?

もしも育児拒否をしやすい傾向がわかれば、ある程度事前に対策をたてることができそうですよね。
ところが、こればっかりは生んでみないとわからない、というのが正直なところです。

日頃から飼い主がベタベタに甘やかしいている犬が出産した場合、育児拒否をしやすいかといえば、そんなこともありません。
あれほど飼い主にべったりだったのに、子犬を生んだとたん、飼い主ですら子犬に近づくのを嫌がるほど、子犬を守ろうとする母性の強い犬もたくさんいます。
その反対に、普段から温厚な性格で、子犬を生んだらさぞかしいいお母さんになるだろうと思われていた犬に限って、子犬の存在を拒否することだってあるのです。

帝王切開が原因、とは限らない

帝王切開だと、子犬を生んだ自覚が持てないために育児拒否をするのでは?と質問されたことがあります。
しかし、今までの経験をふりかえってみても、そうとは思えません。
帝王切開で出産をしても、子犬達に初乳を飲ませなくてはいけないため、麻酔からさめたらすぐに母犬と子犬を一緒にさせます。
すると、たいがいの母犬は子犬の面倒をみはじめるのです。

もちろん、初産で若い母犬の場合は、戸惑ってしまうことも少なくありません。
しかし、子犬をお乳につけてやるうちに、要領がわかってくることが多いのです。
まだ傷が痛むだろうに、母は偉大だな、と思わされる瞬間ですね。

育児拒否されてしまったら

いずれにしても、母犬が子犬の面倒をみようとしない場合は、飼い主が頑張るしかありません。
母犬の母性スイッチが入ることを期待して、母犬に子犬の存在を認識させる努力を続けることは必要です。

しかし、甘くみていると子犬の身に危険が及んでしまうことも。
子犬という存在を目の前から消したいあまりに、母犬が子犬を殺してしまうこともあるのです。
殺そうと思ったというより、自分の視界から消したくて移動させようとした結果、子犬の体に牙が刺さってしまうのかもしれません。
また、寝床にしいた毛布などを子犬にかぶせて、隠してしまおうとする母犬もいます。

とにかく、母犬の世話が期待できない場合は、子犬が危険にさらされる前になんとかするしかありません。
哺乳瓶で人工ミルクを子犬に飲ませて、飼い主が乳母になるしかないのです。

さらには、本来は母犬が子犬のお尻をなめてうながすはずの排便も、飼い主が擬似的におこなうしかありません。
愛犬に子犬を生ませるということは、こういうリスクがあるのです。

重ねて言いますが、子犬を生んだからといって、即母犬になれるとは限りません。
まあ、これは人間にもいえることではありますが……。